幼馴染 美奈(みな)
神様は気まぐれだ。
元旦。
なんてことはない近所の神社の初詣。
だけれども、その年はいつもと違った。
ちょっと神様がやる気を出したのかもしれない。
***
私は美奈。
中学に上がってから幼馴染の隆と距離が開いた。
小学校の頃はよく遊んだのに最近は私の相手をしてくれない。
それは中3の夏。
私の誕生日、隆は来なかった。
『多分行く』と言ってくれたけど来なかった。
後で知ったことだけど、隆は別の女の子、クラスでもやけに発育の良い大人なことをする女の子と仲間数人で遊びに行っていた。私のことは忘れて。
その子とは2人っきりではなかったけど、私は打ちのめされた。
男の子は胸が大きければいいのね。
私には無い。
その日のうちに隆の家に行ったけれど、当然居ない。
にいに家に入れてもらった。
隆の部屋に入るが私の誕生日プレゼントらしきものは何も無い。少なくとも去年は小さいながらも有った。そして貰った。
年々ランクダウンして今年は無し?
悪いと思ったけれど机を漁る。無い。
どこにもない。
今日私を選ばなかったことで覚悟はしてたけど泣きたかった。
プレゼントは出て来なかったのにヤラしい漫画は出てくる。
こんなのがいいんだ。
本の中ではカラフルな髪で胸囲2メートルの女の子が汗まみれ汁まみれになっている。私じゃ駄目なんだね。
ば っ か じ ゃ な い !
そんな時だった。
隆の部屋でヤラシイ漫画を泣きながら見ている私をにいが慰めてくれた。
とても優しく、とても丁寧に私を慰め、自信を持つように言ってくれる。
「美奈は綺麗だよ」
にいは何度もそう言ってくれた。
優しく座らされたベッドの上でも。
そして隆への想いを卒業した。
そう、失恋でなく卒業だ。
敢えて隆を選ばないことを決断した。後戻り出来ないように道を塞いだ。
にいを愛していた訳じゃない。でも、にいがモテた訳を全身で思い知る。
中3の夏。
真昼のにいの部屋。