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番犬、知らぬ存ぜぬ。


あれからルノさんが来て、私とラトさん、マキアさんの追いかけっこを止め、魔物の狼達をギルドに連れていってもらった。


そうして、ルノさんはラトさんを捕まえられず息も絶えだえの私とマキアさんに、



「とりあえず、今後どうするか話したいんで村長の家に来てくれ」



と、話すのでラトさんの事は一旦諦めて私とラトさん、マキアさんは連れて来てもらった馬に乗って村長さんの家に向かう。



けれど、私は大変重要な事をもう一度確認しなければならない!なんだ犬になったら戻らないって!!



私はラトさんと一緒に馬に乗ってカポカポとなんだか気が抜ける馬の足音を聞きつつ、マキアさんを見ると、マキアさんは観念したかのように私を見る。



「あの、わざと知らせなかった訳じゃないんです。本当に犬になったら、二度と人間には戻らない。ただ、何がきっかけで犬になるかわからないし、どうやったら解呪できるかもわからない‥そんな状態の人間を家に置いていると知ったら、気に病むかと思ってですね‥」


「気に病むというより、ものすごい切迫した状態じゃないですか!!!」



告知とは大変重要なものだぞ?

私はじとっとラトさんとマキアさんを見ると、二人はそっと目を逸らす。

こら!!目を逸らしてる場合か!!


「とにかく!そんな大事な事を言ってもらえないと、対処のしようがないじゃないですか!あ、待って?じゃあお姫様に飼うって言われたのは嘘?」

「いえ、それは事実です」

「‥そっちが嘘であって欲しかった!!」

「まぁ、そうなんですよね。でも、ヴェラートはこの通りのんびりしてて‥」


マキアさんがラトさんを見ると、ラトさんは素知らぬふりをする。

こらこら、1番大変な人がそんな知らんぷりしている場合じゃないぞ!



「でも、その事を今知れて良かったです。これで朝起きたらラトさんが犬にでもなってたら、私はもう腰を抜かします」



私が冷静にそう話すと、マキアさんが「すみません」と即座に謝った。

本当にちょっとは反省してくれ‥ラトさんも睨むと、私と目が合って嬉しそうにフニャッと笑った。思わずその笑顔にドキッとしてしまったけど、違う、そうじゃない。笑ってる場合じゃない。


「ラトさん、もう言ってない事ないですか?」


ちょっと赤い顔になってしまっただろう。

そんな顔で睨んでも意味がないかもしれないけど、ラトさんを見上げると、ラトさんは私の顔を見て口を引き結んで何かに耐えるように私を見るけれど‥。え、もしかしてまだ何かあるの?



「ラトさん?今のうちに言わないとダメですよ?」

「わ、ワウ‥」

「いや、犬語で言われても‥」

「クゥン‥」

「そんな悲しく鳴かれても‥」



うう、言葉がわからないって本当に不便だな。

ラトさんはしょんぼりした顔をして、私を見つめるけれど‥、あんまりにも寂しそうに私を見つめるのでそっと手を伸ばし、柔らかい髪を撫でる。



「‥帰ったら教えて下さい」

「ワウ」



私に撫でられて、まるで撫でられてうっとりする大型犬のような眼差しでラトさんは私を見つめるけれど、思い出して、自分は人間だって。


と、マキアさんが申し訳なさそうな顔で私達を見て、


「あの、お二人とも〜〜‥そろそろ村なんで、ご主人と番犬は終えてもらっても?」

「マキアさん、私とラトさんは人間であって対等な関係です」

「でも、今完全に飼い主と飼い犬‥」

「ワン!」

「ラトさん、賛同しない。賛同しちゃダメ」


思わずツッコミ、そして小さくため息を吐いた。

これでは私の歌でなんで草花が伸びたとか、なんで一瞬だけラトさんが話せたかの解明はできそうにないな‥。前を向くとそろそろ村の入り口だ。今は騎士と乙女に戻ってまずはお祭りができなかったので、どうするかを考えなくちゃ。



そう思いつつ、空を見上げると本当に綺麗な青空で‥。

こんな日に歌えれば失敗しなそうだったのにな〜なんて思いつつ、村長さんの家に急いで向かうのだった。




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