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第8話 昼食

 夜10時を過ぎて、香奈のおじさんが帰って来たため、おじさんにあいさつをして、俺は帰宅した。

おじさんと会うのは本当に久しぶりで、こんな時間に娘の部屋に入り込んで、ちょっと気まずい感じかなと思ったが、予想に反しておじさんがフレンドリーに接して来てくれたので、なんとも言えない罪悪感と外堀が既に埋まって来ているような感覚がこみ上げていた。


 香奈は香奈で、帰り際に、「また、いっしょに勉強しよ。」と、笑顔で言ってきた、、、こんなキャラだったっけ、と思いつつも、高校に入ってから、うまく接することが出来ていなかった香奈の笑顔をたくさん見ることが出来て、少し安心もしていた。


===


 次の日の朝、教室で会った香奈はいつもと変わらない態度に戻っていた。昨日だけの特別対応だったのかと思ったが、俺の席をすれ違う際に、


「今日も来るんだよね、うちに。」


と俺の耳もとで囁いて去っていった。昨日の夕方からの怒涛の攻撃が止まらない。。。


かわいいなと思う一方、毎日は正直きついよと思いながら、うまい断る理由が無ければ、今日も勉強会だと覚悟しながら、その日の授業を受けていた。


===


昼休みは教室で裕ちゃんと高校に入ってから仲良くなった、同じクラスのノブと3人で教室で昼食をとった。学食派ではない俺ら3人はいつも、机をくっつけて、3人で食事をしていた。


ノブが弁当を口に含みながら、愚痴りだした。


「高校入って2ヵ月経ったし、そろそろ彼女できてもいいんじゃない?俺ら。」


その意見は同意だが、多分多くの男子高校生がその解決策を見いだせずにいると思うよ。


「ノブは誰か好きな子いないの?」


弁当を食べ終えた裕ちゃんがそんなに興味はなさそうだが、相づちとしてそんな危険なことを言うと、


「いるいる、このクラスだけでも5人はいる。」


ノブがボソッと、そんなことを言った瞬間、クラスの女子の軽蔑するような視線を複数方向から感じた。不味い、この話題を膨らますのは、非常に不味い。

確かに3人で食事はしているが、裕ちゃんを狙う女子は未だにクラスに存在しており、その方々は我々の会話をリアルタイム視聴しているのですよ、ノブ君!!!


「ノブはあれだな、いっぺん、広い視野を持った方がいいな、うん、今とか。」


友達思いの俺はノブに忠告してやったが、ノブは止まらない。


「バカ、俺の視野は広いよ、このクラスだけじゃなくて、1年全体でかわいい子はチェック済みだし。特に、2組の加藤さんは別格の可愛さだな。」


俺も加藤さんのことは見たことあるが、栗色のロングヘアで日本人離れした肌の白さで、別次元の可愛さなのは認めるが、今はそう言うことを言っている場合じゃないよ、バカ。


「信人、加藤さんはあんたのこと眼中にないから、現実を見なさい。」


昼食を取り終えた、クラス委員の千藤さんがとなりのグループからナイスなツッコミを入れてくれた。

千藤さんはノブと中学が同じで、正義感の強い、芯の強そうな女の子というイメージが俺の中にはあったが、よくノブに絡んでいる所を目撃する。傍から見ていると、実にお似合いのふたりだから、気づけよ、ノブ。


「千藤、分かってないなぁ、諦めたらそこで恋愛終了ですよ。」


ノブ、お前が諦めの悪い男であることは十分分かったから、そのオマージュはやめてくれ。


「バカ、あんたの場合、何も始まってないのよ!」


そんな夫婦漫才が始まったので、俺と裕ちゃんは弁当箱を片付けながら眺めている。うん、今日も平和だ。


「何とか言ってくれよ、裕也、健斗。お前らだって、彼女欲しいよな。」


ノブのそんなTPOを気にしない点は、俺も勇気をもらうことがあるが、今は違う。周りの女子たちが裕ちゃんの発言に集中していることがわかる。一歩間違えれば、クラス内の人間関係に大きな変化が生じる危険な状況だぞ。


「ハハ、そうだな。」


裕ちゃんがあっさりそんなこと言うと、教室中がざわついている気がする。さすがクラスの人気者、、、


「だよな、健斗もそうだよな?」


えぇ~、俺にも振るの~、それ~、誰も俺の答え期待していないだろうからいいけど、、、って香奈、めっちゃ俺見てるじゃん。もう間違いないじゃん、これ。


「そう、だね。」


言った後、ちらっと香奈の方を見ると、目線が合ってしまい、香奈は顔を赤くして、慌てて目線を逸らした。いや、そういう意味じゃないからね、、、


「滝藤君と工藤君はまだしも、信人、あんたはそのゲスな性根を直さないと無理だから。」


千藤さんがそんなことを言っていた。俺もゲスいから、ノブのことは言えないな。


「俺の何がゲスなんだよ、俺ほどピュアな男はいないだろ!」


俺もそう思う、公然と5人好きな人がいるとか言える、お前ほどすがすがしいゲスな男はいないよ、ノブ。お前とは親友になれそうだ。


そんなことを思っていると、昼休み終了放送が流れ、みんな、ノブをスルーする形で、ランチタイムはお開きになった。

第8話書きました。 徐々に更新していきますので、これからもよろしくお願いいたします。

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