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僕らの日常を取り戻せ!~元転生者たちは世界を救う~  作者: 赤葉忍
第一章:元勇者と個性的な仲間たち
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魔王の娘との迷宮巡り(1日目)

ごめんなさいまたちょっと遅れました~!

「今日からは吾輩がお主の指導役なのだ! よろしく頼むぞ、ユウ!」


「はい、よろしくお願いします」


 ボクの目の前で得意げにふんぞり返るのは、水色のツインテールと頭に生えた角が特徴的な少女、ラビだ。今日から3日間、彼女の元で仕事を学ぶこととなっている。


「それで、ラビは何を教えてくださるのでしょうか?」


「ふっふっふ。吾輩がここで教えることといえばただ1つ! 吾輩の造り上げた自慢の『ダンジョン』、これを隅々まで教えてやるのだ!」


「ダンジョンって、このアジトのことですか?」


「お、ユウは察しがいいのだ。その通り、このアジトは吾輩の能力、『迷宮作成(ダンジョンクリエイト)』によって造りだしたダンジョンなのだ!」

 

 リズが魔術を使えるように、ラビも普通の人間には使えない不思議な力を持っているようだ。昨日ボクの部屋を造ると言っていた時も、この能力を使ったのだろう。


「へぇ⋯⋯! ラビって凄いんですね。こんな広いアジトを1人で造っちゃうなんて、尊敬します」


「そ、そうか? あまり褒められたことがないから何だか新鮮な気持ちなのだ」


「きっと皆さんは慣れてしまったからラビの凄さに気が付かないんですよ。他の方の代わりにボクが褒めますね。ラビすごい! かわいい! 天才!!」


「え、えへへ。もっと褒めるがいいのだ!!」


 ラビを見ていると、見た目が幼いこともあって無性に甘やかしたくなってしまう。きっと、妹が居たらこんな感じなんじゃないかなーって思うくらいだ。


 妹⋯⋯妹?


――ズキッ


「痛っ!」


「ユウ、急に頭を抱えてどうしたのだ? はげるのか?」


「はげませんよ! なんか急に頭が痛くなって⋯⋯もう治ったみたいです。気にしないでください」


「なにもないなら良かったのだ。これからアジトを隅から隅まで自慢する予定だから、いきなり体調を崩されたら困るのだ」


 先程の唐突な頭痛は、一体なんだったのか。もしかしたら、失われた記憶に何か関係していたりするんだろうか⋯⋯? 


「おーい、何立ち止まっているのだ。時間は待ってはくれないのだ! 早くこっちに来るのだ~!」


「あ、はい。待ってくださーい!」


 考え込んでいるうちに、ラビに置いていかれそうになっていた。ただでさえ広いこのアジト。今居る場所もまだ来たことがない場所だ。こんなところで1人になれば確実に迷子になる。頭痛の件は気になるが、ボクは慌ててラビの後を追いかけることにした。




「ここは、スポーツジム。暇な時はここでトレーニングして身体を動かすのだ!」


「ここは、娯楽室。人間が産みだしたゲームや漫画⋯⋯今や地上ではほとんど消えてしまったそれらの娯楽を保管し、楽しむ場所なのだ」


「ここは拷問室。ドク以外は近寄らないおっかない場所なのだ」


「ここは大浴場、ここはサウナ室。そしてここは⋯⋯」


 ラビに案内されるがまま、様々なアジト内の施設を訪れた。途中何だか物騒な場所もあった気もしたが、どれもとてもしっかりとした造りになっていて、ラビの能力の凄さを改めて思い知った。


「ところで、これってどうやってこれらの施設を産み出す空間を確保しているんですか? 地下とはいえ流石にあり得ないくらい広い気がするんですが⋯⋯」


「吾輩の『迷宮作成』で産みだしたダンジョンは、所謂固有結界のようなものなのだ。だからスペースとか関係なくいくらでも部屋を足せるし、魔力のパスさえ通してくれればどこからでも入ることが出来るのだ。そして、ダンジョンマスターである吾輩の許可無しには入ることはできない!」


「へぇ⋯⋯! まさに、アジトにするにはぴったりな能力ということですね。ますますラビのこと凄いと思いました」


「え、えへへ⋯⋯。ほ、褒めてももう何も出ないのだ。でも、もっと褒めてほしいのだ!!」


 ラビがぐりぐりと頭を押しつけてきたので、優しく撫でてあげる。まだ1日目なのに、すっかり懐かれてしまった。まあ、ボクとしてもこんな可愛らしい子と触れあうことが出来てとても嬉しいから、これはWin-Winの関係と言えるだろう。


「よしよーし。それではラビ、次はどこを案内してくれるんですか?」


「むー! なんだかいつまでも敬語だと固っ苦しくて嫌なのだ! ため口で会話することを特別に許可するのだ!」


「ははー! ありがたき幸せ」


「うむ! よきにはからえなのだ」


 ため口でOKと言われたので、ちょっと巫山戯て大袈裟に感謝を述べてみると、ラビもそれに乗ってくれた。顔を見合わせ、互いに笑みを浮かべる。ラビとは、よい友達になれそうだ。


「それで、次の場所だけれど⋯⋯今までよりももっと凄い場所に案内したいから、明日でもいいのだ? 今日はもう遅いし、案内するならじっくり時間をかけてしたいのだ!」


「うん、いいよ、ラビ。ラビの好きなように案内してくれたら、きっとボクも凄く楽しめると思う」


「おお⋯⋯! 敬語じゃないユウ、なんだか凄い新鮮でいいのだ! ふふっ、確かリズにもまだ敬語だったのだ。これでユウのため口フレンドは吾輩が一番乗りなのだー!!」


「喜んでくれるなら、嬉しいな。ボクの初めて、ラビに奪われちゃったね」


「ゆ、ユウ⋯⋯!? なんだかその言い方は凄い意味深に聞こえるのだ!」


「え、どういうこと?」


「ああ、そういえばこいつ記憶喪失だったのだ! もしかしてこいつ、予想以上にヤバい奴なのだ⋯⋯?」


 途中からラビが何故か百面相を始めたりしたけれど、ラビとのアジト巡り⋯⋯もとい迷宮巡りの初日は、とても楽しく終わったのであった。


次は2日目と3日目、同時にやります。新キャラも1人でてきますよ~。

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