『防人、そしてアマビエ』 その4
すいません、最近ちょっとばたばたしていて、なかなか更新が出来ませんでした。少し短いですが、最新話投稿します。
「あーもう! アマビエぜんっぜん見つからないじゃないの!! こうなったらやけ食いだわ。店長、ラーメンもう一杯!!」
「はいよ」
先程豚骨ラーメンを丸々一杯食べたばかりだと言うのに、もの凄い勢いでラーメンをすするドクは、見るからにストレスが溜まっている様子だった。それもそのはず。アマビエを探すと決めて今日でもう一週間が経過している。しかしその間、アマビエの影すら見えない状況なのだ。
「早くしないと防人の皆さんの容態も心配ですしね。もしこれ以上延びるようならば、一旦戻ってラブさんを呼んだ方がいいでしょうか。⋯⋯あとドクさん、あんまり食べ過ぎると太りますよ?」
「うっさい! 太ったら毒摂取して無理矢理痩せればいいのよ。それに、ラブの奴は確かトムおじとザキの奴と一緒に北海道に行ってるはずよ。だいぶ面倒くさそうな任務だったし、今アジトに戻ってもたぶん居ないわよ」
ドクはそう言うと、どんぶりを持ち上げてスープを一気に飲み干し、そして店長に「替え玉、麺バリカタで!」と告げた。まだ食べるのかこの人は。既にゴシックドレスのフリルに隠れているはずのお腹がポッコリと膨れあがっているのが見えているのだが、見かけによらずかなりの大食いみたいだ。
「はいよ、替え玉お待ちぃ。⋯⋯ところでお嬢ちゃん達、さっきちょっとだけ会話が聞こえたんだが、アマビエを探しているのかい? 俺、居るかもしれない場所知ってるぜ?」
「ぶふぅっ!? て、店長、それホント!?」
「ああ、ホントだぜ。確か、阿蘇山に居るとかいう噂を聞いた。寺生まれの俺が言うんだ、信頼してくれていいぜ」
ドクに口に含んでいた豚骨ラーメンのスープをぶっかけられても平然と答えてサムズアップする店長の言葉は、確かに信頼できる何かがあった。心音からも嘘をついている様子はないし、何より寺生まれだ。
「情報ありがと、店長。お礼にもう一杯注文してあげるわ!」
「はっはっは。いいってことよ嬢ちゃん。⋯⋯え、まだ食うの?」
やっと情報が手に入ったことで上機嫌になったドクは、〆の一杯とばかりにぺろりと追加のラーメンを平らげる。ごちそうさまと手を合わせ立ち上がった時には、妊婦のようにお腹が膨らんでいた。
「うっぷ。流石に食べ過ぎたわね。お腹が苦しいわ」
「だから食べ過ぎですって言ったのに⋯⋯」
「消化用の毒を飲むから大丈夫よ。完全に消化が終わったら早速阿蘇山に行くわ。散々ドクちゃんを歩かせたんだから、覚悟しておきなさいよね、アマビエぇぇぇ!!!」
ドクは威勢良く吠えたが、この日はもう遅い。既に日が沈んでしまっていた。今から山を登るのは流石に危険である。私達は、翌日に阿蘇山へと出発することを決めたのであった。
〇〇〇〇〇
「⋯⋯おい、お前達。これは一体どういうことだ」
一方、ドクとエミがようやくアマビエの情報を掴んだ日と同日、防人の本拠地には、この地を治める『大罪七将』、『暴食魔将』グラルートがやって来ていた。
しかし、本来ならば命を省みず彼に立ち向かう戦士達は、そのほとんどが病に冒され、ろくに立つことも出来ずに居た。
「ぐ、グラルート⋯⋯。やっと帰ってきおったか。俺たちは既に決闘の準備はできとる。早速、命を賭けた果たし合いを死合おうぞ!!」
「⋯⋯お前、確かハカタとかいう戦士だな。貴様まで病に冒されているではないか。軟弱な。我は、病人と戦う趣味はない」
「お、俺達は病人ではなか! 戦える!! だから、デジマの人間を殺すのは止めてくれ!!」
ドク達と出会ってから一週間が経過し、防人達の病状は確実に進行していた。唯一まともに立って話せるハカタでさえ、ふらついていてまともに戦える状態にはとてもじゃないが見えない。
そして、そんなハカタを一瞥したグラルートは、全く表情を変化させることなく、ただその額にそっと手をかざした。
「⋯⋯戦えぬ戦士に、価値は無い。しかし、貴様のその強き意志は、賞賛に値するものだ。ここで死ぬには、少し惜しい」
ふらつく姿勢のままグラルートを睨み付けていたハカタは、自分の身体が急に楽になったのを感じた。何が起こったかは理解出来なかったが、ハカタは動くようになった身体で、すかさずグラルートに斬りかかった。
「⋯⋯やはり貴様は、真の戦士だな。それでこそ、我がわざわざ病を喰らったかいがあるというもの」
しかし、ハカタの刀はグラルートに届くことはなく、ブンッと乱暴に振るった腕によって壁に突き飛ばされ、そのまま気絶してしまった。グラルートは、そんなハカタにトドメを刺すことはなく、ゆっくりと防人の本拠地を後にする。
「⋯⋯病は喰ったが、まだ本調子ではないだろう。本気の貴様と戦うことこそ、戦士たる者への礼儀。そして、我とこの戦士たちの決闘に水を差した不届き者には、しかるべき罰を与えねば。この病は、自然に発生するモノではない。喰った魔力から、ある程度の場所は特定出来る」
ビクビクと怯えた様子で袴と履き物を用意した小男の頭を蹴り飛ばし、胴体だけとなった小男の死体から袴と草履を奪い取ると、グラルートは迷い無く歩き始める。
「さあ、行くか⋯⋯。不届き者の居場所⋯⋯阿蘇山へ」
次回更新は未定です。なるべく早く書けるよう頑張ります。




