兄 涼(りょう)
神様は気まぐれだ。
元旦。
なんてことはない近所の神社の初詣。
だけれども、その年はいつもと違った。
ちょっと神様がやる気を出したのかもしれない。
***
やっちまった。
本来なら弟の彼女に収まるべきお隣さんの子。
この子は可愛い。そしてシミもなく滑らかでプリッとした肉体。
胸が小さい?
まだ中学生だ、そんなの当たり前。
美奈は中3。
おれは会社員。
完全にアウト。
今の彼女もいい身体だけどこれは別格だ。
本物の少女。
だけど服の下は既に女になり始めてる。少女から女に変わる短い期間しか見れない芸術品。
金持ちのマニアなら100万でも出すに違いない。
隆は馬鹿だ。
こんな逸材を無視するだなんて。
マズい、マズい、マズいって!
なんてったって、お隣さんの子だぞ。しかも受験生だぞ!人の彼女を寝取っても平気だがこれはヤバい!
法的にもアウトだ!
あれは一回、ほんの一時の過ち。失恋した美奈を慰め行為することは、俺にとってはレールの上を進むように簡単に事が進んだ。あまりにも上手く行きすぎた。
勿体無さに後ろ髪を引かれる思いだったが俺は美奈をキープすることを諦めた。
あれは一回、ほんの一時の過ち。
このことは過去にしよう。
そう思った。
しかし、ドハマリしたのは美奈の方だった。
チャンスさえあれば俺を求める。
両家族、弟の目、他の女の目を盗んで俺の懐に飛び込む。
弟が隣の部屋に居るのに俺の部屋に入り込むこともあった。外に脱出させる為に美奈を鞄につめた事もあった。鞄プレイなんて言葉も作ったな。
こんな俺に最高級少女。若さゆえに反応が良すぎる女。
だが、快感とともにつきまとう危機感。
その危機感の中に『美奈が高校受験を失敗するのでは?』というのが有ったけれど、美奈は無事入試を成し遂げた。
美奈はもともと成績は良かったし、良い高校といっても公立校だ。同級生の半分は行く無難な高校。
それでも、合格を聞いた時はホッとした。
俺にドハマリしたせいで落ちたとか言われたら大ごとだ。
そして、弟も同じ高校に合格。
もう無理だ。
危ない関係はもうやめよう。家族にバレないうちに。
俺は高校生になった美奈にお願いした。
この関係はまずい。
しかも、俺たちの年齢差は犯罪だ。しかも他人じゃない。
俺は彼女が居ながらも美奈を抱き、更に他の女も抱くような男だ。
美奈は俺しか知らないから俺に執着してるだけだ。もっと経験を積め。世間を見ろ。
新しい道を行け。
声を殺して泣く美奈に心が痛んだが、終わりにした。
その夜は大きな喪失感に泣いた。
しかし、
2年後美奈が戻って来た。
「18になったから」
「俺のことなんて忘れろと言ったろう」
「他の男はつまらなかったから」
試したのか!
美奈の言葉に嫉妬心を煽られ、戻って来た嬉しさと、もう世間の目を気にしなくて良い安堵感がぐちゃぐちゃに混ざり合い、俺は美奈を両手で抱きしめた。
俺は美奈を愛していたのか?それとも罪悪感?
自分でも説明がつかない感情が両腕にこもる。
2年経った美奈は別の美しさを纏って居た。体重は相変わらず軽い。
途中、隣の部屋に小さなきしみ音。
だが止まらない!
譲る気もない。
「今、彼女とかは居るの?」
俺の心臓が止まる思いがした。・・・いる。
「その・・・・別れてくる」
「別に急がなくていいわよ」
美奈、絶対楽しんでるだろ。
涼の経験人数は二桁。
かなり雑食です。
美奈は辛うじて一桁。
厳しく選ぶタイプです。