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僕らの日常を取り戻せ!~元転生者たちは世界を救う~  作者: 赤葉忍
第三章:『忍』の心、ここにあり
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いざ行こう、伊賀・甲賀

お待たせしました。今日から投稿再開、第三章開始です!

「東北の地での任務、ご苦労だった。アケディアの件に関しては残念だが⋯⋯ラブが何とかしてくれると信じよう」


 東北から帰ってきたボク達は、ボスに任務の達成報告を行っている。ちなみに、ラブとトムはアケディアの治療でここには居ない。アベはラビの案内でアジトを探検中⋯⋯ということで、この場に居るのはボクとザキの2人だ。


「お前達も疲れただろう。風呂にでも入って休むといい」


「あ、実は風呂にはもう⋯⋯。あと、任務以外で1つ、報告しておきたいことがあります」


 任務についての報告は終わったので、ボクは自分の記憶のことについてボスに話すことにした。記憶の一部が戻り、母と妹が居ることを思いだしたこと、そして記憶が戻ると同時に目覚めた新たな力についてだ。


「ふむ、それは興味深い話だ。その力については、現状こちらとしても何も分からない。ただ、単純に力が増えたことは喜ばしいことだろう。そして、ユウの家族に関してだが⋯⋯残念ながら、こちらもまだ何も出来ない。助けるにしても、情報が少なすぎるからだ。家族がどこに住んでいたかなどの記憶は、戻っていないのだろう?」


「はい⋯⋯」


 そう、母と妹が居ることは思いだしたのだが、どこに住んでいたかという記憶は戻っていない。もし母と妹が魔族に捕らえられているとしても、ボスの言うとおり情報が少なすぎてどうしようもないのだ。


「ゆ、ユウ。あまり思い詰めないでくださいね⋯⋯。きっと、ユウの家族は生きています。私たちで、必ず助け出しましょう」


 ボクが落ち込んでいると思ったのだろう。ザキが両手でギュッとボクの手を握りしめて励ましてくれる。


 家族のことは、東北ではまだ誰にも話していなかった。アケディアと戦う前に余計な心配をかけたくなかったからだ。だから、ザキがボクの家族のことを知ったのもついさっきのこと。動揺もあっただろうに、こうして励ましてくれるザキは本当に優しい子だ。その優しさに、ボクは勇気を貰った。


「ザキの言うとおりだ。ユウの家族は必ず助け出す。⋯⋯実は、お前達とは別に任務を与えていたリズ達が今、囚われた人間達を救うためとある場所へと向かっている。お前は任務を終えたばかりだから休息が必要かもしれないが⋯⋯もし気になるなら、リズ達に合流してみないか? 最終決定は、君に任せよう」


 アジトに帰った時リズとドクがどこにも居ないのを疑問に思っていたが、どうやらボク達と同時期にアジトの外に向かっていたみたいだ。


 任務の疲れは、温泉に入ったこともあってほとんど残っていない。ボクは、ボスからの提案に力強く頷いた。


「⋯⋯行きます。是非、行かせてください」


「じゃ、じゃあ、私も行きます! ユウの行く場所なら、どこまででも⋯⋯」


 ボクに続いて行くと表意したザキに、ボスは驚いた様子で目を丸くした。


「驚いたな。いつものザキなら、死にたくないから任務なんて行きたくないと言ってたところじゃないか? やる気があるのは喜ばしいことだが⋯⋯お前にはラブからドクターストップがかかっている。魔術が効かない分怪我の治療や疲労の抜けるのに時間がかかる君は、一週間は安静にしておくようにとのことだ。悪いが、仮に行けたとしても一週間後だな」


「そ、そんな⋯⋯!? 一週間も会えないなんて、寂しくて死んじゃいます⋯⋯」


 すっかりしおれてしまったザキには悪いが、安静にと言われたならしょうが無い。慰めるために頭を撫でてあげたところ、何か匂いのついたものが欲しいと言われたのでハンカチを渡したところ、満足した様子で自室へと戻っていった。⋯⋯ハンカチ、何に使うつもりなのだろう。


「ところでボス、リズ達は今、どこに居るのですか?」


「ああ、そうだな。行くと言うならば、話しておかねばならないだろう。リズ達が向かったのは過去に伊賀、そして甲賀と呼ばれた場所だ」


「伊賀と甲賀⋯⋯なんか、聞き覚えがある気がします」


「ああ、この地名は有名だ。なにせ、伊賀と甲賀といえば『忍者』の代名詞だからな。そして⋯⋯その地には現代においてなお、『忍者』が生息している。リズとドクは、彼らの協力を仰ぐためかの地へと向かったのだ」


 忍者が実在するのは知っていたが、まさか現代にも居るとは思わなかった。しかし、陰陽師や妖怪がいるくらいだ。忍者だっていても全くおかしくないだろう。


「忍者ってことはつまり、忍術とか使えたりするんですか!?」


「ああ。アニメや漫画で使うような忍術はフィクションとされることが多いが、彼らは実際にあのような力を使うことが出来る。まあ、魔術が使える君ならば、そこまで驚くことも⋯⋯」


「に、忍術ってあれですよね!? 忍法『水遁の術』みたいな奴! うわー、凄いなぁ。本当に使えるんですね。是非サインを貰いたいです!」


「お、思った以上に反応がいいな⋯⋯」


「当たり前です。忍者って言えば日本人なら皆憧れの存在ですよ!」

 

 魔術と忍術はまた別の存在である。やはり根がこの地に住まう人間だからか、『忍者』と聞いただけでテンションが上がってしまうものだ。


「果たして、彼らがサインをしてくれるか⋯⋯。ま、まあ、それはさておき、伊賀と甲賀とは現代では三重と滋賀にあたる。この意味は、君にも分かるだろう?」


 ボスに告げられた土地、三重と滋賀は、近畿地方にある県だ。それはつまり、ボクを捕まえたあのエルフ⋯⋯『色欲魔将』ルクスリアが支配する土地である。


 家族を救い出すために向かう場所が、因縁の相手が支配する土地とは、何となく運命のようなものを感じる。先程までの高揚した気持ちが一転し、この任務の重大さを改めて感じ取った。


「その顔は⋯⋯どうやら、わざわざ忠告するまでもないようだな。それではユウ、改めて任務を告げよう。伊賀と甲賀に赴き、現地で忍者の協力を得、そして囚われた人間達を救い出すのだ!」


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