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第9話 ポンコツたちの戦闘開始!


 俺もチャイムも、川を背にしてスライム達に追い詰められていた。

「あ、あ、あ……当たら……ないですね」

 クタクタになっているチャイム。

「大きいと当てやすいのに……」


「跳んできたぞっ! 避けろ、チャイム!」

「ひゃい!」

 スライムの突撃をとっさに左右に跳び避けた俺とチャイム。

 スライム達は勢いのままドボンドボンと川にはまっていった。



「と、とりあえず、流されてくれたか……駆除できなかったけど、とりあえず一旦仕切りなおしを――」

「ぷ、プラウド……さん……」

 俺の背中越しを指差すチャイム。



 そこには、川で水分を補給し、俺の身長サイズに(ふく)れたスライム9体が山盛りになっていた。



「お、大きくなっちゃいましたね……」

「チャイムーーーーッッ! お前、変な事言うからッ!」

「ごめんなさーーーーいッッ!!」


「二人ともー! あのスライム、マズい感じになってへん?」

 空中でふわふわしているファーファが指差す。



 川底の岩が浮いている。



 いや、膨らんだスライムが、体内に川底の岩を取り込んでいるのだ。




「撤退ーッ! 撤退だ、チャイムー!!」

「いやあああああ!!」

 体内に大型の岩を幾つか取り込んだスライムが1体、転がってくる。

 とっさに俺とチャイムは手近な大木の陰に逃げ込んだ。



 ゴスッ!



 勢いをつけた岩入りスライムの体当たりで大木が折れた。

「こ、これは…」

「当たると死んじゃうかと……」



「逃げろーッッッ!!!!」



 俺とチャイムは隣の大木の陰に逃げ込んだ。


 ベキッバキッ


 何度も体当たりされ、大木が傾いでくる。


 頭の上をふわふわ飛んでいる妖精に叫んだ。

「おい、ファーファ!! なんか無いのか!?」

「なんかって、漠然としててイメージしづらいわぁ」

 腹たつなあ、この大阪妖精!



 メキッ

 嫌な音がして二人が隠れていた大木が裂けた。



「埒が明かねえええええええええ!!!!」

「あそこ! あそこに岩が!」

 目ざとくチャイムが二人隠れられそうな大岩を見つけ、陰に飛び込んだ。



「スライムの弱点ないのかよ! お前の能力でスライムを倒す方法!」

 ダメ妖精に具体的に尋ねる。

「スライム連中の弱点はまず、高熱やね!」

「熱で溶かすとか、ぶった切るとかできないか!?」

「それならまかしといてっ! 炎系は得意なんよ! そのショートソード借りるわー」


 俺の握っているショートソードに、ファーファが小さな手で触れた。

 ショートソードとファーファが虹のような奇妙な色合いの光を放ち始める。

 すると、ファーファはショートソードに触れた所から、すぅっと中に入り込んでいった。


「ポリモーフ!」


 ファーファの声がショートソードから聞こえたかと思うと、ぐにゃりと変形し始めた。そして炎をまとったような揺らめきに包まれ、一瞬高熱を覚えたかに思うと……その揺らめきが刃に凝縮し、白く輝く光の刃となった。



「思い出せぇーッ! ウチは炎! あらゆるものを灰燼に! その灰さえ燃やす灼熱の塊!! 炎さえも燃やし尽くす豪熱の光!!!!」

 ファーファの声が変形したショートソードから聞こえてくる。

「ひっさびさやんーー! やったるよぉーーッ!!」

 ファーファがノリノリだ。



「ウチの能力は、この世界の要素を自在に再構成できる能力。ウチがイメージできるものなら、どんな姿や性質のものにでもなれるんよっ!」

「なんでも……」

「イメージできへんもんには変化させられへんけどなーッ! テンション上がるとちょーっとびっくりさせちゃうかもよー!!」

 ヤバい奴に関わったかもしれない。


「炎系のイメージは、魔王に結構刷りこまれてるから、ちゃんと覚えてる! ひっさびさやし、ウチの凄さみせたるしッ!!」

 覚えてる……って……?



 岩入りスライムの1体が転がってきた。

「でも、当たらないと意味ないんだろ?」

「ええから振ってみ!」

 なかばやけくそ気味に、俺は白く輝くショートソードを横に薙いだ


 フォン――


 逃げ腰だったせいでスライムの横を空振りした。


「なんだ今の音」

「それな、空気を焼き切っている音やね」

「……」


「プラウドさん! 足元! 剣の先ッ!!」

 チャイムの慌てる声で足元を見ると――

 垂らしたショートソードの切っ先が、当たっている岩を真っ赤に溶かしている。


「オイ! 岩がオカシイぞ、オイッ!」

「あー、そりゃ岩くらい溶けるわ。気ぃつけなあかんよ、溶けた岩に触れたら火傷するし」

 ショートソードと同化したファーファが当たり前のように言う。

「危なっかしいわッ!」

「とにかく、はよ倒さな!」


 俺はスライムの怖さと、持っているショートソードの怖さの両方で腰が引けている。


 俺と同じサイズのスライムが大きく跳ねてきた。

「どりゃああああああああッッ!!」

 横薙ぎに!


 空振り!


 チュン――

 奇妙な音と共に、そばの岩が何の抵抗も無く溶断される。


「なっろおおぉぉッッ!!」

 縦切りに!


 空振り!


 勢い余って地面に当たり――地面が高熱で焼け溶けながらそのままズルズルと俺の足元まで切れた。



 怖い! 自分の持っている武器が怖い!



魔王もチートですが、ファーファもたいがいチートかと思っています。

ただまぁ、ちゃんとしてくれないのですが。


ポンコツ連中の初戦闘なのでこんな感じになるかと…(汗


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