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元男の転生少女は隠し通そうと思ったけど初日にバレる

作者: みくろ

初投稿です。

恋愛要素はあまりありません。

 目が覚めて、ベットで寝ている俺は起き上がりあたりを見渡した。目に入ったのは見たこともないようなキラキラした部屋だった。  

  

 「どこだここ?」


 目が覚めると知らない場所にいた。いやそんなことないだろ。いやいやそれよりさっき自分の口から出た可愛らしい声はなんだ、俺の声はもっと低かったはず。何がどうなっているんだ。 


 そう混乱していると、ドアの向こうからコンコンコンとノックの音がして


 「お嬢様おはようございます。」

 

 と、いう声と同時に20代前半位の女の人が部屋に入って来た。


 「朝食の用意ができたので伝えに来ました。」

 

 と、女性はニッコリとした顔で言い部屋を出ていってしまった。


 ⋯⋯は!?どういうこと。お嬢様?誰が?俺が?何言ってんだよ。俺は男だぞと笑いたくなったが、気がつくと自分が着ている服はヒラヒラのワンピース、さらにさっき自分の口から出たであろう可愛らしい声、これだけ言われたらだんだん気づいてきた。 


 「もしかして俺女になってる!?」


 嫌、まだそうと決まったわけじゃない。今の声もどう考えても女の声だったが意識しないようにする。

(自分は男だ目が覚めたら女になるなんて聞いたことがない。自分は男だ女のわけがない。)

そう思いながら最後の望みを賭けて自分の股に右手を置く。

するとそこには本来あるべきものが無い。そして反対の手を胸に当てると本来は固い胸板がやわらかく、そして案外大きいような?いやそんな冷静でいられる訳がない。



(ぎゃあああああああああああああああああ。ない、俺の大事な息子がーーー)



 2、3分心の中で叫んだ後俺はようやく落ち着いた。



 はぁ−何でこんなことになったんだろう。

 まあひとまず自分のことを整理してみよう。

 まず俺の名前は大田悠人、15歳の高校1年生だった。友達はあまり多くなかったけどいた。本当だ⋯⋯見えを張ってるわけではない。家族はお父さんとお母さんと兄の4人家族。成績は上の下位だと思う。部活は帰宅部。あれ、俺のプロフィールこれだけ?少なくない?いやまだなんかあるだろ!いや普通こんなものか?まあいいや。 

 

 で、たしか最後の記憶は何だったかな思い出せない。けど、たしか死んでしまったような気がする。何故か分からないけど確信がある。確かに死んで転生したということなら説明がつく。ラノベとかはたまに読んでいたのでそういう知識は少しはある。


 そしてある考えが浮かぶ。もしかしてもう家族や友達と会えないのではないか。そう思うととたんに悲しくなり、そして自分の眼から涙が溢れてきた。   


 「あれ、おかしいな。俺こんなに涙もろかったけ。多分女なったからだよな。うんそうだ、そうに決まっている。だって俺別に悲しくないし。なのになんで涙が止まらないのかな?ぐすっ」

 

 でも、これからどうしよう。泣き止んだ俺はいろいろと問題があることに気づいた。


 まずこの体の前の持ち主はどうなってしまったのか。

 体を乗っ取ってしまったのか、それとも前の持ち主は死んでしまって俺の魂が入り込んだのか。できれば後者がいいな。と思いこれ以上考えないようにする。


 次はこの体でこれからどうやって生きていくか。

 取れる行動は2つ、このまま隠して生きていくか、事情をここの家の人に話すかだ。けど事情を話したら怖がられるかもしれない。だって自分も家族が急に別人になっていたら怖い。多分逃げる。なら隠し通すか、いやそれでも絶対バレる。だってこの少女がどうやって生きていたか分からないし、しかも俺男だから女のマネするとか絶対できない!どっちもだめだ。でも選ばないなんてことできないし、うんうん悩んだ俺はようやく決心する。 


