プロローグ(俺は死んじまっただー天国に行……なんであるの!?)
あーれま。来ちゃいましたよ三途の川。
やっぱ死んだかな~
日本の医学力に期待しすぎたかな~
俺が死ぬまで揺れていたからな~
…そりゃ無理だろな~
やっべ超死にたくねぇ、その後一生介護生活でも良いから生き返りたいわー
ここで引き返したら生き返りましたーってマンガあるあるネタで生き返ったりしねーかな。
…振り替えれねぇし、後ろにもさがらねぇ。
こりゃ完全に死にましたわー
って
いきなり三途の川って俺、成仏したか?
俺、未練残しすぎよ、せめて子どもの顔見てーよ。
なぁ…
聞いてんだろ!!!
「神様仏様よぉ!!!どうにかならないのかよ!」
…
…
反応がない。ただのあの世みたいだ。
あー無慈悲。
でもまぁ無理な相談か。
あるのは結構広くてでかい三途の川、確かこの川でおばあさんに金渡して、船か橋を使って渡るんだったよね。
冷徹な鬼神のマンガよく読んどきゃよかったな~
あれ?誰かいる??
マンガでは親い人が手招きしたり、呼び掛けてくるとか一杯あったけどアレなのか?
………でも、俺のじいさんまだ生きてるぞ。
ばーちゃんも…
ってこと…は
「父さん…母さん…」
だんだんはっきり見えてきた。
今でも覚えてる二人の最後の格好で。
顔もはっきりと
二人とも、手ー振ってるよ…
なんだよ、あんだけ待っても帰ってこなかったのに…
ここにいたのかよ!
「父さん!!!母さん!!!」
もう船も橋も待ってられるか!
おれは、泳いで渡るぞ!!ジョージ!!!
なめんなよ三途の川!こちらとら水泳部でも全国行ったんじゃボケェ!
「これ、ぬしの行くところはそっちじゃないぞ」
………うほ!すっげ~美人!!!じゃなくって
誰だよ!?
「妾じゃ」
…
いや誰だよ!?
「うむ?妾がわからぬか?現世には妾の名前はよく使われとるのじゃけど」
知らん!!あんた見たいなべっぴんさん一度見たら忘れるもんかい!!
「………べっぴんさん………か」
あれ?照れてる?
とにかく俺は行くぞ!父さんと母さんに会うんだからな!
「残念じゃが、その両親はそこにはおらぬよ」
は?
じゃあ幻だとでも言うんかい!?
「それよりもそち、三途の川に浸かると流されるぞ」
コワ!三途の川ってそんな恐ろしいところだっけ!?でも後退できない足じゃ、どのみち渡るしかなくない!?
「本来、妾が担う役割と違うのじゃが、誘おうかのぉ」
カツゥン!
何か出た!透明な階段みたいなものがでた!
「さて、参ろうか」
何処に!?いや待って!!父さんと母さんに会わせてくれ!
「じゃから、ぬしの両親はそこにはおらんのじゃ」
ならそこで手を降ってる父さんと母さんはなんなんだよ!
「思念、じゃ。子供を置いて逝ってしまった親心が残したものじゃよ」
………やっぱり幻なんじゃねぇかよ
「そう悲観するでない。そもそもこの三途の川で親い者の姿を見るのは稀なのじゃから」
へ?そうなの?
「うむ。思念が残るほどの強い思いは、時や向けられる者が持つ思い入れに総じて、虚ろゆくものじゃからのぅ。互いの愛情がなす奇跡と知るがよい」
…そっか
「さて。話も長くなった、そろそろ参ろう」
べっぴんさん、すみません。もう少し時間をください。
「…うむ。悔いは残すものではないのぅ」
感謝します
「父さん!母さん!俺!二人の子供でよかったよ!本当にありがとう!!!」
…届いたかな。
幻でも二人がそこにいると思える。
それなら、送らなきゃ、伝わらないだろ。
「然り。言の葉に乗せる、それは人が持つ武器のひとつじゃの。紐解けば妾達神意より深く長いやもしれぬ。曖昧にもその真意を貫くその魂、是非に我が子としてあって欲しかったものじゃ」
え~と少しボケた?突っ込むところ?あと神の意ってことはこの人神さまですか!?
って?え?我が子としてあって欲しかった?
「うむ。実はのぅ、ぬしの魂は我らの世界のものではないのじゃ」
はい?
「最近、[異世界]というものが広まっておるであろう」
あ、はい。[のんびり]や[デスマーチ]とか[無職]なんてのもありますね。
「嘆かわしいことに、現世の世界は。我が子の魂や他世界の魂が出来きするほどにガバガバなのじゃ」
ガバガバって………えっと流行りものとかじゃなくて?
