表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/84

注文は百鬼夜行で~北の国からギャルを添えて~

「それじゃあ皆、いってらっしゃいなのだ!」


 ラビに見送られて、アジトを出る。ラビの能力のおかげで、魔力のマーカーさえ付ければどこにでも入り口と出口を作ることが出来る。東北には既にマーカーを付けていたため、一瞬で東北まで行くことが出来た。


「なんか、東北まで来たって感じがあまりしませんね⋯⋯」


「ホント一瞬で着いちまうからねぇ。今はもう慣れたけれど、あたしも最初のうちは拍子抜けだったよ」


 カラカラと笑うラブは、いつもと変わらないシスター服だ。この格好には何かこだわりがあったりするのだろうか。時間があったら聞いてみたいと思う。


「東北、初めて来ました⋯⋯。寒すぎて死なないか心配してましたが、これくらいの温度ならその心配はなさそうで安心です⋯⋯」


「そりゃあそんなに着込んでたら寒くないさ。おっさんは暑がりだからこれくらいの気温がちょうどいいかなぁ」


 トムの言う通り、ザキは一人だけかなりの厚着だ。猫耳フード付きのもこもこパーカーで覆われたその姿は、暖かそうを通り越してかなり暑そうである。


 それに対しトムは、黄色のツナギに頭にタオルを巻くという、いかにもなおじさんスタイルのファッションであった。まともなファッションの人はいないのだろうか。


 ちなみにボクは、ドクのショッピングに付き合った時に買った、おしゃれなTシャツにスカートである。ど真ん中に大きく『歌舞伎』と書かれてあるのがかっこよくておしゃれなのだ。


「とにかく、まずは『アベ』さんとやらに会わなきゃいけませんよね。どこに行けば会えるんですか?」


「そ、そうですよね。こんなところでうろちょろしてたら魔族に見つかって殺されちゃいます。それは嫌です死にたくないですごめんなさい⋯⋯」


「そんなに慌てなくても、あいつにはすぐ会えるさ。⋯⋯ほれ、あっちを見てごらん」


 既にここを訪れたことのあるラブを先頭に歩いていると、ふいにラブが前方を指さした。そこにあったのは、一軒の古びた小屋だ。さらに近づいてみると、看板も立っているのが見えた。


「えっと⋯⋯『BAR百鬼夜行』? なんですかあれ」


「あいつらは普段魔族に変装してここでBARをやってるんだよ。あたしも一回客としてきたことあるけれどなかなか美味い酒を出してくれるよ? あんたらも成人したら飲みにくればいいさ」


 ラブは、バチンとこちらに向けてウインクしつつ、躊躇いなくドアを開ける。すると、ドアに付けられたベルがカランカランと音を立て、店の奥から「いらっしゃい」と渋めの声が聞こえてきた。


「ようマスター! とりあえず注文は『百鬼夜行』でお願いするよ」


 そして、その声の主に対して謎の注文をするラブ。後から聞いた話だが、この『百鬼夜行』というのは仲間内のみに通じる合言葉のようなものらしい。


「⋯⋯なんじゃ、ラブであったか。来るなら来るで、事前に連絡くらいよこしてほしいものじゃ」


 先程の渋めの声とは打って変わり、返ってきたのは鈴を鳴らしたかのような可愛らしい声だった。続いて、てけてけとこちらへ近づいてくる足音が聞こえてくる。


 ひょこっと店の奥から顔を出したその足音の主は、思わず見とれてしまうほど浮世離れした容姿の持ち主だった。


濡れ羽色の艶のある黒髪は、膝のあたりまで伸ばされ、動くたびにしゃらりと音を立てる。そして、そんな髪の色とは対照的な、鮮やかな色の着物で全身を飾っている。背丈は低く、顔も幼い。しかし、なんだか妙な貫禄のようなものを感じる、そんな不思議な存在であった。


「おお、見たこともない顔もおるのう。ようこそ、儂らの家へ。儂の名は『バク』。アベの保護者のようなものじゃ。⋯⋯まあ、ここではその名よりも『ご隠居』で通っておる。おぬしらも、ぜひそう呼んでくれ」


 見た目とは裏腹にやけに古風な話し方で、『ご隠居』と名乗ったその美幼女は、くるりとその場で一回転する。すると、その姿は渋いおじさんへと変化していた。もしや、ドクと同じような能力を持っているのか。店に入った時聞こえた渋めの声は、ご隠居の変身した姿によるものだったのかもしれない。


 再びくるりと回ると、ご隠居は元の和服幼女の姿に戻っていた。その姿のまま、すすすっとすり足で歩き始めるので、慌ててその後を追いかける。


 バーのカウンターらしき場所まで近づいたご隠居は、ぴょんと飛び跳ねてカウンターを乗り越え、その奥でカチっとスイッチを押した。すると、ゴゴゴ⋯⋯と音を立てて、目の前の床が開き、地下室への階段が現れる。


「ひゅー! いつ見ても凄いよね、この仕組み。ラビのも凄いけれど、こういうのも秘密基地っぽくてわくわくするよ」


「アベも同じようなことを言っておったわ。あ奴もまだまだ子供じゃからのう⋯⋯」


 はぁ⋯⋯とため息をつくご隠居。そう言う本人もかなり幼い見た目をしているのだが、そんなご隠居に『子供』と称されるアベとはどんな人物なのだろうか。


 秘密の地下空間に、ラブ同様若干わくわくしながら、階段を降りていく。途中ザキが怖がってしがみついてきたせいで階段から落ちそうになるトラブルこそあったものの、それ以外は何事もなく無事階段を降り切った。


 階段を降りると、そこにはドアがあった。この先に、アベが待っているのだろうか。先頭のご隠居がドアノブをひねる。すると、バァン! と勢いよくドアが開かれ、その衝撃でご隠居は吹き飛ばされた。


「おんみょ~ん☆ あれ、ラブっち久しぶりじゃ~ん。それにトムおじもお久~! あ、そこの可愛い子たちは初めましてだよね! いえーい、こう見えて陰陽師やってま~す! ぶいぶい!」


「あ、アベよ、ドアを開ける時はもう少しゆっくりでと、いつも言っておろうが⋯⋯がくっ」


「え、なんでご隠居死んでるの? うわーん、死なないでよ~!!」


 現れるなり目の前でご隠居を瀕死に追い込み、さらに現在進行形でご隠居を抱きしめて大きな胸で圧迫死させようとしているのは、セーラー服を着た金髪の少女だ。その胸元は大きく開かれ、スカートの丈もかなり短い。いかにもギャルっぽい格好である。


 そのギャルをご隠居が『アベ』と呼んだことで、ボクの頭の中は?マークで埋め尽くされたのであった。


のじゃロリとギャル。両方合わせると最強に見える。ご隠居に関しては実は私の過去作に登場していたりもします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