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番犬、愛情表現。


ラトさんを心配して駆けつけてくれたマキアさん。

今朝は3人分の朝ご飯を用意して、テーブルに大きなベーコンとか目玉焼きをデンと置く。騎士さん二人はそれを目を輝かせて見ると、すぐに食べ始めた。



「ううっ、温かい食事!嬉しい‥」

「え、騎士団って温かいの食べられないんですか?」

「いやぁ、今まであちこち野営をしながら魔物を倒してたんで、食べられる時に食べてて‥、ここんとこ冷えるもんだから冷たいおかずをもそもそと食べるだけの日々だったんです‥」



ああ‥それは大変だったろうな。

スープを多めによそってマキアさんに渡すと、それはもう嬉しそうに受け取り、横で見ていたラトさんが不満げな顔をするので、ラトさんにも多めによそって渡した。大丈夫、スープはいっぱいあるぞ。


「それにしてもなんで魔物が増え始めたんでしょうね‥」

「そうなんですよね。増えるとしても春なんですけど、もう冬になるし‥」

「神殿のみんな、大丈夫かな‥」

「あ、そこはちゃんと警備してるんで、安心して下さい!」


マキアさんの言葉にホッとして息を吐く。

そっか、それなら大丈夫かな?

なにせ呪いは弾くってラトさんも教えてくれたし‥。むしろ心配なのは冬祭りをする私の方か?



「今度お祭りがあるそうですね!俺、当日こっちに来ますよ!」

「え、いいんですか?」

「団長にも相談しておきます!その方が安心でしょうし‥」



私が感激してマキアさんを見ると、ラトさんがすかさず板切れに『大丈夫だ』と書いて、私とマキアさんの間に置いた‥。あ、あの、せっかくのお申し出ですが?


「‥ヴェラート、そりゃお前だけでも十分かもしれないが、数が多いに越したことないだろ〜。こんな田舎に魔獣が出たくらいなんだぞ?」

「ワフ‥」

「しかもこっちに神官も見に来るらしいじゃん?こんな時なのに‥」


そういえばそうだな‥。

こっちの村は魔物が増えているなんて知らないからのんきだったけど、今からでも神殿側に危ないからやめておいた方が‥って連絡した方がいいかも。



「私、村長さんに事情を説明して、こちらに神官さん達が来るのは控えるようにお願いしてもらいます」

「そうですね、その方がいいですね」

「じゃあ、ラトさん。朝ご飯を食べ終えたらすぐ行きましょう」

「ワン!」

「‥ヴェラート、お前生き生きしてるなぁ‥」



マキアさんが呆れたような顔をして、ラトさんに話すとラトさんは静かに首を縦に振る。そ、そうなの?生き生きしてるの?無理とかしてないならいいけど‥。


「そっか、良かったです‥。なんだかんだで色々してもらって、こちらも大助かりで」

「そうでしたか。いや、こちらとしてもそう言って頂けてありがたいです。ヴェラート、すまないな‥。呪いの解呪全然進められなくて‥」


そうマキアさんが申し訳なさそうに話すと、ラトさんが首を横に振る。



『今のところ不便はしてない』

「犬になる呪いを受けていて、そんなことを言えるのはお前だけだよ‥」

「確かに、そう思いますね‥」

「あとヴェラートはいいけど、スズさんは大丈夫ですか?ヴェラートは騎士として強いけど、抜けてる所もあるから‥」



マキアさんにそう言われたラトさんは、ハッとした顔をすると私を見つめる。うん、まぁ、ベッドに一緒に寝たがったり、歌を聴きたがったり、手をリード代わりと言って繋いできたりするけど、まぁ総じて不便はない。多分。



「‥えーと、とりあえず番犬としての役目はしっかり果たしてくれてます」



私の言葉にラトさんは目を輝かせ、マキアさんは私の言葉の裏に潜む苦労を嗅ぎ取ったのか「すみません、よろしくお願いします‥」と静かに言った。うん、マキアさん本当に苦労してたんだろうな。



しかしラトさん、私の言葉が嬉しいのかニコニコしながら私を見つめる。‥犬としてはバッチリな可愛さ。


でも、貴方はとても美形な守護騎士なんだよ?そう思うけれど、嬉しそうな瞳に何も言えず、静かにスープのお代わりをよそってあげるのだった‥。




大型犬を飼いたい。

夢はセントバーナード犬です!!!

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