「うむ。現在も呼ばれ、落とされ、連れ出され、など多岐に我が子がいなくなっておる」
えーっと。
やばくないですか、それ。
「やばいで済まさぬように妾達も、他世界の神も、大忙しじゃ。帰れるように手配したり、こちらの物品を送ったりなどのぅ」
話のなかには異世界のトラブルを解決させるなどがありますがそれは?
「安心せい、それらの話は絵空事が殆どよ」
ほとんど、なんですね
「えらく噛みつくのぉ」
そりゃあそうですよ、俺の子供や縁のある人たちをそんなことに巻き込まれてほしくないですからね。
「うーむ。絶対と談じてやれんのが心苦しいが。よし、妾の名において、ぬしの縁者に不幸がないよう、取り計らってくれようぞ」
なんと慈悲深い!
「矮小な我が身の願い奉るを聞き届けたもう、かしこみかしこみ、御礼申し上げまする」
「よせいよせい、そう仰々しい言葉を並べずともよいわ。久しく感謝の言葉を聞くのも面映ゆくなるのじゃ」
あ!でも、もう二つ聞きたいことが…
「うむ。悪いが答えるのはひとつだけじゃ。妾の名前は天照大神である」
うわぁーお、日本神話のビックネームキター
「さて、本当に長くなった。そろそろ参ろうぞ」
父さん…
母さん…
皆…
アバヨ
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妙にざわざわする階段をのぼりきった先には、とーーーーーーーーても見たことがある建物が建っていた。
「うむ。ここわ高天ヶ原他神交流特設会場、現世の大使館のようなものじゃ。ここではな、様々な他世界神が寝食、交流、交渉、ついてはこの世界の娯楽まで一手に賄う場所じゃ」
大使………館………?いや神々の立てた物に異議はありませんが…
「ぬしが言わんとしていることは分かる。ここにつれてくる日本育ちの魂は皆、そのような顔をしよるからのぅ。」
…どっから見ても東京ビックサイトです、本当にありがとうございます。
「全ては妾の負傷の妹が「この世界の娯楽は世界一!」とほざくものでのぉ、他世界神のうけも良いから難儀しておる」
恐れ多いいですけど。心中を察します。
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えーと、[異文化複製完遂記念パーティー]?
天照大神様あれは一体なんですか?
「うむ。ぬしを迎えに来た他世界の神が、この世界の娯楽。…いやオタク文化にえらく執心してのぅ。他の神々や英霊を呼び寄せて、盛大に写生を行ったのじゃ」
しゃ…写生ですか。神様の世界にはコピー機がないのですか?
「あるにはあるのじゃが。伝える間もなく写生にかかりっきりとなった」
うっわ言ったら盛大に崩れ落ちるやつですね、わかります。
「これが無ければ、本来ぬしはもっと早くこちらに来る予定だったのじゃ」
はい?
「それも。両親も一緒に、のぅ」
え?え~??
「そしてここで涙の別れとなるはずが。我が妹と迎えに来た他世界神が意気投合してしもうて、オタク文化にそれはもぉドッッッッップリと…」
………月読命………オタクだったのか
「あまり触れてくれるな。身内の恥ほど心乱されるものはない」
家も似たようなもので…はい……
そう言えばさっき「両親も一緒に」って言ってませんでしたか?
「うむ。ぬしは両親と共に交通事故で死ぬはずだったのじゃが。その時に他世界神が写生の為に他の神々を呼び寄せた後だったからのぅ。ここでぬしが死んでしまったら写生が出来ぬっと言って、ぬしに風邪を拗らせさせて、延命させたのじゃ」
はい?
え??いや………
なっなんだってーーー!
それなら何で父さんと母さんも助けてくれなかったんですか!?
「う、うむ。そう思うのは仕方のないことじゃが。本来、妾達は人にたいして基本不干渉と、しているのでのぉ。あと延命もおいそれと出来ぬ事なのじゃ人の生であるがゆえに、のぉ」
俺はいいんですか!?
「む、むう。ぬしの魂は、我らの世界からにしては異彩なのでな。しかも他世界神が行ったことゆえ、抑止も出来ぬから。なんと言うか、まかり通ってしまったのじゃ」
まかり通ってって………
「そっその時は妾も他世界神に警告しようとしたのじゃよ!じゃけど月読のやつがうまく匿いよって。妾の接触を阻みよったのじゃ!」
…おうふ!
予想外!!!
