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番犬、体力に自信あり。


ものすごい大金を手にしたラトさん。

私はニーナさんが持ってきたお金の入った袋を見てびびったわ‥。

解体はニーナさんとギルドの人とでやってしまうらしいけど、ギルド職員の怯えた目‥。あれ、大丈夫か?



「解体して、使えそうな部分は家に持って行くわね!」



ニーナさんのもう「楽しい!!」という微笑みに我々は頷くしかない。

と、そこへ村長さんが色々袋に抱えて何やら持ってきた。


「あ、ヴェラート様!今回は本当にありがとうございました!ささやかですが、うちの村の食料を‥。お金を出せなくて申し訳ないのですが‥」


村長さんから袋を受け取ったラトさんは静かに首を横に振る。

そうして板切れに『騎士は人を助ける為にある』と書いて見せた。ら、ラトさん!!!私と村長さんはラトさんを見上げて、感動した。呪いを受けてもそんな風に言えるってすごい!!



そして、またラトさんが何かを書く。


『ところでベッドを一つ買いたいのだが』

「そ、それでしたら、うちの使ってないのをお譲りしますよ!毛布は新しいのがいいですよね!ギルドの横にある店に声を掛けておくので用意させます!」


え、大盤振る舞いだな。

でも確かにあんな魔獣を駆除しようものなら、ものすごい大金が必要なんだろう。それをあっさり倒しちゃったんだもんね。ラトさん様様か。



ラトさんは嬉しそうに微笑むと、村長さんは急いで馬車やベッド、毛布の用意をしてくれて、今度は我が家までそれら一式を運んでくれた。うーん、1日でラトさんベッドをゲットとはすごいな。



家の玄関まで運んでもらったら、あとは片付けをして、私の部屋に運び込むのか‥。ううむ、倫理観が「いいのか?」って言ってる気がするけど、今回は呪われているからねぇ。


玄関まで運んでくれた村長さんにお礼にと作ったお茶を渡すと、



「そうだ!魔物ですっかり忘れてたけど、来月冬の祭でスズさんに歌ってもらいたいんだ」

「あ、それお菓子屋のおばちゃんから聞きました」

「ほんと?あ〜、ごめんねぇ。そんな訳で今度衣装を持ってきますね」

「わかりました。誠心誠意努めさせて頂きます」

「ウンウン、よろしくね」



楽器はこっちで用意しておくから〜と言って、村長さんは馬車と一緒に帰って行くと、ラトさんがちょっとワクワクした瞳で私を見つめ、板切れに『歌うのか?』と書いてある。もちろん歌いますよ‥。


「初めてのお勤めなんで緊張しますけどね‥。ああ〜〜〜!!一人でちゃんと歌えるかなぁ‥。今までは乙女仲間で歌ってたから私の下手くそっぷりも誤魔化せてたと思うけど‥。しかも冬の歌!!難しいんですよ〜〜〜」


思わずわっと話すと、ラトさんは驚いた顔をする。

あ、すみません‥。つい緊張が爆発してしまって‥。っていうか本番前からこんなんでどうしよう。オロオロしていると、ラトさんがまた何か書き込む。



『練習すればいい』

「ううっ、紛れもない事実!!そうですよね‥。でも、それしかないか。あ、でもその前に片付けしてベッドを運びこまないとですね」



私がそういうと、ラトさんは嬉しそうに微笑んだ。

うう、可愛い。大型犬が喜んでいる‥。

一緒に私の部屋を片付けてベッドを運び込んだが、そもそも狭い部屋なのにベッドで埋められてしまったな‥。でも譲ってもらったベッドに嬉しそうに新しい毛布を敷いているラトさんを見ると、何が言えるでしょう。何も言えません。



「ラトさん、とりあえずベッドメイクできたら私は祠の掃除をして、それから畑に行ってきますね。ラトさんは魔獣退治して疲れたでしょう?少し休んでて下さい」



そう話すとラトさんは首を横に振り、板切れに『手伝いたい』と書いた。

いや、そこは魔獣退治してきたんだし、休んでおこうか。そう思って提案したんだけど、結局「番犬」だからと押し通され、ラトさんは私の後をついてきて、掃除や畑の手入れを一緒にするのだった‥。



守護騎士の体力、すごいわ‥。




毛布は村の特産なんでなんぼでも持っていって下さいってなもんです。

1枚5000円!驚きの暖かさ!!!(買いたい)

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