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へたれ魔王の余直し方法?(仮)  作者: ひろ(仮)
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第8話 逆に考えるんだ、幼女に頼っちゃってもいいさと

部屋に戻りベットの上でクランと二人で向かい合う。

自然と近づく二人の距離。クランの瑞々しい唇を見つめ生唾を飲み込み意を決して言葉を交わす。


「…クラン。その…いいかな?」


「うん…ぱぱ。いいよ?」


「じゃあ…いくぞ!!」


クランの体に触れ、その温もりを確かめつつ心の中でこう叫んだ。


助けてーーーーーー!!クランちゃーーーーん!!!


…いや、クランさんを呼び出す為にクランの手を握っただけですよ?他意は無い。他意は無いんだ。

…これ無知なクランちゃんならちょっとえっちな悪戯できそう…とか考えたけど実際にやってしまうとクランさん呼び出した時に何があるか分からなくて怖いからしない、しないったらしない。


「…………マスターの救助要請を確認、これより所有者の安全確保を優先して行動致します。魔術回路接続、サーキット安定。探索魔法起動、…現在地把握、マップにより照合……完了。全セーフティロック解除、コンバットモード移行完了。全シークエンスオールクリア」


良かった、危機的状況中だけのお助け機能かと思ったけどとりあえず困ってれば呼び出せるみたいだ。

…いや、でも心の中とは言え見た目幼女に毎回助けを求めるしかないとはなんとも、こう、情けないなぁー…。

あ!!そうだよ俺魔力回路が新しくできたんじゃなかったっけ!相談ついでにクランに魔法教えてもらおう!そうすれば一々クランに頼らなくても出来る男になれるのでは無いだろうか!


「おはようございます、マイマスター。現状況では特に危機感知スキルに反応はありませんが…何か問題が発生いたしまし…」


「クランさん!!とりあえず俺に魔法教えてくれ!!他にも相談はあるんだけど先ずはそれだ!!」


クランの発言を遮り、肩を掴んで全力でお願いする。

まるで未来の猫型ロボットにお願いしているダメな眼鏡っ子の気分だ。


「………分かりました。それではまずマスターの属性、魔法、魔術適正、現在の習得済みスキルを鑑定いたします」


なんだろう、普段のクランは人懐っこくて俺の事甘やかしてくれる良い子なのにクランさんになると感じるこの時々呆れた様な感じは…なんか悲しくなってくるぞ?


「というか、この世界ってスキルとかそう言うゲームみたいな設定あったんだ。あ、もしかして『ステータス』って叫べば自分のステータスが見れたり?ってんな訳…………うぉ!?…うぁ痛ぁっ!?」


ブォンという音と一緒に半透明な板の様な物が目の前に現れた事に驚き、後ろに仰け反った拍子にベットから転げ落ちてしまった。ちょっと…後頭部はだめでしょ…。

強打した後頭部をさすりながら起き上がり、目の前に現れた半透明の板を覗き込む。


「マジか、ちょっと感動だぞこれ…。そうだよ、これだよ王道ファンタジー!!やっと俺の時代来ただろこれ!!…えっとなになに?」


「………………あの、マスター……申し上げにくい事なんですが…………その…………」


これからの展開で頭の中が一杯になった俺はクランの呼びかけに気がつかず、現れたステータスボードに目を向けた。


フィル・アンサラー

性別:男

年齢:9歳

種族:ハイエルフ[先祖返り:魔人族]

称号:異世界転生者、魔神剣の主人、魔王の婿、エレメントマスター

身体能力▽

体力:120/120

魔力:ー/ー(表示限界)

STR(力):12

INT(知力):42

DEX(器用さ):33

VIT(頑丈さ):5

AGI:(素早さ)27

LUK(運):22

習得スキル▽

料理Lv2、体術Lv1、交渉術Lv1、工作Lv2

魔法適正▽

魔術適正▽


…………何これ凄いのか?基準が分からないから何とも言えないんだけど。

とりあえず魔力が表示限界とか書いてあるしめっちゃ凄い魔法使えるようになるんじゃ無いかな?

身体能力も俺が昔やってたゲームみたいな感じで表示されてるな。

魔法系のオールラウンドタイプか…序盤は良いけど後半になってどうするか悩むタイプだな。

種族も一応ハイエルフだけど先祖返り…だから特徴的な耳とか無かったのかな。

称号欄も気になる。転生者はわかる、魔神剣の主人も分かる多分クランのことだな。というか結構大層な名前だなクラン…。

しかしエレメントマスターと………魔王の婿って何?やっぱあの残念魔王いるの?なら早く出てこいよ…色々と大変だったんだから!


