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桃源の乙女たち  作者: 星乃 流
十一章「風の詩」
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第一話(第三十九話)

 現在十三家の生き残った長女たちは、自衛のためにいくつかの家に集まって時を過ごしている。

 一つ目はナルザのウェル家。ナルザに刻印を一画譲渡したイマリ、ずっとほぼ我関せずを通しているアズミが身を寄せている。あとはエリンもそこに加わるはずだが、彼女はまだ家に残って動こうとしないという。

 二つ目はラスタのウォル家。ラスタとライラ、それにカナミを加えた三名。ライラが左手を落とされ、ラスタも十四番との戦いで重症を負ったために、一段と警戒が厳しい。

 三つ目はカルナのイル家。といっても、カルナとセラの二人だけなのでいつもと変わらない。しかも昨夜は帰らなかった。

 あとは四つ目と数えていいのかは分からないがエル家のリサ。あの家は特殊な状況下であるため、現在他家の人間が多数居残っている。

 これがセラの把握している現状だった。

 今注視すべきは、自宅に居残り続けているエリン。そしてセラにはエリンをおそらく呼び出せるであろう策があった。

 古い記憶が蘇る。

 無邪気にカナミに向かってエリンの話をしていた、まだ幼い頃のアルト。それをにこりとして聞いていたカナミ。一体あの頃、カナミはどんな気持ちであの話を聞いていたのだろう。

 ――そういえばあの頃のカナミはまだ、多少は微笑み返すことができていた。いつ頃から今のような顔面石化になったのだったか。

 ……思考が逸れた、軌道修正。

 結局翌朝早くに「呼び出し」を飛ばした後、目的の場にはカルナだけを残しておいて自分は少し離れた茂みまで下がり、身を隠した。といっても、タイマンを張ると言い切って聞かないカルナに、ぎりぎり加勢できる位置取りだった。ナルザのときと同じく、限界寸前までは手を出さないつもりではいる。

 さて、そう長く待たされずに獲物が釣れた様子。さぁ姐さん、好きなだけやってください。少しでも悔いが残らないように。

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