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あなたの恋人がブサイクだったらどうします?

作者: ヒロモト

私は可愛いらしいです。

みんなが可愛い可愛いと言うからそうなのでしょう。特に彼氏はいつも可愛いと言ってくれます。

でも顔がいいからこその悩みもあるのです。

私は小学生の時に事故で目が見えなくなりましたが医学の進化は素晴らしく。来月の手術で私は20年ぶりに目が見えるようになるのですが「もし彼がブサイクだったらどうしよう?」と毎日不安です。


私の彼氏はお笑い芸人をやっています。私は彼に『カッコいい』という言葉が向けられるのを聞いたことがないんです。

きっと彼の容姿は平均以下なんでしょうね。

はあ。当人とセックスをしながらそんな事を考える自分が嫌になります。

彼の全身に触れてみる。頭。薄いですね。二重アゴ。お腹も柔らかい。

匂いは合格。とても良い香り。


「ごめんなさい。私と別れて下さい」


目が見えるようになった私の最初の一言はこれでした。

彼はやはりブサイクで吐き気を催した私はそう言わずにいられませんでした。


「……そうかぁ。なんかそんな気がしたよ。ハハハ」


今まで支えてくれたのに。手術費も入院料も払ってくれたのにごめんなさい。どうしても私。ブサイクはダメなの。

美女と野獣なんてお話の中だけのこと。





『お笑いには夢がある!美女と野獣婚!』


彼氏が美人女優と結婚しました。


『前のブサイクな彼女とは別れたんか?』

『ほんとにブサイクやったもんなぁ』

『女の方から振ったらしいで』

『あんなブサイクから逃げられてむしろフラれて良かったろ?』


目が見えるようになって私はネットに触れるようになりました。

ああ。また見たくもない記事を見てしまった。



「おーい。おばはん。お茶買ってきてー」


私は今、20才のホストのセックスフレンドをしておこづかいを貰って生活しています。20のあなたからしたら28はもうおばさんですか。


「ぶっさん俺らのもお願いします」


『ぶっさん』。ブサイクって意味らしいです。

前の彼は可愛い可愛いと言ってくれたから勘違いしてましたけど私ってブサイクだったんですね。

艶のない髪。小さな目。薄い唇。黄ばんだ前歯。

スレンダーだと思っていた体は『貧相』でした。

セックスフレンド兼ホスト達のパシリ。これが今の私です。

今の生活から逃げ出したいけど男に頼らないと私はもう生きていけないんです。

ブサイクな私に次があるなんて思えない。


『最近どうしてる?』と彼から連絡があったので私は『会いたい』と返しました。

よく彼とデートした海岸。深夜にそこで待ち合わせ。暗闇のお陰で人気芸人の彼に気がつく人もいない。


「また可愛くなったね」


開口一番そう言われて私は泣きそうになりました。懐かしい匂いがする。彼の匂い。幸せだった時の匂い。

ブサイクなんですよ。私もあなたも。きっと私たちはお似合いだったんですよ。

私はなんて愚かだったんでしょう。悲しいのは彼をまた好きになるのは絶対に無いという事。

ブサイクは嫌なんです。ブサイクとはもう付き合えない。ホストだろうとイケメンの方が好きなの。

目なんか見えなきゃよかったよ。そしたら私たちずっと幸せだったのにね。


二人同時に電話がなりました。

「えっ?紅白の司会?すぐ行きます」

「えっ?今すぐ抱かせろ?すぐ行くね」


彼に会えるのはこれで最後だと思いました。

立場が違いすぎるんですもの。




薬局でコンドームを買っていたら聞いてるだけで涙が頬を伝う曲が流れてきました。

男女立場は違うけど私と彼の歌みたい。

DJが『『香水』をお届けしました』と言った。

香水か。いい曲だ……な。


「お客様!どうしました!?」


私はとうとう店内でうずくまって泣き出してしまいました。

香水。私の幸せの匂い。トルチェ&カッバーナ

私の涙が止まらないのはその香水のせいだ。







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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、ざまぁではないかなぁ、これは。 不細工だからずっと支えてくれた元カレと別れた。 これだけ切り取れば確かにロクでもないですが…… そもそも、そういう価値観を植え付けられたのは、周囲が不…
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