3.『5歳になりました』
この世に生を受けてから5年経ちました。
よくよく思い返して考えると、私の精神年齢でキャハッとか言っていたのが恥ずかしい…心の中だけだとしてもね。
でも、転生とか初めてのことで、凄そうだったから、浮かれてしまうのも仕方ないと思いたい。というか、思わせてほしい。
現状を説明すると、今は1人で外に行くことだってできる。前世の5歳の自分を想像すると、1人だけで外に出たことなどそうない気がするが、なんたって私の精神年齢は、十二分に大人であると言えるだろう。それを除いても、こちらの子供たちは日本と違って、お使いに行ったり、畑を確認したり、何ならお店当番をしている姿を見かけるので子供にえらく信頼を置いているのだろうか。さすがに、お店当番をしている子供の中に5歳児や6歳児がいるような感じはしないが。
さらに、こちらの世界での成人年齢は16で、日本でいうところの学校(こちらの世界では学園という方がしっくりくるかもしれない)には8歳から通う。通うと言ってもすべての者が通えるというわけではない。
8歳の者を対象に希望者を募り、魔法適性と学力テストを受けるのだ。要は受験である。
魔法適性検査は8歳になると受験に関わらず、教会に無償で見てもらえる。貴族であれば、その前に見てもらえるのだが、そこにはお金が発生するのだ。
それで、平民の場合は、このような試験に合格したとしても肝心の学費が払えなければならないので、や平民が学園に通うことなど不可能である他国よりは平民に優しいということだ。平民用の学費が用意されており、多少払いやすくされている。そのため、貴族が受けることのできるサービスは平民にはついてこないのだが、それはどうしようもない。結局お金がすべてなのだから。
因みに、とある他国で平民が入ろうとすると特待生くらいしかないわけだが、これがすごく難しいらしい。30年に1人いるかどうかだとか。
貴族は頭が悪かろうが、なんだろうが入ることが可能だ。お金が払えさえすれば。
それと、平民クラス、貴族クラスは当たり前のように分かれている。これは、何も意地悪だけではなく、一応、平民を守るためでもあるのだ。とは言っても、そのようではいつまで経っても状況が変わらないような気が…いや、私が考えることではないか。
でも、噂によると、特別クラスというのがあって、そのクラスだけ学力第一らしく、平民と貴族が混ざることがあるとか。そうは言っても、結局学力を上げるのも本だとか、教師とかにお金が掛かるから、貴族オンリーになることがほとんどのように思える。
風の噂なので本当なのか分からないが、王族は、あらゆる教養が求められるらしく、王族である者は必ず特別クラスにいるんだとか。権力があって、胡坐をかいていないというのが好感度高いと思うけど、さすがに歴代の王族の中には駄目そうな人もいるだろう。人間だもの。悪政を強いるのは良くないが、頭の悪い人はどうやったっている。それが王族の中に出ないとは限らないよね。
…今、思ったけど、姉は来年受験なのでは?ちゃんと受験勉強しているのかな。いや、してないだろうな。だって、いつも町に行っては、
「あたし、ヒロインなのよ!みーんなあたしをあがめなさい!」
って言っているもの。
ゲーム内のヒロインは、特別クラスに入れるくらいには頭良い設定のはずなんだけど。今の姉じゃあ、学園に入れるのかも怪しいわね。
でも、ヒロイン補正とかあるのかしら?まあ、どうなろうとも妹である私がどうこうすることじゃないか。