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ポンコツ乙女は今日も歌う。  作者: のん


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番犬、休む間もなし。


食事会は、なんとか滞りなく終わり、ディオ様はまた仕事へ戻るということでそこでお別れし、私は神官さんに案内されてまた部屋へ戻ろうとすると、ラトさんが心配そうに私の方へ駆け寄ってきた。



もう目が「大丈夫か?」って言ってて、大変わかりやすい。

言葉がなくてもラトさんはわかりやすいなぁ。


「大丈夫、ああいうのはたまにあるんです」


私がそう話すけれど、ラトさんはそれに眉をしかめる。

あ、あれ??安心しない?


「だめね〜!スズ!そんな言い方じゃあ余計心配になるでしょ!」

「え、でも慣れてるから‥」

「ああいうの慣れちゃダメよ。むしろやり返してやるくらいでいかないと!」


神官の爺ちゃんが呆れた顔をして「やり返すなよ‥」と呟くけれど、うん、大丈夫それはしませんけどね。



「いや、だから明日はしっかり歌って見返せばいいかなって?」



奇跡は起こせるかわからないけどさ。

そう言って皆を見ると、乙女達はニンマリ笑って私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。


「わかってる〜!!」

「スズ結構負けず嫌いだよねぇ」

「だからよく一人で練習してたし」

「そうそう、よし明日頑張ろうね!」


乙女達によってぼさぼさになってしまった私の頭‥。

ラトさんが慌てて私の頭を直してくれるけど、いや、だからそう甘やかさないでくれ!!私は自立した人間になるんだし。


「だ、大丈夫だから、リトさん‥。でも、ありがとうございます」


照れ臭いけれど、お礼を言うとラトさんが嬉しそうにふにゃっと笑う。

う、うう!!この顔に弱すぎる私、いつか勝てる日が来るのだろうか‥。ニヤニヤしながら私を見る乙女達を睨んで、部屋へ戻ろうとドアに手を伸ばすと、



「あ、スズさん」



声のした方を見ると、この間来たベタルの神殿の騎士さんが立っている。


「こんばんは!あ、あの、前回はお疲れ様でした」

「いえ、こんな忙しい時にお声を掛けてしまって‥」

「は、はい!」「あの、お手紙‥は、貰えない感じ、でしょうか?」

「え!あ、いや、その‥、ええと」


い、いきなり聞いてきたな?!

ここはお付き合いはできないってはっきり断るべき?

でも、ここには噂も恋バナも大好きな乙女達が沢山おりましてね??

オロオロしていると、ラトさんが私の前にサッと立ちはだかり、お手紙をくれた騎士さんをジロッと睨んだ。


「ら、り、リトさん!?」

「‥っ」


驚いてラトさんの腕をちょっと引っ張ると、私の方へ振り返って、

悲しそうな顔をして小さく首を横に振る。



その顔があまりに切なさそうで。

なんだか今にも泣き出しそうで。

胸がぎゅうっと私まで痛くなってしまう。



「‥大丈夫、ですよ」



何がどう大丈夫なのだ。

そう思ったけれど、今はそう言わないといけない気がして、そう伝えるとラトさんは嬉しそうなのに、なんだかますます泣きそうな顔になるから、私は胸の奥がぎゅうぎゅうに痛くなる。な、なんでそんな顔をするんだよ‥。


騎士さんに、手紙は出せないと伝えようとすると、



「ねー、ちょっとあれ何?」

「あのイケメンが次の男ってこと?」

「それでもう三角関係ってこと?」

「わぁ〜〜盛り上がって参りました!」


「ちょっと、そこ黙っててくれないかな!???」



私は叫んだ。

とりあえず叫んだ。

明日はお祭りで歌を歌うっていう本来の目的、皆ちゃんと覚えてる〜〜!??そこも付け加えて叫んでおいたけど、私間違ってないよね!?


しかし皆の前で騎士さんにはっきり告げるのもなんていうか酷いので、私は騎士さんの側へ行って小声で謝った。


「‥その、今はまだ未熟な立場なので‥お付き合いは」

「いえ、なんとなくそうかな‥とは思ったのですが、すみません諦めが悪くて」


照れ臭そうにそう話す騎士さんに、胸がズキッと痛んだ。

う、うう、すみません!!でもこんなポンコツな乙女な上に、緊張してテンパっちゃう私には守護騎士でもある貴方には勿体無いと思うんですよ‥。



「‥お気持ち、嬉しかったです」

「そうですか‥。それだけでも嬉しいです」



爽やかに微笑んで、敬礼をすると廊下の向こうへと行ってしまって‥、無事にお断りできて私はホッとして、足の力が抜けかけるとラトさんがさっと私の手を握る。



「あ、す、すみませんリトさん」



まずい!!独り立ち!!

慌てて手を離そうとすると、ラトさんはなんとも言えない顔をして私の手を握った。お、お〜い?なにかあったのかい?




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