 始めは隠し通すようにして、バレたら事情を話そう。


 うん、そうしよう⋯⋯。


 3つ目は、男として生きるか、女として生きるか。

 いやいや、分かってるよ。隠し通すんだったら女として生きていかないといけないってこと。でも体は女でも心は男なんだから男としていきたいじゃないか。まあこれは保留ってことで一旦置いておこう。


 ふとベットの横に鏡がおいてあるのに気付く。  

 そういえば今自分はどんな姿なんだろうと気になりベットから降り鏡に近づく。

 そして鏡をのぞき込むとそこには10歳位の美少女が映っていた。

 ⋯⋯は!?これが俺?ウソだろ。俺が驚きで唖然としているとまた扉でコンコンコンと音がした。  


 「お嬢様、体調が悪いのでしょうか。皆お嬢様を待っていますが。」 

 

 と、ドアの向こうから声が聞こえる。どうやらさっきの女の人――多分侍女だと思う――が戻ってきたのだ。 


 「⋯⋯えっと、た、体調は悪くない⋯⋯わ。⋯⋯今、行きます。」

 


 あああああああああああああああ、やっぱ無理無理無理今ゾワッとした。鳥肌が立った。ああ、でも慣れないと。と苦悩いても「今、行きます」と行ったのだ。なら行かなくてはならない。

 

 そう思いながらドアを開け前にいた侍女についていく。


 侍女に案内されるとそこには30代前半のイケメンと美女、そして8歳くらいのこれまた美少年な男の子が座っていた。おそらくこの少女の家族なのだろう。


 そして空いている椅子に座ると、前に座っている男――おそらく父親だろう――が話しかけてきた。


 「リリア、遅かったけどどうしたんだ。体調でも悪かったのか?」


 「い、いえ、大丈夫です。⋯⋯お、お父様。」    


 そう言うとお父様は少し驚いた顔で「そうか。」と言って朝食をとり始めた。


 どうやらこの体の前の持ち主の名前はリリアというらしい。愛称かもしれないが。どうやらお父様という呼び方は合っていたようだ。お父様は貴族だろうからこの呼び方かなと思ったからである。こんな初っ端から疑われたらやっていけないしな。予想があたって良かった。 


 

 ⋯⋯隣から弟が睨んでいるような気がする。いやこれ絶対こっち見てる。もしかしてバレた!?何で!?お父様という呼び方は合っているはず。もしかしてこの体の前の持ち主――これからはリリアという――が普段していることがあるのか?だめだ、分からない。  


 弟が見ているせいで、緊張して朝食の味が全くわからなかった


  

 気がつくとリリアの部屋にいた。 

 

 朝食を食べ終わって戻っていたのだろう。あの弟のせいでどうやって持っどってきたか何も覚えていない。 

 

 うぅー緊張してガチガチだっただろうなー。親にも怪しまれたかもしれない。これも全部あの弟のせいだ。少しの時間しか会っていない弟に怒りを覚える。


 コンコンコンとまた扉をノックする音が聞こえる。


 また侍女だろうか。 

  

 「姉上、入ってもよろしいですか。」


 どうやら弟らしい。何だ、何しに来た?やっぱり疑われていたのか?と考えていると弟は返事も聞かず入ってきた。

 

 「な、何のようだ、じゃなくて何のよう⋯⋯かしら?」


 そう言うと、弟は何も言わず私の目の前まで来て疑わしいような目を向けて聞いてきた。


 「姉上、自分の名前を答えてくれませんか。もちろん愛称でわなくフルネームですよ。」


 「――ッ」


 ゾッとした。やばいやばいやばい、バレてる絶対バレてる。こんな早くからばれるなんて。だめだ目の前が暗くなる。呼吸も苦しくなってきた。


 「何、顔を青くしてるんです?早く答えてください。」


 声が出ない。まるで蛇に睨まれたカエルだ。 


 弟は何かを革新すたような顔で「やっぱり、あなた姉上ではないですね。」と言ってきた。


 もう駄目だなと観念し、震えながらも頭を縦に動かす。

 

