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番犬、しっかり仕事します!


ニーナさんに家に結界を張ってもらう事になったけど、神殿みたいに弾ければいいんだけどな〜なんて思っていると、ニーナさんがラトさんを見て、



「本当なら「呪い」自体を弾ければいいんだけど、そうすると番犬ちゃん家に入れなくなっちゃうしね」

「あ、そっか。だから知らせてくれるように‥」



ニーナさんの配慮に感心してると、手を繋いでいるラトさんがちょっと眉を下げ、


「すまない‥。俺が呪われている為に十分な守りができなくて」

「いやいや、そんな事すっかり忘れてましたからね。それにラトさんがいるんだから、私は心配してませんよ」


そう笑ってラトさんに話すと、ラトさんがどこか寂しそうに笑うから、私はつい心配になってしまう。本当に心配なんてしてないのに‥、気にしてるのかな。



「よし、いっちょやるか〜〜!」



ニーナさんは両手をぶらぶらと揺らすと、家を見上げる。

そうして両手を高くあげると、白い光が手からふんわりと綿菓子のように膨らんだかと思うと、パチンと弾けて、家の周りを白いキラキラとした光が雨のように降った。


「わぁ‥!!」

「すげーな、ニーナ!!」


私とルノさんの反応に気を良くしたのか、ニンマリ笑ったニーナさん。


「ふふん、すごいでしょう〜〜。いやぁ、獣人国で呪術について勉強しておいて良かったわ〜」

「え!?ニーナさん、獣人国にいたんですか?!」

「そ、面白そうだからずっと前はそこに住んでた」


なんでもない風に言っているけど、そんな過去があったとは‥。

私とルノさん、ラトさんやシルクルさんまで目を丸くしてニーナさんの過去に驚いた。っていうか、なんでそんな色々経験してる人がこんなど田舎のギルドにいるのか‥。人生って謎だ。



「まぁ、これで家の中に「呪い」が近付いたらすぐわかるし、番犬ちゃんもスズも安心でしょ。それと、春の祭りのリースはできたの?」

「そ、そうだった!!まだ途中だった‥。ラトさん、一緒に‥」



そう言いかけると、シルクルさんがすかさず「私も警護させて下さい」とキリッとした顔でいうので、どうしたものかと思ったけど、ひとまず花を摘んだら家で編む予定だし、いっか?


ラトさんを見上げると、小さく頷いて、


「スズが良ければ‥」


と言うので、断るのもなんだしお願いすることにした。

けれど、なんというかラトさんの顔がちょっと曇っているのが大変気になる。家に帰ったら、頭を撫でてあげれば大丈夫‥だろうか。



そんな微妙な空気を気にしないニーナさん。


「じゃあ、私も一緒に行こうかな〜〜。スズが花を咲かせてくれたお陰で色々作れそうだし!」

「そ、そうですか?では一緒に‥」


ニッコニコな笑顔のニーナさんも加わって、それはそれでホッとした私。

面白そうに笑うルノさんをじとっと睨みつつ、皆でゾロゾロと花畑まで歩いて行くけれど、ラトさんは無言だし、シルクルさんはニーナさんに獣人国について色々聞いては感心している。



‥うーん、どうしたものかなぁ‥。



そっとラトさんの手をキュッと握ると、どこか遠くを見つめていたラトさんがハッとした顔をして、私を見つめる。


「ラトさん、もしかしてさっきの攻撃でどこか怪我してません?」

「いや、それは大丈夫だ。すまない、ちょっと考え事をしてた」

「‥私で何か手伝える事、あります?」

「大丈夫。警護はこちらの仕事だしな」


ああ、なるほど。

警護のことを考えてたのか‥。

確かに「呪い」をまた仕掛けられたら困る‥、と、そこまで考えてハッとした。


さっきはニーナさんに助けてもらったけど、一回目のあの手紙の「呪い」はどうやって解けたんだろ。ニーナさんに聞いてみればわかるかな?それともラトさんに聞いた方が早いかな?そう考えていると、シルクルさんが私を見て、にっこり微笑む。



「連絡が遅くなってしまいましたが、明日には王都の神殿の歌の乙女達がこちらへ来ますがしっかりお守りしますから、ご安心下さいね」

「えっっっっっっっっ」



明日?!

明日来るの?!!

いきなりの明日来る発言に頭が真っ白になって、目を見開くと、シルクルさんが慌てて「大丈夫です!きちんと警護しますから」って言うけど、違うそうじゃない!!!心の準備が全くできてないんです!!



思わずラトさんの手をギュッと握ると、ラトさんが私の手を握り、



「大丈夫だ。俺もスズをしっかり守る」

「う、うううう‥、そこは信頼してるんですけど、私は私を信頼してなくてですね‥」



なんの心の準備も出来てない明日がただただ怖いんです〜〜!!!

そう叫びたいけれど、シルクルさんの手前それもできず‥、ぐっと口を引き結ぶしかできない私であった‥。




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