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令和・第3次世界大戦  作者: 高本五十六
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第1話

第1次世界大戦のきっかけは一人のセルビア人青年が放った一発の銃弾だった。


支那事変(日中戦争)のきっかけは盧溝橋(ろこうきょう)での発砲事件だった。


戦い(戦争)とはほんの些細な行き違いや思い違い、そして僅かな出来事でも起こるものだ。


そして歴史は繰り返される。

202X年 ウクライナ東部戦線


ウクライナ陸軍の戦車、T-84がウクライナの大地を進んでいる。T-84はロシアのT-80UDをベースに開発されたウクライナの国産戦車だ。T-84戦車隊が停まると、戦車隊隊長車のT-84の射撃を合図に戦車隊が一斉に射撃する。

進撃するロシア陸軍のT-90戦車隊。1台のT-90にウクライナの戦車隊が放った砲弾が命中したが、砲塔の複合装甲に当たって弾き返され、反撃の一斉射撃をはじめた。

ウクライナ戦車隊は後退するが、T-84は次々に撃破されていき、半数の戦車が失われてしまった。


1991年、ソビエト連邦の崩壊と同時に独立を果たしたウクライナでは親ロシア派と親欧米派による権力闘争が続き、2014年にウクライナで親ロシア派のヤヌコビッチ政権が崩壊すると、ロシアはウクライナ南部のクリミア半島に侵攻して併合を宣言し、東部の一部を支配する親ロシア派勢力を支援した。ウクライナ東部はロシアと民族や宗教も同じであることなどから、ソ連崩壊後もロシアはウクライナを兄弟国として特別な存在だと考えてきた。

ロシアがウクライナを重視する理由の1つがNATO(北大西洋条約機構)の存在だ。ソ連が崩壊すると、かつて東側陣営だったポーランドやチェコ、ソ連構成共和国だったバルト3国が次々とNATOに加盟した。NATOの東方拡大は、ロシアにとって周辺国への影響力低下と国防上の脅威につながるため、プーチン政権にとってウクライナがNATOに加盟するような動きは決して容認できないことだった。

2022年2月。世界中が北京五輪に熱中している時、ロシアとベラルーシがウクライナの国境付近で合同軍事演習を行った。2021年の末頃から10万人規模のロシア軍部隊が集結し、これに対し欧米諸国は、ロシアによるウクライナ再侵攻を警戒し、ウクライナ周辺の東欧地域に部隊を派兵。世界はウクライナ情勢に端を発した戦争の危機に直面していた。


202X年。

ウクライナ東部のドネツィク州とルハーンシク州を含めたドンバス地方で、ウクライナ軍と親ロシア派武装勢力・反ウクライナ政府組織との紛争が再燃。ドネツィク州とルハーンシク州を統合してウクライナからの完全な独立を目指す動きもあった。ロシア政府はこれに対し、東ウクライナ・クリミア方面のロシア人保護を名目にロシア軍部隊を派遣。ウクライナとロシアとの武力衝突に発展し、アメリカを中心としたNATO各国もウクライナ在籍の自国民を保護する名目で軍の派遣を準備していた。


「ウクライナのT-84なんて、所詮はT-80を猿真似したブリキ缶だぜ」

ウクライナ戦車隊との戦闘が終わり、ロシア戦車隊の戦車兵ウラジミールは戦友のサーシャと会話をしていた。

「だが、アメリカやドイツも軍の派遣を準備しているらしい」

「本当か?サーシャ」

「それまでにはこの戦いも終わっているさ。俺達ロシアの勝利でな」

「そうだな。祖国ロシアへ帰ったらウォッカをまた飲みに行こうぜ」

「その約束、忘れるなよ」

ウラジミールとサーシャは自身の乗るそれぞれのT-90の車内へと入っていく。


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