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覚醒した勇者の力

ユウVSナナホシその2! 今回で決着です。


「お、おいお前、一体何をした。どうやって相棒を粉々にしたんだよぉ!?」


 ナナホシの叫ぶ声で、はっと我に返った。そうだ、今はナナホシと戦っている最中なのだった。思い出した家族のことは気になるが、色々考えるのは後にしてこの状況を何とかしなければならない。


 今の自分に何が出来るかは、何となく分かっている。おそらくこれが、先程の声が言っていた『勇者の力』とやらなのだと思う。


「くそ、何しやがったかは分からないけれど、これくらいであたいの相棒が死んだと思うなよ! これくらいならまだ再生は可能なんだからな!」


 その言葉通り、粉々になったはずのスライムは徐々に再生を始めていた。完全に再生されてしまえば、先程までのように厄介なことになりかねない。


 しかし、今のボクにはあのスライムにも勝てる自信があった。


「⋯⋯『ファイア』」


 唱えるのは、今までと同じ火の魔術。異なるのは、その威力だ。二回りほど大きくなった火球は、耐性など知ったことかとばかりに再生途中だったスライムを焼き尽くし、完全に灰へと変えてしまった。


「そ、そんな⋯⋯! あたいの相棒がこんなにあっさりと⋯⋯!?」


 ナナホシが驚いているが、ボクも自分で威力の大きさにビックリしていた。魔力が体内で多くなっているのは何となく分かっていたが、まさかここまでとは思わなかったのだ。


 そして、ボクの力はこれだけではない。解放された勇者の力とやらは、魔力の向上に加えある特殊な能力を与えてくれていた。


 しかし、ボクがその力を使う前に、ナナホシが行動を起こす。何を思ったのか、自分の身体を手で撫で回し始めたのだ。


殺された相棒を悼んでか、大粒の涙をボロボロと流しながら、くねくねと身体を揺らし、その動きに合わせ手を身体に沿わせていく。すると、手で撫でた部分からどろりとした緑色の粘液が抽出されていくではないか。


「ああ、悲しいよ、とっても悲しいよ⋯⋯。でも、この悲しさと恨みは、あたいの相棒をさらに強く生まれ変わらせてくれる⋯⋯!」


地面へと落ちたその粘液は恐るべきスピードで蓄積されていき⋯⋯そこには、先程よりも体積を増したスライムが産み出されたのだった。


これはまた、予想外の事態だ。しかし、慌てる必要は全く無い。既に、新たな力を使う準備は出来ている。


「勇者権限解放⋯⋯『検索(サーチ)!』」


 ボクの目の前に現れる、透明のディスプレイ。そこには、ボクが対象にとった相手⋯⋯つまりナナホシが産みだしたばかりのスライムの情報が記されている。


 これが、ボクの新しい力、『検索(サーチ)』。この力を使えば、相手の能力だけではなく、弱点も知ることが出来る!


 『検索』で見たスライムの逆転は、中心に存在する核だった。どうやら、魔術と打撃には耐性があるが剣で切れば簡単に核は破壊出来るらしい。目では確認出来ない核の場所も、この力があれば正確な位置を確認出来た。


「ふんっ!」


 力を込めて砕くのは、土の魔力が込められた宝石。砕くと同時に、土の魔術によって宝石を剣の形へと変形させる。


「砕けて死んで、星になれぇ! 最終形態、『セブンスター』!!」


 ナナホシは、スライムを7つの星の塊に分け、空中で回転させる。まるで結界のように張り巡らされた星の塊は、見るからに固く鋭く、ぶつかれば肉がえぐれ骨は砕ける未来が見える。


 そしてその星の塊を、ナナホシはこちらに高速で撃ち出してきた。しかし、以前なら見切れなかったであろうその弾幕も、目に魔力を集中させ視力を強化させれば、かわすのは造作なかった。


「はぁぁぁ!!」


 気合い一閃、すれ違いざま剣を振るえば、核を正確に捉えたその一撃は一瞬でスライムを消滅させた。しかし、まだ勢いは止まらない。そのまま走り抜け、宝石を砕いて風の魔術と火の魔術を同時に発動させる。


 火の魔術単体で発動させた時よりも激しく強い炎が、土の魔術で作りだした剣を包む。そして完成した炎の剣を、ボクはナナホシ目掛け思いっきり振り下ろした。


「喰らえ、『ブレイブソード』!!」


「ぎゃああああ!?」


 ボクの剣は、肩から腰にかけて振り抜かれ、ナナホシの身体を真っ二つに分けた。断末魔の声を上げるナナホシは、剣が纏った炎によりその身体もたちまち炎で包まれ、ボクが振り返った時にはそこには灰しか残っていなかった。


「ふう、何とか勝てた⋯⋯。あの声が途中で聞こえてなかったら、きっと負けていたな」


 思い出した家族の記憶に、謎の『勇者の力』⋯⋯この戦いで得られたものは大きい。ナナホシは魔族で嫌な奴だったけれど、死んでしまえば皆同じ。ボクを成長させてくれた感謝も込めて、灰に向かって手を合わせておいた。


「さて、とりあえず皆と合流しなきゃだけれど⋯⋯その前に服をなんとかしないと」


 痛みはいつの間にか消えているけれど、破れた服はそのままなので、ボクは今ほぼ全裸だ。かろうじて大事な部分は布が残って隠れているけれど、このままじゃ流石に心許ない。


 その後、ボクは部屋でナナホシが着ていた体操服とブルマを見つけ、若干躊躇いつつもそれに着替えた後、いつの間にか出現していたドアをくぐり、その先へと進むことにしたのであった。


次回、ラブVSマルボロ。予定では1話もしくは2話で終わります。

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