遭遇
今の声は?公園からか?
「あれって・・・」
街灯が公対角線上に2本しかないため、薄暗い公園を見ると、2つの人影がある。
顔は見えないが1人はスカートの制服姿をしている。女子か。
もう1人は背が高くスーツっぽい。
そして、右手には・・・僅かな光を反射して輝く鋭利な刃物。
アイツはもしかして不審者なのか?
なんで、学校の近くに出たんじゃないのか?
どうする?助けるか?
「フフ、フフフフフ。」
「いやあ、来ないでえ・・・。」
考えている間にも男は女子に近づいていく。
時間がない・・・!
一番俺に近い街灯の下へできる限り足音を立てずに急ぐ。
街灯の下に入ると携帯を開き耳にあてる。
そして、叫ぶようにして言う。
「事件です!」
「なんだあ?」
男が振り返る。いいぞ、こっちを見た。
「コンビニ近くの第1公園で女性が刃物を持った男に襲われてます!」
「クソっ!」
男が走って公園から出て行く。
そのままコンビニの前を通り駆けていった。
今の内に逃げないと。
「おい!お前!」
女子のところまで走る。
荒っぽく手を掴んで言う。
「今の内に逃げるぞ!こっちに!」
「えっ・・・・え?」
状況をまだ飲み込めていないようで困惑した声を上げる女子を引き家まで走る。
「入って!」
1分もかからずに家に着いた俺は玄関に彼女を引き込んで鍵をかける。
ふう、これで安心かな。
「なあ、お前怪我とかは・・・」
振り返った俺は思わず口を閉じてしまった。
未だに困惑顔をしているが、整った顔立ちをしている。っていうかコイツは、
「す、須藤?」
「えっ?白神君・・・!?」
クラスメイトであり今日の実験の関係者・須藤良香だった。
「ま、まあ取りあえず怪我はないか?」
「う、うん。平気。」
「リビングで話そう。上がって座っててくれ。」
「わかった。」
キョロキョロしながらリビングを探す須藤。
指差しで示すと歩いていった。
「通報しないと。」
電話を手に取り呟いた。




