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令和・第3次世界大戦  作者: 高本五十六
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第2話

ウクライナ東部でのウクライナ軍とロシア軍の戦いは、開戦から2ヶ月が経過しても膠着状態が続いていた。ウクライナ政府は国連安保理事会や第3国を経由しての交渉を試みていた。

アメリカ・イギリス・EU(ヨーロッパ連合)各国はウクライナの援助と、ウクライナ在籍の自国民の保護と救助のための緊急展開部隊を送った。

ドイツでのNATOの合同演習に参加する予定だった米陸軍の第1機甲師団と第101空挺(空中強襲)師団を急遽ルーマニアに送り、米本土からは第82空挺師団がウクライナのアメリカ人保護・救助のために投入された。また非公式に、米陸軍のグリーンベレーとデルタフォース、英陸軍SAS(特殊空挺部隊)等の特殊部隊がウクライナ軍とウクライナ民兵部隊「領土防衛隊」を支援するためにウクライナ東部戦線に投入されていた。

日本からもウクライナ在籍の日本人保護を任務とした自衛隊JTF(統合任務部隊)「在ウクライナ邦人等輸送派遣統合任務部隊」が派遣されていた。


ウクライナ 首都キエフ 在ウクライナ日本国大使館


大使館現地スタッフの退避準備が進められ、大使館前には陸上自衛隊中央即応連隊の装甲車・トラックが停められていた。

現地スタッフの一人の沢村光彦は退避の準備をしていた。ウクライナにいる日本人200人の内、半数は既にポーランドやトルコに避難していて、残りはオデッサに設けられた避難所に集められている。沢村達大使館スタッフも自衛隊と現地のウクライナ軍部隊の護衛でオデッサへ向かおうとしていた。自衛隊の邦人輸送にはウクライナ軍の他、イギリス軍とトルコ軍の部隊も支援してくれた。

沢村は窓からキエフ市街地の景色を見た。銃声はしていないが、このキエフもいつ戦火に巻き込まれるか分からない。外国人だけでなくウクライナ国民も戦火から逃れるために避難している。

沢村はふと日本でウクライナと同じ状態になってしまったらどうなるかと想像する。戦車もない。軍用ヘリも飛んでない。完全武装の兵士もいない。道路には車と人があふれ、賑やかな音楽と笑い声がある。休みの日にはどこへ行こうかと話し合う人々。戦争とは無縁の平和な日本。隣国から軍隊が攻めてこない限り、ほとんどの日本人にとっては所詮は海の向こうの他人事なのだ。

沢村もウクライナに来なければ他の皆と同じように無関心でいただろう。

大使館内を見回っていた陸自隊員が沢村のいる部屋に入って来る。

「退避を急いで下さい!直ぐに出発します!!」

「分かりました」

陸自隊員と共に沢村は部屋を出る。既にほとんどのスタッフは避難している様子だった。


日本人退避に伴い、日本国施設であることを象徴する国旗「日の丸」が自衛官の手によって降ろされ、大事に畳まれた。日本人だけでなく「日の丸」も無事に持ち帰ることも大事な任務の一つだ。

輸送防護車に沢村を乗せ、中央即応連隊の車輌隊は大使館を離脱した。


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