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006

 昼食の時間近くまで魔術の勉強を続けていると、部屋に設置しているランプが赤く点滅し始めた。

 先程、来客はいないという事を書いていたが、この敷地の門をくぐる客については実は若干名いたりする。こちらが望んでいない方が勝手にやって来る事が問題だが……。

 私の住んでいるこの家の近くには2つの街があり、現在残念な事にお互いに戦争をしている状態なのだ。

 そして、その戦力は均衡しているため、戦争が何年も続いて終わる気配がない。私が引っ越しをしてしばらくしてからこのような調子のなのだ。他の来客がいないのも無理も無い話だ。

 お互いの街もこの均衡した状況を打開したいのか、ここ数年、毎日のように私の魔術師としての力を求めてスカウトの為の訪問を繰り返している。少しでも魔術師を戦力として活用したいのだろうが、私の主戦場は生活向上の為の魔法なのに困ったものだ。

 戦争に加担する気は全くないため、彼らには毎回お帰り願っている。始めは一応礼儀として話を聞いてからお断りしていたのだが、全く聞く耳持たない状態な上に毎回同じ話しかしなくなってきた為、ある時から我が家の門をくぐった時点でお帰りを願っている。

 勿論お帰りいただくのは魔法を使った実力行使でだ。

 門を越えた招かれざる客に魔法陣が反応し、重力魔法で下方向の力を強めて足止めしてから風魔法で複数の竜巻を発生させて粉々に砕くようにしている。

 おっと、説明していないと私が単なる心のない残虐な者と思われてしまうかもしれない。一応言い訳をすると、ここに訪問してスカウトをしてくるのは機械生命であるロボットなのだ。

 始めの頃はそうでもなかったのだが、いつからかロボットだけが訪問し私の話を聞いてはくれるのだが、事務的に同じ話をして帰ってもらうだけという行為をしていた。日々で私の研究の時間を削るため、最近はロボットの場合は先程の魔法が発動するようにしている。

 この魔法については虫除け魔法陣を応用して「動く機械のみ」に反応するようにしている為、一方的な勧誘ではなく交渉をする気がある者であれば家まで辿り着くようにできている。

 この魔法のお蔭でアラームが鳴ったとしても、家にまで辿り着く勧誘ロボットはいなくなった。それからは静かに研究に集中して過ごす事ができている。


「アラームが鳴ったという事はもう昼は過ぎたのか」

 椅子から立ち上がり、大きく体を伸ばしながら窓に近づく。

「昼食は何にしようかな?」などと考えながら窓の外を眺めた。

 窓から見える景色は雲はまだらで青い空が広がっている。

 時折戦争している街がお互いにミサイルを発射し白い飛行機雲を作りながら空中でぶつかり合って対消滅しているが、これはいつもの光景だ。

 発射時や爆発時の音が私の家まで鳴り響くが、最近では聞き慣れたのか気にする事も少なくなってきた。

 このような何気ない平均値としての魔術師のよくある日常を他にも淡々と綴っていくつもりなので、これを読まれた方の中で少しでも何らかのの糧になれば幸いと思う。


end.


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