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番犬、気配はする?


村へ入って行くと、小さく飲み会も兼ねてやると言ってたはずなのになんだか盛り上がりがすごい。


っていうか、村の中央広場まで行く途中、道すがら挨拶されたけど皆もうすでに飲んでない!??その手に持っているの完全にお酒ですよね!?完全に一杯引っかけてますよね?!!ホットワインとツマミを食べつつ「頑張れよ〜」なんて気の抜けた声で挨拶されて私は大変複雑である。



「‥神聖な歌なのに‥」

「まぁ〜田舎なんてこんなもんだ。神殿がないとそう信仰する暇もないしなぁ」

「信仰ってそんな感じでしたっけ???」



この世界の信仰ってすんごくゆるいよね‥。

うん、でも歌の神様、私はしっかり歌いますよ?

そう思っていると、中央広場が見えてきた!小さく祝う‥なんて言ってたのに、辺りには美味しそうな食事の匂いがしてきて、紙のランタンで飾られた広場がキラキラと輝いている。


「うわ‥、もうちゃんとしたお祭りじゃないですか?!」

「こっ酷く捨てられたスズの為に皆頑張ってなぁ‥」

「その心意気は嬉しいけれど、なんだろう複雑‥」


そんな事を言っていると、一段高い舞台とその前にベンチいくつもが並んでいる。すでに飲みつつもベンチに座っている村の住人さん達がニコニコ笑って手を振りつつ、声を掛けてくれた。


「お、スズちゃん今日頑張れよ〜〜」

「応援してるぞ〜」

「男は山ほど世界にいるからな〜〜」


と、口々に言ってるけど誰だ最後の声かけした奴は。

私は思わず遠くを見つめると、舞台の最前列に座っていた人達が一斉に立ち上がってこちらへ手を振る。



「「「「スズーーーー!!!!」」」」

「みんな!!!」



そこには神殿の乙女仲間‥といっても、年下のグループに分類される乙女仲間が私に笑顔で手を振っているのが目に見えた!今回は同い年じゃなくて、年下グループの子達だったんだ!それだけでうんと安心だ。‥なにせ同い年グループは皆噂が大好きだし‥。


ルノさんが気を利かせてくれて、すぐ側に馬車を止めてくれて、急いで飛び降りると乙女仲間の皆が私に一斉に抱きついた。



「スズ元気だった?」「歌、大丈夫?」「奇跡はまだしょぼい?」

「うん、皆最初の一言だけでいいからね?励ましてないぞ、それ」



本当にこの子達は‥。

そう思いつつも、懐かしい乙女仲間の顔に胸が暖かくなる。

と、世話役のおばさんが乙女達の後ろからひょっこり出てきて、


「まぁまぁ、そんな一斉に話さないんですよ?おしとやかにね。スズさんもお元気そうで‥安心したわ」

「おばちゃん‥」


いつも神官の爺ちゃん達に歌が下手くそ過ぎて怒られていた私を慰めてくれる世話役のおばちゃんの笑顔にうるっとしてしまう。おばちゃんは優しく微笑んで、私の肩にそっと手を置く。



「ものすごい酷い男に騙されて、全財産を奪われて、歌までこき下ろされてボロ雑巾のように捨てられても私達はいつも貴方の味方よ」

「ちょっと待っておばちゃん。誰にそれを聞いたのかな???」



横にいたルノさんをすかさず見上げると、ルノさんは慌てて首を振るが、その後ろのベンチに座っているルノさんちの子供達がサッと目を逸らした。お前らかぁああああ!!!私はじとっと睨んでから、おばちゃんを見上げた。



「えーと、色々誤解が生じてますが私は元気です」

「うんうん、心を強く持ってね!今日は歌を最前列でしかと見て、神官長様にご報告しますからね」



プレッシャー半端ねぇえええええええ。

涙目で舞台を見つめたよ。

キリキリと痛む胃を抑えて、周囲を見回すとそれとなく青い隊服を着た守護騎士さん達が周囲を警備している。そのうちの一人と目が合って小さく会釈すると、笑顔で小さく手を振ってくれたけど‥。ええと、あれは多分遠くで見たことのある騎士さんの一人‥だったよね?



「ああ、スズさんあの守護騎士さんねすごくいい人よ、おすすめ!!」

「おばちゃん、そんな見合いを勧めるかのように‥」

「だって貴方全然出会う機会を作らないんだもの!」

「作ってよかったんですか!?ダメって言われてたのに?!!」



私が思わずそういうと、後ろで犬の遠吠えが聞こえた気がした。

‥ええーと、ラトさん‥ではないよね??




おばちゃんのリリさんの趣味は、お見合いセッティングです。

実はかなりの手練れ。

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