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 朝食のあと、私は机に向かって魔法の研究に取り掛かる事にした。

 現在研究している内容は、雷魔法を電気に変換して効率よく蓄電する方法だ。

 私の家にある電化製品の電源は、この家に引っ越す際に合わせて購入した太陽光エネルギーを電気に変換する自家発電機に頼っているのが現状だ。ところが最近その変換器パネルの調子が悪く、修理か買い直しを迫られている状況だったりする。

 電化製品の主な物は、電灯と給湯や冬に向けての暖房器具などになるので、炎の魔法や応用した熱魔法で代わりになるかもしれないが、火の関連魔法は酸素状況や風など環境に影響を受けやすく、目を離した状況での活用が難しい為、条件が整える事ができないのであれば採用はしたくない。

 この森の中で暮らしていて、火災が発生すると手がつけられなくなる。

 電化製品は魔法に比べてその辺は低コスト高寿命で運用できるため、トータルで考えるとわざわざリスクのある魔法を選ぶ必要はない。

 ただ、私は電化製品の仕組みや修理に詳しい訳ではない為、電子機器が故障してしまうと私だけではお手上げ状態だ。

 その折衷案として、徐々に買い替え時期が近づいている商品を魔法で補助できないかの研究を最近始めている。

 今までの研究の中で一番効率的だったものが、風の魔法でモーターに取り付けた風車を回す方法と、移動するベクトルを魔法で制御・強化しながら直接モーターを動かすという方法だった。ただ、どうしてもこの「モーター」を介して発電する方法をどうにかできないかと思い、最近は「雷魔法から直接蓄電ができないか?」という方向で研究を続けている。

 自然の落雷は事前環境に左右されて発生条件が予測し辛い上に、雷自体が瞬間的なエネルギーのため、広範囲での実用が難しいという側面があるが、落雷ではなく落雷の疑似再現である雷魔法を使って一軒分の電気あればそのデメリットを補えるのではないか? と思い当たったのだ。

 とはいえ、ここまで御託を並べているが、この研究は全く進んでいない。雷魔法の制御が繊細すぎて上手く効率的な蓄電が行われないためだ。

 空気中の状況を把握して電子の状況を操作するのは私の現在の力では難しい……

 日記にこういった失敗の記録を書く事で失敗点をまとめて客観視して新しい研究の方向が見えてくる事を期待していたが、実際には私の駄目な歴史が残って惨めになるだけだった。

 この客観視の方法は良くないな。よし諦めよう。


 続いて研究に取り掛かっていたのが、召喚魔法の基礎知識の理解作業。

 私は自然魔法を使った錬金魔術や、魔法陣で事象制御を行う魔術回路構成が得意分野なのだが、反対にこの召喚魔法については苦手な部類になる。

 召喚獣とは、魔術を使用して特定のエネルギーを集めて生命体のような形を作り出す技術になる。

 才能がある魔法使いはまるで本当に生きているような性格すら見え隠れする個性的な動きをしたり、物語に登場するような誰が見てもわかる創造上の生命を作り出す事ができると聞く。

 今の私ができるのは単一の要素を集めたエレメント体と言われる初級編の召喚魔法ぐらいだ。でもそれはそれで水のエレメント体を作り出して裏の畑の水撒き作業に使ったり、小さな風のエレメント体を使って畜産動物の鶏や豚のフン掃除に大活躍をしてくれているが、高度な魔法という訳ではない。

 現在できない部分が多いという事はまだ伸び代があるという意味でもある。そこに期待して合間を見ては気分転換がてら勉強を続けている。

 平均値としての魔術師の私は、全魔術師の中で平均であるために目指す上はまだまだ果てる事はない。

 それが喜ばしいことか、心折られることなのか。


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