 「はぁー、なら姉上を返してください。あとあなたが姉上と同じ姿なのかも気になります。それについても教えて下さい。」


 何を言っているかわからず首を傾げる。 


 「だから、あなたが姉上を攫ったんでしょ。」

 

 そう言われてやっと分かった。どうやらこの弟はリリアが連れ去られて偽物として代わりに俺がいると思っているようだ。まあ普通は体が乗っ取られたなんて思うわけ無いだろうからな。


 落ち着いてきたのでなんとか声を出す。  


 「いや攫ったわけじゃない。気づいたら俺はこの体だったんだ。」

 

 「どういうことです?」


 それから俺は弟に自分の前世の事、気づいたらリリアの体になっていたこと、もしかしたら乗っ取ってしまったかもしれないこと、とにかくすべてを話した。


 「なら姉上はどうなったんだ?」


 弟の口調が急に変わった。混乱して素が出てしまったのだろう。


 「わ⋯⋯分からない。でも、死んでしまったのかもしれない。」

 

 そう言うと弟は眼を鋭くさせて俺を見た。


 「ご、ごめんなさい。」


 弟の目が怖すぎて震える事しかできない。


 「あなたが何かをした訳では無いですよね。」


 確認するように聞いてくる。


 「うん。俺は何もしてないと思う。」


 「ならあなたに怒っても仕方ありません。」


 どうやら許してくれたようだ。正直俺も被害者なのに何かを言われても困ってしまう。それにしても怖かった。こいつは怒らせたらだめなタイプだな。


 そういえばなぜ偽物だと気づいたんだろう?

 尋ねてみると、 


 「ああ、何故気づいたか?。それは姉上の行動がおかしかったからですよ。姉上は普段父上に声をかけられても怖がってたまにしか返事しませんから。それに食事の仕方が完全に貴族のものではありませんでしたから。姉上は完璧でしたし。」


 「なら他の2人も気づいたり怪しんだりしているのか?」


 不安になって聞いてみる。もしバレてたらヤバい。弟でさえ怖かったのに見るからに怖そうな父親なら、そう思うと身震いする。


「2人?ああ父上と母上のこと。多分気づいてないよ。」

 

 「何でそう言い切れるんだ。」


 「だって、父上はああ見えて姉上のこと溺愛してるから、久々に返事をしてくれて内心舞い上がってただろうから。母上も驚きすぎて食事も進んでなかったぐらいだからね。」


 そうなのか。少し安心する。それにしてもあの見た目で溺愛って。

 

 「そういえばあなたの名前はなんです?ちなみに僕の名前はカルデロットです。父上や母上にはカルデって呼ばれています。」

 

 「俺の名前は悠人、大田悠人だ。俺もカルデって呼んでいいか?」


 「いいですよ。なら僕もユウトと呼びます。で、これからユウトはどうするつもりです?」  


 「どうするってここにいてはだめか。」


 と、10歳の体で上目遣いをして頼む。


 「ちょっと、姉上の体でそんなことしないでください。」


 お、こいつもしかしてシスコンなんじゃないか?


 「あと男らしい言葉遣いをやめてください。姉上の体でそんなこと言うのは僕が許しません。」

  

 「お前やっぱシスコンだろ!!」


 「“シスコン”ってなんです?」 

 

 「お姉ちゃん大好きっ子てことだよ。」


 「い、いえ、僕は決してシスコンでは」


 否定しているが見るからに焦っている。


 「いいよいいよ、気にしなくて誰にでもそういうの1つくらいあるって。」


 「いえ、だから違うって何度言えば――――」

 



 これが俺とカルデの初めての出会いの話。



 これから魔法を学び国1番の魔法使いになったり、この国の王子を惚れさせたり、悪役令嬢として転生ヒロインと戦ったりするのはまた別のお話。


 



 そして、このとき俺はカルデがリリアの義弟で将来、俺とカルデが結ばれるなんて思いもしなかった。


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