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耳かきをしてくれる後輩女子 ~男子高校生のあなたは自室に連れ込んだ年下の彼女の膝枕で耳掃除をしてもらう。しかし、彼女は思い通りにやってくれないのだ。最後にはその不満も感謝に変わっていたけれども~

作者: 栗野庫舞

耳かき小説を書くのは初めてです。よろしくお願いします。

 あなたは二つ年下の彼女を持つ男子高校生になった。


 現在、あなたはその後輩を自宅の部屋に連れて来ている。


 私服姿の小柄な彼女は、部屋の中央に座った。そしてこう言う。


「先輩。耳かきをするので、私の膝の上で寝て下さい」


「……それは構わないんだが、お前、そのスカート、短過(みじかす)ぎないか?」


「ミニ・スカートですからね。短いです」


 膝をつけている彼女のスカートはガンメタリック色で、あなたが指摘する通り、丈がすごく短い。


「先輩は私の膝の上で耳かきをされたくないのですか?」


 座っている彼女に、あなたは見上げられる。

 肩ぐらいまでの黒髪を黒いゴムで後ろで結った、童顔の後輩。


 お願い、寝て下さい……と、無言で訴えかけてくる彼女の表情に対し、あなたは拒絶なんて出来るわけがなかった。


「じゃあ……よろしく頼む」

「はい」


 あなたが体を横にして、右耳を上にして彼女の膝の上で寝る格好になった。いわゆる膝枕である。


「でも、その前に……」


 彼女は両膝を開きながら向きを変え、あなたの顔を両手で押して床に落とす。ミニスカートをあなたの頭にかけて、太ももで強く挟んだ。あなたは驚くと同時に、つい彼女の穿いている白い下着を目に入れてしまった。


 何秒か後に拘束が弱まったので、あなたはスカートの中から顔を出し、上半身を起こした。


「いきなり何をするんだ!」

「どうですか? 気持ちいいですか?」

「やってる最中みたいなこと言うな! 耳かきはどうしたんだッ!」


 怒鳴るあなたに、彼女は悲しげな顔を向ける。


「……嬉しくなかったのですか?」

「嬉しかったけど今のは耳かきじゃない!」


「はい、今のは余興(よきょう)です」

 彼女は笑顔だ。

「今度こそおこないますので、もう一度、私の膝の上にどうぞ」

 膝の上を軽く二度叩く。


「マジで頼むからな……」

 あなたが不満げな声を出した後、彼女の膝の上で再び横になる。


「行きますよ。先輩」

 ささやく彼女の声が、顔が、近い。


 あなたが耳のほうに集中していると、どう考えても耳かき棒よりも太いものが耳の中に入れられている気がした。人肌の体温も感じる。


 あなたが彼女の上半身を見たら、彼女は人差し指を立てていた。


「取れましたよ、先輩」


「いやちょっと待て! なんで素手なんだ!」

「耳かきはちゃんとしましたよ」

「違うそうじゃない!」


「……食べたいのですか?」

「食べるわけねーだろそんなもん!」

「でしょうね」

「分かってるなら聞くなッ!」


「汚いので、手を洗って来ます。先輩、どけ、です」

 かわいい声なのに乱暴な言葉遣(ことばづか)いが混じる。


 あなたは無理矢理、彼女の膝から頭を退かされた。彼女は人差し指を上にしたまま立ち上がる。


「洗面所をお借りしますね」


 彼女が部屋から出て行く。

 あなたは寝転んだまま、彼女が戻るのを待っていた。


「先輩、お待たせしました」

 あなたが声の聞こえたほうを見上げると、彼女のカーキ色のロングソックスだけでなく……白い太ももと下着が見えてしまった。


 まずいと思ったあなたと、それを知った彼女。


 あなたが目を逸らそうとした時。


「見ても良いですよ」


 彼女は言った。


 顔色も変えずに彼女はミニスカートをたくし上げる。手の使いかたが上品だ。


 ちらっとしか見えていなかった下着は、正面のほぼ全てがあなたに見せられている。白い下着は質素なデザインだったものの、上のほうに小さな白のリボンがついているのが分かった。


 スカートをつまんでいる後輩の右手には、耳かき棒の姿もあった。


 彼女はテーブルにあったティッシュも一枚取って、寝転んでいたあなたのすぐ横で座った。

 あなたはようやく耳かきをやってもらえると思い、彼女の膝に頭をのせた。


「最初から耳かき棒を使ってほしいと言って下されば、そうしてあげたのですが」


「聞かないで使うのが常識だろよ。お前は食事の時に箸もスプーンも、言われないと出さないのか? 海外の食文化だと手を使うところもあるけど、ここは日本だぞ?」


「……お箸で試すのは危ないと思います」

「誰が耳かき棒の代わりに使えと言ったんだッ!」

「えっ? 先輩ですが」

「そんなこと言ってないっての!」


「静かにして下さい、始める前から気が散ります」

「お前こそ黙れ!」

「はい」


 こうして、あなたのための耳掃除は本格的に始まった。


 実際に進めてもらうと、彼女の耳かきは大変心地が良かった。かり、かり……という音が、気持ちいい。


 両耳を終えるまで、あなたは最高に至福なひとときを得ることが出来た。


「終わりました。……先輩。どうでしたでしょうか?」


「すごく気持ち良かったよ、ありがとう」

 上を向いて正直に伝えるあなた。


 彼女は微笑んだ。


「どういたしまして」


 その愛らしい表情に、あなたは癒される。


 かわいくて、ちょっと頭がおかしいと疑いたくなる一面もある後輩。時々すごく大胆で、耳かきが上手な彼女。


 あなたは機会があれば、また彼女に耳かきをねだりたいと思うのだった。


                    (終わり)

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


もし良ければ、『サキュリバーズ!』など、作者の他作品も読んで頂けたら嬉しいです。


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