「…あの………スター………?」


あ、種族と称号の詳細見れるのか。なになに?


ハイエルフ:類稀な魔力量と魔法に長けた長命種。容姿の優れた個体が多く、主に森に居を構える。


魔人族:魔素の濃い土地で生まれる人間の亜種。全ての魔族の原点とも言われている。身体能力、魔力共に優れており、その反動か髪の色素が薄い者が多い。白に近い者程強力な力を秘めている。


異世界転生者:異世界からの転生者。成長時ステータスにボーナスが加算される[効果大]


魔神剣の主人:魔王に魔神剣の所有を認められた証。魔神剣を使う事が出来る。


エレメントマスター:全属性に対する適正を持つ者。[全属性適正、補正効果大]


魔王の婿:魔王と婚姻を結んだ男。[おめでとうございます]


…おい、最後のなんかおかしいだろ。おめでとうございますってそれだけかい!!え、なにも効果無いの?他は凄そうな追加効果があるのにこれだけ何も意味ないじゃんか!!

しかしこれ見た限りだと俺って大器晩成タイプなんじゃ無いかな?先祖返りの魔人族で髪の色も混じりっけなしの白髪だし!まだまだ9歳なんだからいくらでも成長出来るだろうからステータスボーナスもうはうは!


「…ああ、来ちまったな。俺の時代が……………もう俺は何でも出来る、ヘタレだなんて言わせねえ!これから俺の最強伝説ってのを見せてやるぜ!俺TUEEEEEEEEしてハーレム築いてのハッピーエンドだ!!ふはははははっ」


「あの、マスター!!」


「うおっ!?」


ごめん、クランの事忘れてた。先にステータスである程度見てしまったからな!鑑定結果とやらももう分かっているのだよクランくん。


「そう、分かっているのだよクランくん!俺には潜在的に最強へと駆け上る栄光の(ロード)がある事に!

さぁ、俺に魔法を教えてくれ!どんな困難な修行でも耐えて見せるぞ!」


大業な身振り手振りでクランに教えを請う為にカッコつけてみたのだが、クランの表情が優れない事に気がついた。なんだろ、何か問題でもあるのか?

気が重そうにクランは口を開きこう言いなさったそうな。


「あの、マスター。…マスターの魔力量は大変優れており、それだけでもこの世界では並び立つものが居ないかも知れないほどです」


「なるほど、確かに表示限界って事だからすごい魔力量なんだろうね?」


「そしてマスター自身の属性です。驚くべき事にマスターは全ての属性に適正がございます。これだけでもこの世界の全ての魔法使い、魔術師にとっては喉から手が出るほどの才能でございます」


「おお、凄いな俺」


ちなみにこの世界の属性は火、水、風、地、光、闇、時の7属性があり、火水風地の基礎4属性、光闇の高位属性、そして使える者はごく一部の天賦の才の持ち主しかいない時属性に別れる。


そこまで聴くと何も悲観する事も無いと思うのだが、クランの表情は一向に晴れずより険しいなっていく。


「問題は魔法、魔術の適正です。マスターは…その…これも驚くべき事に…適正が…ありませんでした」


「…へ?」


今クランは何て言った?適正が無い?いやいや、桁外れな魔力量を持ち、全属性に適正があるのに?魔法とかに適正が無いの??なんだそりゃ?!


「…って事は?俺って魔法は…」


「完膚なきまでに使えません。魔法だけでなく魔術も同様に適正無しの為使用出来ないですね…力になれず、申し訳ありません」


何だそれ!!どんな宝の持ち腐れだよ!!あの適正の欄にあった『ー』って適正無しって意味だったんかい!!ぬか喜びにも程があるぞ!!


一抹の希望に掛けて練習したら覚えられるか聞いてみたが、そもそも適正が無ければ練習すら出来ないと言われ、俺は真っ白に燃え尽きた。

先程まで浮かれていた自分をぶん殴って記憶の中から消してしまいたい。


「で、ですがご安心下さい。私はマスターの魔力を使用し、魔法を行使する事が出来ます。それに私自身の属性は火闇時でしたがマスターとリンクしておりますので全属性に対応する事が出来ます!」


ありがとうクランさん、気を使って頂いて申し訳ありません。

だがまだ俺は諦めない!まだ魔法が潰されただけだ!これからの成長ボーナスと魔人族の潜在力でこれから最強に…。


「あ、それから更に申し上げにくいのですがマスターの身体能力は同年代の魔族の子供と比べても非常に低い数値てすので…その間違ってもご自分で戦闘行為に及ばないよう心がけてください」


おい、魔人族それに転生者ボーナスよどこ行った。これからか?これから成長するのか?

