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番犬、ベッド代を稼ぐ。


村に馬車で入っていくと、皆大きな魔獣に目を丸くしてわらわらとついてきた。

そうだよね、こんな出来事村では1年‥いや30年に1回くらい、かもしれないって村長さん言ってたもんね。村長さんが「危ないから」って話して、解散させてくれたけど、これは買い物にでも言ったら後で質問攻めにあうな‥。



ギルドの前に着くと、ニーナさんが玄関の前ですでにワクワクした顔で待っていた。流石、噂が早い。



今日は体のラインがわかるようなニットと前世で私も履いていたスキニータイプのパンツを履いている。あれ、珍しくラフな格好だな。


「おはよ〜!スズ、早速楽しいことをしてるわねぇ!魔獣の解体なんて50年ぶりだけど腕が鳴るわ!」

「解体!あ、だからその格好‥」

「ワンピースじゃあ服が汚れちゃうしねぇ」


なるほど。

珍しい格好は解体の為か。

っていうか、解体するの?この大きな魔獣を??

私が目を丸くしてラトさんを見上げると、板切れに『内臓は薬になる。毛皮は防具にもなる。無駄がない』と書いて教えてくれた。


「へ〜〜、すごいですね!」


私がまた魔獣を見る。

君はそんなに便利な生き物だったんだねぇ。

ニーナさんの声かけで、村の住民さんが魔獣を持ち上げようとすると、ラトさんが両手を淡く光らせる。


「ラトさん、手が‥」


そう声を掛けると、ラトさんがクマの魔獣を一人で持ち上げる。

ザワッとみんなが驚いてその姿をみるけれど、ニーナさんはそれを面白そうに見て「こっちに持ってきて〜」と言うので、ラトさんはそれを一人で移動させてしまう。


え、す、すごい。

さっきは村のみんなとラトさんとでやったけど、一人でも運べちゃうの??

驚いた顔のままラトさんの後を付いていくと、ギルドの後ろにあるレンガが敷き詰められたちょっとしたスペースに出た。その真ん中に大きなテーブルが用意されていて、ニーナさんに指示されてそこに魔獣を置いた。



ニーナさんはそんなラトさんを見て、


「いいねぇ、身体強化の魔法が使えるんだ。それ便利だよね」

「身体強化?」

「体の一部を一時的に強くするんだよ」

「あ、もしかして、魔獣を倒す時にも足が光ったのも‥」


ラトさんを見上げると、小さく頷く。

そっか、魔法を使いつつ剣で戦ってたんだ。え、それ、すごくない?


「‥ラトさん、本当にすごいんですね」


しみじみとそう話すと、ラトさんはちょっと照れ臭そうにはにかむ。

ニーナさんはそんな私達を見て、面白そうに笑うと、



「そりゃそうだよ、なんて言ったって守護騎士してたんでしょ?そりゃ半端なく強いよ!守護騎士のお勤めが終わったら、大体どっかの騎士団の団長になるコースだよ?」

「え、そんなにすごいの?!っていうか、ニーナさんなんで守護騎士って知って‥」

「さっき村長にこっそり聞いた」

「村長〜〜!!!!」



人の口に戸は立てられないとは前世で言われていたけど、この世界でも共通のようだ。ラトさんは気にすることなく、板切れに何やら書いて、ニーナさんに見せると、ニーナさんはニンマリ笑う。


「そうだねぇ、これだけデカいとこれくらいの価格かな?」


ニーナさんが板切れに書き込み、それを見たラトさんが頷くと、ニーナさんは「ちょっと待ってて〜」と言ってギルドの中へ引っ込んで行った。


「ラトさん、何の話?」

『魔獣の価格。ベッドを買える』


そう言って、価格を書いてくれたけど‥、



「待って、これベッドが何十個買える価格ですか?!!!」

『壁も直せるな』

「う、言ってもないのに気にしてくれてた!!!いや、でも、それはラトさんのお金何で‥」

『暖かいとよく眠れる』

「自分の部屋で?」

『それは無理だ』

「そこは頑張って下さいよぉおおお!!!」



思わず叫んだ私に可笑しそうに笑うラトさん。

笑い事じゃない、笑い事じゃあ!!

思わず空を仰ぐと、それはもう良い天気であった。‥うん、とりあえずベッドを買うにはいい天気なのかもしれない?





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