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番犬、寝場所問題。


呪いの上に更に呪いを掛けて、しかも魔物を使ったことで解呪が一層難しくなってしまったらしいラトさん。これからどんな風になっていくか分からないのに私の番犬になりたいとか‥、どんだけ優しいんだろう。



私だったら聞くも涙、語るも涙!なのに、ラトさんは淡々と板切れにその事実を書いて、小さく笑うだけだ。‥この人、こんなに優しくて大丈夫なのだろうか。世の中、悪い人いっぱいいるのに‥。下手したら神殿で仲間とご飯の取り合いをして神官さんに「清廉であれ!」って言われた私よりも清廉だと思う。



お菓子を食べてからは、それぞれ部屋で休んだけれど、色々あったであろうラトさん‥。あんまり言わないけどきっと色々と傷ついているだろう。それならば目一杯楽しいことをしようではないか!そう決心したら私は早速ベッドに入って、明日に備えるのだ。



そう思って、毛布を被って目を閉じた。

ふと足元に何か重みを感じたけれど、暖かくて、安心できて、私は目を覚ますことなくそのまま眠ってしまった。



そうして、翌朝。

チュンチュンと小鳥の鳴く声で目が覚めた。



「ふあぁ‥、よく寝た‥」



なんだか体がポカポカするから?

いつもより体が暖かく感じたから寝られたのかな?

そう思って、ふと気付いた。


足元になんか丸まっている人がいる…。



「え」



まじまじと足元で見ると、綺麗な顔でまるで犬のように丸まって寝ているラトさんではないか!??



「ら、ら、ラトさん!!??」

「‥ワン」



ラトさんが私の声でぱちっと目を開けて、ゆっくり体を起こすけれど、私は爆速でベッドボードの方へ体を縮こめた。


「な、な、な、なんで!?いつの間にこっちに!??っていうか、ハンモック!!」

「ワウ‥」


ラトさんはベッドの下から板切れを出して、



『犬の習性なのか、体が勝手に人の側に向かってしまう』

「そ、それで、私の所??!!」

『頑張って足元で留めた』

「頑張った‥のか?!!」



いや、そこは騎士道精神フル起動させてハンモックで寝てくれ!

私はこれでも女性!嫁入り前!!神官長様辺りが聞いたら卒倒して、天国へ行ってしまう事案である。思わず頭を抱える私をラトさんが申し訳なさそうに見て、板切れに何かを書く。


『‥今日は犬小屋を作ってそこで寝る』

「待って!!!そこは人間としての尊厳を大事にして下さい!!」


でもって、この小さな村でそんなことをされたら私の人間としての尊厳まで崩壊しかねない!!絶対やめてくれ!



「犬の習性‥なら仕方ない!仕方ないですけど、一緒のベッドはどう考えてもアレですし‥。犬小屋を作れるなら、ここに簡易ベッドを作るというのはどうでしょう?」



私の言葉にラトさんがパッと顔を輝かせる。


「一緒の部屋ならなんとか寝られるでしょうか?」

「ワウ!」

「よ、良かった‥。じゃ、今日は板を買ってきてベッド作りましょう」


嬉しそうなラトさんだが、私はといえば起き抜けからびっくりし過ぎて心臓が止まりそうだよ‥。はぁっと体の力が抜けると、ラトさんが嬉しそうに私を見つめたかと思うと、耳元に顔を寄せる。



「へ?」

「ワウ」



まるで「ありがとう」とばかりに耳元で囁いて、顔を離すラトさん。

朝陽を浴びて、綺麗な青灰色の瞳がキラリと光って‥、微笑まれて‥。ええ、私の小さなキャパシティは一気に爆発し、ベッドに倒れ込みましたとも。


「わ、ワン!?ワン!??」

「だ、大丈夫、大丈夫です‥」


ラトさんが慌てて私に声を掛け、肩を揺すぶるけれど、私は急いで両手で顔を覆った。頼む、あまりその美しすぎる顔をこちらに向けないでくれ、心臓に悪すぎる。



朝から私の心臓が太鼓のゲームのように連打されたが、根性で起きた。

歌の神様‥、私は今日もなんとか生きてます。っていうか生きる!!!そう思って、見目麗しい大型犬であるラトさんを薄目で見つめるのだった‥。




美形をドアップで見た時、あまりの解像度の高さに

「イケメンって顔面だけで威力あるなぁ!!」と

まじまじと見つめてしまった事があります‥。

(あの時はジロジロ見てごめんね)

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