さっきまでクールだった天照大神様があまりにも可愛かったから溜飲が下がった。
って言うか吹っ飛んだ!
「っ!謀るでないわ!」
もぉ、かわいすぎるんですけどこの神様!
ん?それじゃあ俺が餓死しそうなときに義母さんが見た夢ってやつも!?
「……それは月読じゃな。あやつは縁や所縁、もの探しに至るまで見つけ出すのに、あやつの右に出るものはおらん。しかも夢、啓示は我らが人の子に行える数少ない手段でな、またうまくまかり通られてしまったのじゃ」
それはまた、なんと言う……
「面目がない」
シュン…
………おうふ!!
シュンってなってるところがかわいすぎる!
うもぉ最終兵器神様かよ!!!
破壊力やばいわ!
俺、暁の水平線で没したわ!
「たったばかるでにゃいわ!」
神まみた!やべぇ死んでるのに昇天する!!!
「「「カンパーーーイ!!!」」」
お、おう!パーティーが始まった!!
「いやぁ皆様ありがとう!お陰で無事オタク文化を我らの世界に持ち帰れるます!それもこれも学問の、いや今じゃ知識のマクスウェルでしたね。本当にありがとうございます!」
「いや、儂にとっても実に有意義なものであったわ。お陰で昇神も出来、生徒たちも英霊から使徒へと上った。礼を申さぬといけぬのは儂の方じゃよ」
「いやいや!私はただ向こうにオタク文化を持ち帰りたかっただけのことです。知識のマクスウェルには本当に申し訳ない気持ちで一杯だったのですよ」
「なになに。マンガだけでは補完出来ぬ知識も多いいゆえ、元となる最も発展した世界の知識を全て写せた。この機会をくれた生命のマリアには恨み言など出ぬよ。それよりも芸術のカルメンよお主の[アニメ][映画][舞台]の方は大事無かったか?」
「ジジ様、私の方はこの世界の技術の恩恵と鍛冶のカーシンの尽力のお陰でそこまで大事ではありませんでしたわ」
「そうかそうか、鍛冶のカーシンよ尽力頂き感謝する」
「よせやい、酒が旨くなる。後、儂も昇神したし、神名も授かった。技術のデウス・エクス・マキナじゃ、今後からそう呼んどくれぃ」
「おお!それはめでたいですね!それでは昇神した知識のマクスウェルと技術のデウス・エクス・マキナにカンパーーーイ!」
「「「カンパーーーイ」」」
盛り上がってんなーおい
「マリア氏、完成おめでとう」
「月読氏!ありがとうございます。一時、助力頂いて、本当に助かりました」
「友のため同士のため、手を貸しただけのこと。それに共にゲームが出来る相手がいなくなるのも寂しいから」
「月読氏!」
「マリア氏!」
「「ヒシ!」」
美女同士で抱き合ってるよ、塔が建ちそう。
「後はマリア氏の子供が来るのを待つだけだね」
「そうですね。まだ我が子が死ぬ時では無いですが、今はどんな生活をしているのか見てみましょう」
シンデマース、ココニイマース
「え!そんな!月読氏!我が子が数日前に亡くなってます!葬式まで執り行ってます!」
モニターみたいに見てたのか。
あ、嫁さんも皆も無事だ。
良かった………
「マリア氏!早く迎えに行くべきそうすべき!早くしないと口うるさいアマ姉さんが迎えにいっちゃう!」
何て言ってますけど天照大神様。
うっっわめっちゃピクピクしてる!マジで切れる5秒前だ!
「分かりました!すぐに迎えに………」
どうもー冨木拓夫でっす
「口うるさいアマ姉さんじゃよ」
…
……!
「「キャーーーーーーーーーーーーー!!!」」
ドワーフ「おいタークォンよ」
拓夫 「どしたよ」
ドワーフ「神に聞きたかったもうひとつの疑問ってなんじゃ」
拓夫 「あー」
エルフ 「僕も気になる!」
拓夫 「おk。あんときねぇ、妙に天照大神様が協力的だったからどうしてか聞きたかったんだよ」
ドワーフ「なるほどのぉ、結局分からず仕舞いだったのぉ」
拓夫 「所がどっこい大体の目星はついているのだよ」
ドワーフ「ほほう」
エルフ 「教えて教えて~」
拓夫 「身内の恥に弱い天照大神様のことを考えるに。恐らく災神と言われてる、天照大神様のおと……」
エルフ 「ダメ!タクオ兄!」
拓夫 「おおう!?何々?どうしたの?」
エルフ 「何か、危険な気配がした」
拓夫 「((((;゜Д゜)))ナニモワカラナカッタヨ」