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僕らの日常を取り戻せ!~元転生者たちは世界を救う~  作者: 赤葉忍
第三章:『忍』の心、ここにあり
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『ボレロ』

お待たせしました、最新話投稿です!

「ふぅ、何とか無事迷宮化を完了させたのだ。後は闘技場の中だけ⋯⋯ユウ達、大丈夫なのだ?」


 忍者2人の健闘もあり、無事『ヒューマン・ズー』の迷宮化を完成させたラビは、囚われた人間と生き残りの忍者達をアジトへと転送することに成功していた。


 心配なのは、能力の適応外となっている闘技場内である。護衛の忍者2人、アサとヨルはまだ待機しているが、首長2人はルクスリアにやられてしまったことをラビは感知している。恐らく、残った2人ではルクスリアが襲ってきた時に対処は出来ない。


 ラビは、ルクスリアがこちらに近づかないことを祈りつつ、ユウ達が闘技場から出るのを待つのであった。


〇〇〇〇


「ガルルルァ!!」


 イライザは雄叫びを上げ、拳を鋭く突きだしてくる。微量の魔力を毛皮に纏った拳は、空気摩擦も合わさり炎を上げて襲い来る。


「はぁっ!」


 炎を纏った拳にそのままぶつかれば火傷は避けられない。とっさに水の魔力を剣に纏わせ、受け止めるも勢いまでは殺しきれない。1発目で剣を弾かれ、続く2発目で肩を焼かれてしまう。


「ガルルルぁぁ!! ノロいノロいノロいぃぃぃーー!!」


 イライザの猛攻はまだ止まらない。足を振り上げ、首元を狙ってくる。先程の拳のダメージのせいで回避が間に合わないと思われたが、ぐいっと後ろから服の裾を掴まれたことでギリギリよけることが出来た。


「ちょっと、いつまで寝ぼけてるつもり? ドクちゃんも居るんだから、そろそろ反撃するわよ?」


「ドク⋯⋯! ありがとうございます。頑張ります!!」


 ドクのメイク術はこんな時でも便利である。風景に紛れていつの間にか近くまで来てくれたおかげで、何とか致命傷は受けずに済んだ。


「お前、邪魔だなぁ⋯⋯! さっきの毒の怒り、思いっきりぶつけてやるよぉ!!」


「え、ヤバ。いや、ドクちゃん直接戦闘は無理なんだって!! なんちゃって忍術、身代わりの術!!」


「いやそれボクを盾にしてるだけぇ!?」


 先程の激励の言葉は何だったのか。ドクはあっさりとボクのことを肉壁にした。とはいえ、イライザの攻撃が来ること自体は予想していたので、全力で魔力をぶつけることで相殺する。


「ハハハハ!! そんなんであたいの攻撃を受け止めきれると思うなぁ!? ガルガルガルガルぁ!!」


 イライザの猛攻は止まる気配がない。スタミナという概念がないのか、切れ間無く襲い来る拳のラッシュは、確実にダメージを与えていく。


「そのまま抑えといて、ユウ。ドクちゃんが何とかまた毒を⋯⋯」


「同じ手を2度喰らうか、ボケぇ!!」


 さらに、隙をついて回り込もうとしたドクの気配を察知し、尻尾で吹き飛ばすという容赦のなさ。ドクはたまらず持っていたナイフを手から落としてしまう。


「ドク!」


「お前は他人の心配をしている暇ないだろ、あぁん!?」


 吹き飛ばされたドクの安否は気になるが、イライザの言うとおり気に懸ける暇すら与えてくれない。拳と尻尾を織り交ぜた攻撃をあらゆる方向から撃ちだしてくるのだ。防御すらままならない。


 服が裂け、耳がちぎれ、皮膚が焼かれる。ドクが戦線に復帰する気配はない。今にも意識が消し飛びそうだ。しかし、倒れるわけにはいかない理由がある。ボクはこうしてイライザの攻撃を受け止めるのが精一杯だが、後ろで回転しながら力を貯めているリズならば、確実にイライザを打ち倒す一手を打ってくれるはずだ。


「ガルルルぅ!!」


 イライザの突きだした拳が、ボクのお腹を貫く。肉が焼ける臭いが鼻をつき、意識が飛びそうになる。しかし、痛みは不思議と感じることはなかった。


「⋯⋯よく頑張りましたわ、ユウ。さあ、あとはわたくしにお任せください」


 お腹に空いた穴が、真っ赤なルビーによって埋められる。意識を失い倒れる寸前だったボクの身体を優しく受け止めてくれたのは、リズであった。


 そして、リズの足はボクの胸に咲いた薔薇のようなルビーと同じ、真っ赤に染め上げられている。その深紅は、リズの準備が完了したことを言外に示していた。


「いきますわ⋯⋯! アン・ドゥ・トロワ!!」


 まずは、猛スピードでイライザに迫り、素早い三連撃。これはイライザの拳で容易に受け止められてしまうが、リズが回転により蓄えたエネルギーは、そのまま速度に変換されて更なる連撃を叩き込む。


「まだまだ続きます! カトル・サーンク・スィス!!」


 ここで、イライザとリズの速度がほぼ同じになった。それでも、イライザにはまだ余裕がある。援護をすべく放ったボクの魔術を、尻尾で打ち返してくるくらいだ。


「どうしたぁ!? 散々時間稼いでおいて、こんなもんか、おらぁ!」


「いいえ、まだまだ⋯⋯!! セットゥ・ュイットゥ・ヌフ・ディヌ!!」


 そして、ここでようやくリズの速度がイライザを上回る。渡された宝石によって強化された視力でも追いつかない程の速度で華麗に放たれた蹴りは、イライザの両腕を弾き、胴体をがら空きにした。


「これで、フィナーレですわ! 火・風・土・水・雷。全ての魔術を合成し、光輝くジュエルコーラス。『オパール・ボレロ』!!」


 加速の中で深紅から虹色へと色を変えた宝石の脚が、イライザの腹部を一閃する。キラキラと輝く残滓を残しながら、リズは優雅にカーテシーを行う。そして、それに続くかのように、イライザの上半身が音を立てて地面へと落ちたのであった。


次回、おそらくイライザ戦決着です。

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