俺の意識が覚醒してからボーナス等が適応されるならまだ望みはあるが、9歳まで生きたフィル君がこのステータスって事は望み薄くないですか?

因みに9歳魔族の基本能力値は得意な分野であれば150は超えるらしい。人間はちょっと少なくて60〜80程度だと言う。


「お任せ下さい。戦闘面では私『ヴェルクランテ』が全力でマスターをお守りします!マスターは…その…どっしり構えて頂ければ…」


途中から尻すぼみに声をかけてくるクランさん。

そして俺の頭の中ではある貴族の言葉が頭をよぎった。

『何?自分が余りにも使えないお飾りな子供だって?

逆に考えるんだ、幼女に頼っちゃってもいいさ。と考えるんだ』


そうだよ、俺に出来ないことをクランがやってくれるだけだ!俺にしかクランを使えないんだからつまり俺がやったも同然!なんだ簡単なことじゃないか。………………いや、泣いて良いですかね。


新たに突きつけられた現実を知り、絶望と共にこれからの生活に不安を感じる俺。

それから数時間ショックのあまり不貞寝を決め込み、昼ご飯で呼びに来たリリアさんに相当心配されてしまった。クランは起きたらクランちゃんに戻っていて頭撫でてくれてた。





「さて…俺TUEEEEEEEEの道が絶たれた今、クランさんに今後のことを相談したいんだけども」


「…俺つええが何だかんだ分かりませんが、通常の訓練をなされればそれ相応に力をつける事は出来ると思いますよマスター?」


「いいのだよ、ほら俺努力嫌いだし」


「……いえす、マイマスター」


だから呆れるなって、 俺も分かってるから!取り敢えず頑張るにしても今のこの現状をどうにかしないとだから!

一先ず俺が転生者だと言うことを家族やリリアさんに伝えるかどうかだな、ちょっと疑われているのは間違いないしフィル君の記憶が無いのも確かだ。その話ついでにクランの事も話さないと行けないだろうしね。


「と言うわけでどうだろうクラン」


取り敢えずクランに今までの俺に起こった出来事を伝えてから現状どうするべきか聞いてみた。

俺が転生者でフィルとしての記憶を失い前世の記憶と人格が出てきたという所で驚いていたが、彼女の中で納得がいったのか「なるほど、ですから回路も適正も…」と呟いて話を聞いてくれた。


「そうですね…マスターには難しいかもしれませんが、現状ではまだ明かさない方が良い思います。

ですが、失った記憶は戻りませんがマスターがフィルとして経験した事は追体験する事は可能です。

それを元にこれからの生活を送るのが得策かと。私に関しては恐らく高位魔族には伝わっているはずですのでお話してしまっても問題ないかと思われますよ」


「そうか、それじゃあその追体験ってのをやってからクランの事は話そう。…そういえば素朴な疑問なんだけど、クランは剣に戻る事は出来ないの?…その、やっぱり女の子に四六時中守ってもらうってのもちょっと思う所がありまして…」


取り敢えず方針が決まったので気になっていたことを訪ねることにした。いや、だって意地があるじゃ無い男の子だもの。


「………現段階では無理なようですね。封印が何段階かに別れて掛けられているようです。解除するにはマスターの魔力だけでは足りないですね」


「え、俺の魔力量でも足りないの!?」


それじゃあほぼ無理と言っているような物じゃないか…母さんにも協力してもらうか?というか協力も出来なかった場合やはり詰みになるじゃないか。


「いえ、量の問題ではなく質の問題ですね。私はマスターとマスターの奥様の子供()として最適化しておりますので、奥様がおりませんと封印解除が出来ません」


「またそれか!!結局その俺の奥さんって誰なんだよ!!称号にも婿ってあったし誰だよ!」


一番可能性があるのはあの残念な娘だけどあの娘がこの世界に居るとは限らないしどうしようもないぞこれ!!


「……………マスターの奥様は魔王シオン・フィーアリス様ですよ」

お読みいただきありがとうございました。


いきなり出てくるステータスボード。

本編では書かなかったのですがこれは転生者特典で普通の人は見えません。鑑定スキルもこの世界では存在せず、クランは剣の機能として所有者のステータスが覗けるだけです!

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