『色欲』の煙は浸食する
最近隔日更新になってしまってるのはお許しください⋯⋯。ちょっと明日も忙しくて更新お休みになりそうです。その分更新分はしっかりと書いていきますよ!
「あ~、もう、うざったいわねぇ!」
ルクスリアは苛ついた様子で鞭を振るう。その鞭の動きでまた1人、隠れ潜んでいた忍者の首が飛んだ。
しかし、ルクスリアはその忍者の記憶をいちいち読み取ることはない。雑魚の記憶をいくら読んでも時間の無駄だと分かっているからだ。
ルクスリアが苛ついている原因は、先程から同じようなことを繰り返しているからだ。隠れている忍者は定期的に見つけて殺しているが、肝心の元凶へとたどり着けない。
その上、少し前から施設内のあちこちで爆発音が響いているせいで、その忍者の探知もかなり集中しなければ難しい。
この状況、ルクスリアの友人である『憤怒魔将』イライザならば、確実に激高し暴れ回るだろう。しかし、ルクスリアはそんなことはしない。ルクスリアならばそれで良いが、自分がそんなことをしても何の得にもならないと理解しているからだ。
「ふぅ~。苛ついてても仕方ないわよね。こんな時こそクールにならなきゃ。⋯⋯ひとまず、この爆音には黙って貰いましょ」
ルクスリアは、鞭を床に置き、上着を脱ぎ筋肉質な上半身を露わにした。下に履いているのはブーメランパンツだけなので、完全に変態でしかない格好になったわけだが、ルクスリアは巫山戯ている訳ではない。
さらけ出された乳首から、ピンク色の煙が立ち上がり、施設内部へとゆっくりと広がっていく。『色欲魔将』の本領が今まさに発揮されようとしていた。
〇〇〇〇
「ガッハッハ! どうだ、甲賀の! 俺様たち伊賀忍者のど派手な花火は! これで奴の自慢の耳も効くまい!!」
「⋯⋯確かに、爆発音で反響音を打ち消すというのは効果的な手段だ。しかし、忍者とは静かに任務を遂行するもの。このようなやり方は邪道だ」
「はぁ~っ! いちいちムカつく言い方する野郎だぜ。少しは他人を褒めるってことを覚えねぇのかね」
時折言い争いをしつつも、なんだかんだ一緒に行動している2人の長たち。しかし、その軽快な足取りが突如止まる。違和感を覚えたのはほぼ同時。ただし、先に異常事態の全貌を把握したのは甲賀の里のオサであった。
「⋯⋯仲間からの通信がほぼ同時に途絶えた。そしてこの異様な臭気。ルクスリアが何かしたに違いない」
「おい、まさか全員殺されたってことか!?」
「⋯⋯いや、生体反応は感知できる。おそらく、自らの意志で通信装置を破壊したのだ。そうするように精神を捜査されたのだろう。実際、何らかの精神汚染を受けている感覚はある」
いつの間にか、辺りにはピンク色の煙が充満している。この煙を吸ったことで、精神汚染を受けてしまったのだろう。そう判断したオサは、冷静にマスクを装着した。
「成程なぁ。確かに俺様もちょっと気分が悪い。いや、まあそれはお前と一緒に居るせいか。ところでお前、なんで正気で居られるんだ? 煙、普通に吸ってるだろ」
伊賀の里のリーダーも、会話しながら派手な柄のマスクを装着する。そしてその疑問は、お互いに相手に抱えていたものだった。
「それはこちらの台詞だ⋯⋯。まあ、我に関して言えば、そうだな。⋯⋯貴様の前で敵に操られる醜態をさらすのが我慢ならず、気合いで耐えた」
「奇遇だなぁ。俺様も同じだ。お前が無様にも敵の術にかかったら思いっきり笑った後殺してやろうかと思ってたんだがなぁ!」
「「はっはっはっは」」
2人の長は、互いに顔を見合わせ笑った後、すっと同じタイミングで真顔になり、武器を構えた。
そして始まる、喧嘩と呼ぶには少々激しすぎる技の応酬。オサは懐に隠していた痺れまきびしをばらまき、リーダーは小型爆弾を投げつけ爆音を響かせる。
そして、その爆音は、ルクスリアが場所を特定するには十分過ぎる音量であった。2人が剣と剣を交えた瞬間、壁を蹴破って現れたルクスリアは、満面の笑みを浮かべた。
「みーつけた!」
他とは異なる雰囲気に、彼らこそがこの事態の元凶だと判断し、見敵必殺とばかりに鋭く鞭を放つルクスリア。その攻撃を寸前でかわした2人は、くるりと空中で一回転してから着地し、距離を取ってルクスリアを睨み付けた。
「⋯⋯まあ、これも計算だがな。名付けて、『わざと騒いで敵を引きつける大作戦』だ」
「いや、嘘だよな? 普通にお互い全力でやりあってたし、心拍数上がってるの分かってるからな?」
「ふふふ。随分と仲のよいお二人さんね。仲良く一緒にあの世へ送ってあげるわぁ!」
「「仲良くなんかない!!」」
またしても同時に言葉を発してしまい、同時に顔をしかめる2人の長。しかし、ここで言い争いを始める暇などない。互いへの嫌悪を目の前の敵1人に向け、激しい戦いの幕が今上がるのであった。
〇〇〇〇
「あれ、お、俺は一体⋯⋯。何故か頭が痛いな」
「うう、こっちもだよ。ヨル、アンタは大丈夫かい?」
「⋯⋯やれやれ。手がかかる護衛なのだ」
一方その同時刻、隠れ潜んでいたラビであったが、突然暴れ出した護衛2人の頭を叩き、何とか正気を取り戻すことに成功していた。
しかし、そのせいで術式が一旦止まってしまっている。急いで術を完成させるため、隣で何やら互いに心配しあいいちゃつき始めたカップル忍者を無視して、ラビは再び術の完成を急ぐのであった。
次回も忍者視点。こちらも書いていて楽しいですね。




