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僕らの日常を取り戻せ!~元転生者たちは世界を救う~  作者: 赤葉忍
第三章:『忍』の心、ここにあり
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禁断の恋

昨日は休んでしまいましたが今日はしっかり投稿します!

「本当に伊賀の里に行かれるのですか? あんな野蛮人共の協力など得なくとも、我ら甲賀の忍者だけで充分だと思いますが⋯⋯」


「ボクももう少し忍術を学びたいですが、伊賀の地には仲間が待っているんです。一緒に戦う時は貰ったこの通信機で連絡します。その時は、是非力を貸してくださいね!」


「⋯⋯はい。それは勿論。貴女は最早、我らの里の仲間と同然。身内のようなものです。里の未来、そして人類の未来のためにも、貴女が呼べばいつでも駆けつけましょう」


 がしっと熱い握手を交わす。本当にオサには色々とお世話になった。忍術も簡単なものなら使えるようになったし、小型連絡機もくれた。この恩は、魔族との戦いの時に返したいと思う。


 オサに一旦別れを告げ、ドク達が居る小屋へと戻る。するとそこには、むすっと頬を膨らませて仁王立ちしているラビとドクが居た。


「「遅い!!」」


「ご、ごめんなさい。忍術を覚えるのに夢中になってて、つい⋯⋯」


 怒りっぽいドクだけでなく、基本温厚なラビまで怒らせてしまったのは素直に反省である。流石に、五時間近く待ちぼうけを食らわせたのは悪かったと思う。


「⋯⋯オサと話しているユウ、凄く楽しそうだったのだ。ユウは吾輩達と居るより、忍者と一緒の方がいいのだ?」


 そうこちらに問いかけるラビの瞳は、不安げに揺れていた。⋯⋯自分の楽しみだけを優先して仲間を心配させるとか、最低である。猛省だ。ボクは、お詫びの意味も込めてラビを力一杯抱きしめた。


「ごめんね、ラビ!! ボク、もう暴走して2人を放っておいたりしないから!!」


「ユウー! 吾輩、寂しかったのだ~!! でも謝ってくれたから許すのだ~!!」


 そして、2人で抱き合ったまま、ちらりと視線をドクへと向ける。どうせなら3人一緒にハグしようと、ドクが入るスペースを空けてあげたが、ドクは呆れたような視線を寄越すだけであった。


「はあ⋯⋯。茶番は置いといて、さっさとリズのところに行くわよ。このままじゃアイツ、お婆ちゃんになっちゃうわ」


「なにぃ!? リズがお婆ちゃんになっては不味いのだ。早く伊賀の地へれっつらごーなのだ~!!」


 ラビが、部屋の隅に水晶のような物体を設置する。すると、それまで何の変哲もない小屋の中だった景色が、アジト内と同じく土で覆われたものに変化した。


「ラビ、これは一体⋯⋯?」


「吾輩の力でこの小屋の中を仮装ダンジョンに変えたのだ! いちいちアジトへ戻るよりこっちの方が早いし、この仮装ダンジョンをアジト内へと引きずり込むことだって出来るから凄い便利なのだ」


「今回の任務はあくまでも囚われた人間達の救助がメインだから、ラビのこの力が必要不可欠ってわけよ。こいつが居れば、一気に大人数をアジトへ送ることが出来るからね。⋯⋯てかユウ、アンタ事前に教えて貰えなかったわけ?」


「後で教えて貰えればいいかな~と思ってまして」


「全く⋯⋯アンタ、変に抜けてるところがあるわよね」


 ドクには呆れられてしまったが、どっちみちちゃんと知ることは出来たから問題ないのではないかと思う。結果良ければ全てよし⋯⋯はちょっと違う気がするが、まあそんな感じだ。


 そして、ここが仮装のダンジョンとなったのであれば、ラビの力でリズの近くに出口を作れば簡易的な転移術の完成である。早速ラビが伊賀の地への出口を開こうとしたその時、小屋の扉を開けて誰かが中に入ってきた。


「お待ちください! 伊賀へと行くならば、俺も連れて行ってください!」


 入って来たのは、恐らく里の住人と思わしき忍者だった。格好はオサとほぼ同じだが、雰囲気と匂いが異なる。まだオサ以外の忍者とは会っていないから、彼とは初対面である。


 全くの初対面の相手を伊賀へ同行させる理由はないが、既に発動させた術を急に止めることは出来ない。まだ名前も知らない忍者の同行を拒否する前に、ラビの転移術は完了し、目の前には悩ましげな様子でため息をつくリズが現れた。


「はあ、忍者の説得をどうしたものでしょうか⋯⋯。あら? ラビにドク、そしてユウ! 来てくださったのですね。助かりますわ! ⋯⋯ところで、そこに居る殿方は何者ですの?」


 それは、ボク達も聞きたいことである。どうやらリズもドクと同様、里に到着したはいいが説得に苦労しているらしい。客人用と思わしき小屋の中でどうしたものかと悩んでいたら、ボク達がやって来たわけだ。


 とりあえず、甲賀の里から無理矢理着いてきた忍者を4人で囲み、質問タイムである。名前はなんというのか、何のためについて来たのか。それらの質問に対し、忍者は誤魔化すことなく答えてくれた。


「⋯⋯俺の名は、『ヨル』。甲賀の里の忍びです。あなたたちに無理矢理着いてきたのは、この地に会いたい人が居るからです」


「会いたい人が居るというなら、わざわざボクたちに無理矢理着いてこなくても、会えたのでは⋯⋯?」


「甲賀と伊賀の忍者は、昔から対立している関係です。甲賀の忍者である俺が里に入ろうとしても、追い出されてしまうことは確実⋯⋯。実際、何度か試しましたがその度に追い出され、里に入ることは叶いませんでした」


 伊賀と甲賀、場所が違うとはいえ同じ忍者なのだから仲良くすればいいと思うが、どうもそういうわけにはいかないようだ。しかし、対立しているというならばオサはこのヨルという青年にボクらと同行することに許可をだしているとは思いにくい。


 そのことについて尋ねてみると、案の定ヨルはオサの許可をとっていないようだった。


「俺は、里の決まりを破り、ここに来ることを決めました。既に通信機の電源は切ったため、俺の見聞きしたことが里の皆に伝わることはない。⋯⋯そして、それは里では裏切りを意味し、2度と里に足を踏み入れることは許されない程の行為です。しかし、俺はたとえ里の決まりを破ったとしても、彼女に会いたかったんだ⋯⋯!」


「え、彼女って何さ。もしかして⋯⋯まさか恋人に会うために里の決まりを破ったの? きゃー、素敵♡ ⋯⋯なんて言うと思ったかボケ。そんなつまんない理由にドクちゃんたちを巻き込むんじゃねーぞ?」


 ドクは早速キレ散らかしているが、ボクとしてはヨルがそこまでして会おうとした彼女

とやらが気になるところである。


 伊賀と甲賀、対立する2つの里の間で産まれた、禁断の愛。まるで映画みたいなその状況に、少しだけドキドキしていると、バン!と勢いよく小屋の戸が開かれた。そして、ドアを開けて入って来た人物の姿を見たヨルの目が、大きく見開かれる。


「あ、『アサ』! まさか、俺を迎えに来てくれたのか!?」


「うっせぇ! 何急に来てんだこら! 嬉しすぎて心臓破裂しそうになったじゃねぇか馬鹿!!」


 ヨルがアサと呼んだその女性は、真っ赤な忍び装束に負けないくらいに顔を真っ赤に染めて、ヨルを嬉しそうに罵ったのであった。



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