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第9話 被害報告

 今日は部活なので、放課後、部室に向かったが、どの委員会も集まりがあるらしく、文芸部のメンバーは俺以外何かしらの委員会に入っているため、委員会終了まで、読書タイムと決めていた。


ただ、部室に入った瞬間、その目論見は崩れた。


佐藤先輩が部活開始時間から部室にいる。


いつも何故か遅れてくるのに、めずらしいな、と思いつつも、佐藤先輩に声を掛けた。


「佐藤先輩、お疲れ様です。今日は生徒会、集会ないんですか。」


「ケン君、お疲れ~。何か生徒会、あるんだっけ、今日?」


いや、あんた、生徒会長でしょ!と思いつつも、本人が言うのだから、何もないのかもしれない。ちなみに、佐藤先輩は、俺らが入学前に行われた生徒会選挙に立候補して、圧倒的票数で当選したらしい。


「いや、どの委員会も今日集まるって言っていたので、、、伊藤先輩も江藤さんも今日は委員会で来られないかもって連絡ありましたし。」


「そうなんだ~。聞いてないなぁ~。無いんじゃないかな、うん。」


本人が言うからそう言うことにしておこう、うん。


 俺はいつも座っている椅子の正面に佐藤先輩がいたので、1席ずらして、佐藤先輩と机を挟んで対角線となる位置に座った。そう言えば、佐藤先輩とふたりっきりって今まで無かったかもなぁ。そんなことを思いながらも極力先輩とは関わらないように、リュックから本を取り出し、早速読み出すことにした。


 佐藤先輩は、スマホで何か見ていたようだが、獲物(俺)が来たことにより、それをやめ、俺を見ながらニヤニヤしている。


 さすがに、俺もずっとニヤニヤ見られるだけに耐え切れられず、話かけた。


「佐藤先輩、何かありましたか。」


「う~ん、昨日良いもの見ちゃって、、、って佐藤先輩じゃないでしょ!アミお姉様でしょ!」


うちの高校には、赤の他人と兄弟、姉妹になるような、ファンタジーなシステムは存在していない。まぁ、面倒だから、乗っかっておくが。


「何を見られたのですか、アミお姉様。」


自分で言ってみて、半笑いになっていることに気づく。お姉様はないな、お姉様は。


「ふふ~ん、図書室で初々しいカップルをね!」


まぁ、昨日と言ってた時点で予想は出来てたけどね。よし、否定しておこう。


「いや、カップルじゃなくて、単純に勉強会ですよ。期末が近くて勉強していたんですよ。」


「へぇ~ふたりっきりで勉強ね~、いつからケン君はゆ~こを攻略始めたの?」


全く、話聞く気ないな、この人。このままだと不味い、当分イジラれるぞ、、、


「攻略開始していないですから、ギャルゲーイベントじゃないですから!」


「え~、そうなの~、結構いい感じだったのに~」


先輩は納得がいかない模様だ。ただ、傍から見てそう見えるのだから、いい感じだったのだろう。だが、冷やかされるのは御免なので、否定しておこう。


「全然普通の友達ですよ。部活の同期なら、勉強会くらいやりますよ。」


「そうなのかぁ~、ケン君がゆ~こで納得行かないなら、アミお姉様攻略ルート開放してもいいよ♪」


何を言っているんだ、この先輩は、、、


「アミお姉様、そのルートは厳重に施錠しておいて下さい、ホームセキュリティーも付けて。」


「えぇ~何でよ、私にもドキドキしてよ~、私攻略しないと、莉奈ちゃん攻略ルート開放されないよ!」


えぇ、伊藤先輩攻略するためには、佐藤先輩を攻略する必要があるのかぁぁぁ、、、って、どんな開放条件だよ!


「伊藤先輩は俺には恐れ多いので、辞退致します。」


「もう、せっかくケン君お望みのハーレムルートも目指せるのに、、、」


佐藤先輩は鋭いなぁ~と思いつつ、ここも否定、否定。


「そんな一夫多妻制、俺は望んでないですよ。」


「またまた、そんな強がっちゃて、隠さなくてもいいのに♪」


そんな応酬をしていると、部室のドアがノックされた。


「失礼します、佐藤はいますか?」


ドア開け、高身長のスラーっとした、銀縁メガネをかけた男が入って来た。生徒会副会長の川藤さんだ。


「リョウ君、ヤッホー!いきなりどうしたの?」


「いきなりじゃないだろ!生徒会の会議で何故生徒会長がいない?」


「あれ~、今日、何かあるんだっけ?」


「秋の文化祭関連で決めること盛り沢山だろ!」


「あは、そうだっけ~」


佐藤先輩がしらばっくれている、反撃のタイミングはここだ!!!!!


「はい、川藤先輩、あなたの嫁がかわいい後輩を誘惑してきました、あれは明らかに浮気です!」


俺が元気よく挙手をして、川藤さんに被害報告をした。


「工藤、佐藤は俺の嫁ではないが、迷惑をかけたのはわかった、、、悪かった。」


そう言うと、川藤さんは佐藤先輩の手首をつかんで、教室の外に連れ出した。生徒会への強制送還だ。


「ケン君、言うようになったね、、、今日の続きはまた次回、、、」


佐藤先輩が捨て台詞を残して、部室から去っていた。


平和な時間を取り戻した部室で、小一時間ラノベを読み、誰も部室に来なったため、その日は帰宅した。

第9話書きました。徐々に更新していきますので、読んで頂ければ幸いです!

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