第4話 恋愛指南
朝食を済ませ、制服に着替え、出かけようとしたところ、友里に呼び止められた。
「お兄ちゃん、いっしょに出よう。」
怪しすぎる。非常に怪しすぎる。妹は中学生になってから、思春期&反抗期全開で、いっしょに外出するなんてなかったのに。
「おぉ、わかった。」
驚きながらも、かわいい妹がそう言うなら、断る理由はなかった。
妹は地元の公立中学に通っているため、いっしょに通学できるのは5分程度だが、何年ぶりかわからない状況に俺はかなりうれしかった。
「昨日並みにキモい顔になっているよ。」
友里が軽く引きながら、俺に話しかけてきた。
「そうか、俺はいたって普通だけど。」
冷静を装って、平然と言ってみた。
「あっそ、、、そう言えば、昨日何かいいことあったの?もしかして、彼女できたとか?」
恋バナが聞きたくて、いっしょに登校だったか、、、
だが、テンション高く、かなりハードルが高いことを言ってきたな、妹よ。俺はもっと小さな幸せを大切にする男だ。
「いや、何もないよ。」
「な~んだ、つまらないの。まぁ、お兄ちゃんの相手してくれる女の子なんて、香奈ちゃんくらいだもんね。」
残念だが、俺の部活はハーレム(仮)だ、と言いたいところだったが、妹に言うことではないので、
「そうだな。」
と軽く流した。
「そんなのだと、裕也君に香奈ちゃん取られちゃうんだがら、しっかりしなよ。」
取られるも何も香奈は俺のこと、なんとも思ってないから、裕ちゃんが本気出せば、すぐくっつくよ、あいつら。たぶん。
と思っていたが、小さい頃から裕ちゃんLOVEな友里にそんなこと言うと、マジギレされそうなので、
「わかった、わかった、しっかりするよ。」
と受け流した。
「昔から積極性がなくて、受け身なんだがら、たまにはお兄ちゃんから香奈ちゃん誘いなよ!じゃ!」
「おう、じゃあな」
なぜか妹に朝から頼んでもいない恋愛指南を受け、俺は駅へ向かった。
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学校に着き、教室に入ると、朝練を終えた香奈が同じバドミントン部の同級生2人と話をしていた。
香奈は中学のとき、シングルスで県大会ベスト4に入るレベルの選手で、強豪校ではない、この進学校では、既に1年生でエースとして期待されているらしい。
話の邪魔をしないように、存在感を消しながら、自分の席にそっと座り、本を読みだすと、
「健斗、おはよ! 何無視して、本読んでるの!」
俺の本を取り上げて、俺の顔の真正面に自分の顔を寄せて、香奈が満面の笑顔で朝のあいさつをしてきた。
「香奈様、おはようございますでやんす。」
後ろで俺ら2人のことを見ているバト部の方々を意識して、香奈を他人行儀かつ敬った形で朝をあいさつをした。
「何が香奈様よ!心にもないこと言って。そんなんだがら、友達できないんだよ!」
友達いないんじゃない、少ないんです!と思いつつ、
「おっしゃる通りでございます。」
と揉め事を避けるために肯定した。
ここで言い争うことが出来れば、”教室での幼馴染とのしょうもない言い争い”という、
ラブコメイベントの完成なのだが、チキンな俺は第一志望の主人公の友人キャラを守ることにした。
と言うか、バト部の方々、明らかに俺を見下したような感じで見てますよね、怖い、本当に怖い。
「ホント、最近なんなの、あんた、、、」
と言って、本を机に置いていき、香奈はバト部の方々のところへ戻っていった。
そんな悲しそうな顔されると、正直どう接すればよいのかわからなかったが、バト部の方々と談笑を始めたので、一安心して、目線を本に戻した。
さて、静かになったことだし、朝のSHRが始まるまで、ラノベでも読むかな。
3日坊主にならず、4話かけました。徐々に更新していくので、
よろしくお願い致します。