7. 『魔法適性検査』
遂に、魔法適正検査の日がやってきた。
今日を心待ちにしていたけど、適性なかったらなかったで少し悲しい。せっかく前世とは違って魔法のある国に生まれたのだからどうせなら使ってみたいというのが人間だ。大半の平民が使えないのなら、みんなもドキドキしているのではないだろうか。もしかしたら自分にはあるかもってね。あるからって何に役立てるのかと聞かれたら特にやりたいことも思いつかないだろうけど。
魔法適性には全部で8種類ある。
魔法を持つ者でオーゾドックスなのが、火、水、草。その上位格なのが、炎、氷、森。その他に光と闇があるがお伽話での存在になっている。それなのに姉に出たもんだから、大騒ぎになったけどね。仮に平民に出るとしたら、火、水、草のどれかだね。個人的には、火があると嬉しいな。火があれば食べ物を焼くことができて、サバイバルに役立ちそう。なんでサバイバルする前提なんだってなると思うけど、人生何があるか分からないからね!生物的本能として、少しでも生き残ろうと考えるのは普通じゃない?それに、魔法を持っている人の中で火が最も多いらしいから、少しは希望を見出せるかなって思って。
お、教会に着いたみたい。行列がある。みんな魔法適性検査を受けるために来てるんだよね。私も列に並ぼうっと。
数十分後。
大分並んだな。司教さんの姿が見えるようになった。既に検査を終えた子をチラチラ見てるけど、なんの反応もない子は「無」だったってことよね。稀に親と喜んでいる子を見るけど、きっとあったんだろうね。特に悲しんでいる子を見ないのは、やっぱりないのが普通なのね。
また数十分後。
司教さんの声が聞こえてきた。そろそろ私の出番が来るのね。
「はい、次の人。」
私の出番来た!
「ここに手を当てて。」
「はい。」
なんて言われるのかな。
「………………………」
ん?沈黙長くない?
「……これは本当か?……信じられない。ありえない。だが、今目の前で起こっている………君、名前は?」
「エナ・サリアナですが…」
どうしたんだろう?何かやらかした?いや、何もやる余地なんてなかったし、何もやってないと思うけど。
「なんだって!?君には、ナツキ・サリアナという姉がいないかい!?」
「はい、私の姉ですけど…?」
「まさか、同じ家系から二人もでるのか?その上、この子は複数持ちだ(ボソッ)…君は、光適性と氷適性の複数持ちだ。これは、今すぐに教皇にお知らせしなくては。」
「え?…え?…私が、光を持ってて、さらには氷も持ってるって?…えええええええええええ!!」
その日、誰かが言った。
「なんだか、今日ね、教会が揺れたように見えたのよ。おかしいわよね?私の目はどうかなってるのかしら。」
と。