サラリーマン、忍者や武者と共に戦国を駆ける。
サラリーマンの僕は今、馬に乗った武将の後ろを勝鬨の声を上げる忍者や沢山の武者と共に走っている。
なんでこんな事になったんだ?
数時間前、僕はスカイダイビングを楽しんでいたのに。
仲間達と共にヘリコプターから大空に身を踊らせ、眼下に見えるパノラマを楽しんでいたら、突然目を開けていられない程の閃光が僕を包む。
瞼を通して見えていた光が消えたので目を開けると、先程まで見えていたパノラマでは無く、森のそこかしこで戦う大勢の武者達の姿が目に飛び込んで来た。
ドラマか映画の撮影か? なんて思う暇も無く着地する。
きらびやかな鎧兜の武将とその武将を守るように取り囲む多数の武者、その武将や武者と対峙している2人の武者の間に割り込み、武将や多数の武者を巻き込んでの着地。
地面に滑り込むように倒れ横たわったまま顔を上げると、パラシュートの下でジタバタしている武将や多数の武者が次々と2人の武者に突かれ切られしていた。
パラシュートが真っ赤に染まり動く者がいなくなるとパラシュートが剥がされる。
きらびやかな鎧兜の武将の顔を確認して2人の武者は喜びの声を上げ、武将の首を切り落とす。
間近で人の首が切られたのを見て僕は失神したらしい。
身体を強く揺すられて目を覚ました僕を、嬉しそうな顔をした2人の武者が抱き起こし引っ張る。
2人の武者の腰周りには沢山の首が吊るされていた。
パラシュートの方を見ると沢山の首の無い死体が転がっている。
また失神しそうになった僕を2人の武者が何処かに引っ張って行く。
引っ張って行かれた先には偉そうな態度の若い武将がいた。
若い武将の名は織田信長。
首を切られたきらびやかな鎧兜の武将は今川義元。
え! そんな馬鹿な。
だって、歴史に詳しく無い僕でも知っている事だけど。
桶狭間で奇襲してきた織田軍を今川軍は返り討ちにして、織田信長は桶狭間で討ち死にする。
このあと今川義元は京に行き足利幕府に代わって今川幕府を作る筈なんだよ。
ヤバい、ヤバいよ。
歴史を改変しちゃったよ。
此れからどうなるの?
誰か教えてよ。
僕は武将の後ろを走りながら頭を抱えて苦悩していた。