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番犬は笑顔でご主人のそば。


マキアに家まで送ってもらって、「絶対!!書類を出せ!すぐだぞ!すぐ!」とマキアに念を押されたが気にすることなく家に戻ろうとすると、スズが「ラトさん!約束ですからね!」と、言うので渋々頷いた。



‥俺はスズといられればそれでいいのに。



スズは、俺とだけいたいと思わないのだろうか。

というか、もしかして告白をしたが付き合う気がないのだろうか‥。

グルグルと嫌な考えが頭の中を巡って、家の中へ荷物を置くスズの後ろ姿を見つめていると、スズが俺を心配して手を握ってくれた。



「ラトさん、大丈夫?疲れてないですか?なんだかんだ、朝から働き通しだし‥、夕飯を食べたらすぐに休みましょうね」



いつものように声を掛けてくれるスズを、無意識に抱きしめた。

ああ、スズだ。腕の中にいる。大好きな、優しいスズだ。



手を振り払われて、話をしたくないと言われた時、目の前が真っ暗になって、このままもう二度と手を繋いでくれなくなったら、笑いかけてくれなくなったらどうしようと、あの晩は本当に眠れなくなるくらい不安だった。



だから水の中へ落とされたスズを助けに走った時も、首につけられた呪いの印を見た時も。ただただ怖かった。スズを失いたくない一心だった‥。忘れてしまいたい記憶を振り払うようにきつくスズを抱きしめると、



恥ずかしそうにスズが俺を見上げて‥、



「ラトさんと、私ってお付き合いするって事でいいんですかね‥。あ、いや、こういう事になったの初めてだから、よくわからなくて‥」



そういうので驚いて目を見開く。

腕の中で「ダメ、ですかね‥」赤い顔で呟くスズに胸の中が好きだという気持ちで一杯になって、



スズに噛み付くようにキスをした。



好き、好きだ、大好きだ。

ずっと一緒にいたい。

一緒に手を繋いで、ずっと笑っていて欲しい。



そんな気持ちを伝えたくて、スズに何度もキスをすると、スズの腰に回した腕をバシバシと叩かれて、「ちょっと待って下さい!」と言われて、ゆっくりと腕を離す。もっとキスをしたかったとばかりにスズを見つめると、真っ赤な顔で俺を見上げるスズにぐっと言葉が詰まる。



ああ、好きなのになんで言えないんだ。

大好きだと沢山言いたいのに‥。スズから手を離して、


「ワン」


と、いつものように「好き」だとスズに伝えると、スズはそれを聞いて俺をじっと見上げてくると、



「私もラトさんが好きですよ」



そう言うので、驚いてスズを見つめると嬉しそうに微笑んで、


「やっぱり言ってくれてました?前にも何度かあったから‥、もしかしてあの時伝えてくれてたのかなぁって‥」


そう照れ臭そうに言う姿に胸が一杯になる。


伝わっていた‥。

スズに「好きだ」と気持ちが伝わっていた事が嬉しくて、ギュッとスズの体を抱き寄せた。



「‥ずっと、言ってた」



嬉しくて、嬉しくて、少し震えるような声にスズが嬉しそうに微笑んでくれて、胸の奥が熱くなる。



ああ、呪われて良かった。

そうでなければ、きっとあの神殿から俺は動けなかった。

そうでなければ、スズに手を伸ばすこともできなかった。



すると、スズがそっと手を伸ばして俺の頭を撫でた。


「ラトさん、私の所へ来てくれてありがとう」

「え‥」

「いや、だってラトさんが来なかったら、私はずっと一人だったし‥。しかも殺されてたかもだし‥」


スズがバレウスの事を思い出したのか、体をさするので俺はすかさずギュッと抱きしめた。そうだ‥、本当に危険だったんだ。そう思うと抱きしめていないと不安で堪らなくなる。



「‥スズ、もう危険な目に遭わせないから」

「いや、それはラトさんもですよ。っていうか、今度ホイホイ呪いを引き受けたら絶対ダメですからね!私あれだけダメって意思表示したのに!」

「それは無理だ。スズがいなくなったら生きていけない」

「いっ‥!そ、それは私も同じです!」

「同じ‥」

「だ、だから一緒に生きられる方法を探すんです」



一緒に生きられる方法。

スズの言葉に胸がじんわりと温かくなる。



「ずっと一緒に生きてくれるのか?」

「終生飼うって言ったじゃないですか‥」

「人間でも?」

「‥そこは、お互い努力しないといけない所が色々とあると思いますけど」

「努力する。ずっと一緒にいたい」

「は、はい、それなら、お互い頑張りましょっか」



スズの言葉に顔がだらしなく溶けてしまったと思う。

嬉しくて、唇にキスを落とすとスズが真っ赤な顔になって、じとっと俺を悔しそうに見上げると、



「ちょっと待って下さい」



と、言うけれど構うことなくもう一度キスをすると、スズが「とんでもない番犬です」と言いつつ、俺の手をギュッと握ってくれて‥、少し赤い顔のスズに嬉しい気持ちを抑えることなく、唇にキスを落とすとスズが俺の手を握ってくれた。



こんな番犬でも、ずっとそばにいさせてくれ。

そう願いつつ、赤い顔のスズにもう一度キスをした。





これにて一旦完結とします〜〜。

といっても、私の中ではまだまだ未完。

諸事情により、ちょっと更新が難しいのでここで一旦区切らせてもらいます〜。

まだまだ書きたい番犬ちゃん(笑)ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!


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