1話
目の前には青空が広がっていた
「あ、あれ?ここは…?」
上体を起こして周りを見渡すと草原が広がっていた
「たしか僕は瓦礫の下敷きに…」
そう確かに瓦礫の下敷きになった
ということはここは天国かもしれない
なあやることは一つだ
そのまま草原にひっくり返る
「このまま天使が来るのでも待ってるかな。当てもなく彷徨うのもあれだし」
ひっくり返っていると眠気が来た
死後の世界にも眠気ってあるのかと思い寝ようと思っていた時
『あんたこんなところで何してるの?』
寝ようとしていたところに急に声をかけられ飛び起きた
「そこまで驚くことないじゃない」
目の前に1人の少女がいた
パッと見同じ年くらいだろうか
「き、君はいったい…」
別に聞かなくてもいいだろ、ここは天国なんだし天使だろう
「私?私はミリア。あなたは?」
どうやら目の前の天使(?)の少女はミリアと言うようだ
「僕は久加部 圭」
「ふ~ん、長いから圭でいい?」
「別にいいけど」
「じゃあ圭。まずは場所を変えましょう。ここは危険だし」
見ればミリアは少しそわそわしている。まるで何かを警戒しているように
「危険?どう見ても安全そうだけど?」
一応立ち上がり周りを見渡すが生き物はいなかった
「説明してる暇はないからとりあえず街に行きましょ。そこで説明するわ」
少女が走り出したので慌てて後を追いかける
何十分か走ると街らしきものが見えてきた
「あれがその街?」
息を整えつつミリアに尋ねる
「ええそうよ。たしか商業の街だったかしら」
走っていたはずなのにミリアは涼しい顔をしていた
「てか街ってここ天国じゃないのか?」
ミリアはキョトンとした顔でこちらを見る
「え?ここ天国じゃないわよ。まず私もあなたも死んでないし」
おかしいあの大きさの瓦礫の下敷きになった僕がまず生きているはずがないし僕がその時いた場所とここは違う場所だし
「詳しいことは全部リーダーが話すから。まずほかのメンバーと合流しましょう」
そしてミリアは街の入口へと歩き出した
とりあえずついて行くことにした
たくさんの店の客寄せが聞こえる。確かにここは商業の街のようだ
「迷子になったら大変だからしっかりついてきて」
「分かってるよ」
確かにこの人だかりでは迷子になったら探すのは大変だろう
時折人にぶつかり謝りながらミリアについて行く
「なんで人にぶつからないのさ?」
ミリアは人にぶつかることなくかわしながら歩いている
「ん?慣れよ慣れ」
その後も頑張ってかわそうとしたけどどうしてもぶつかってしまった
商業エリアから外れたのか人だかりが減ってきたので歩きやすくなった
「着いたわ」
目の前には結構広めの2階建ての建物があった
横にある看板には『酒場。夜しか開いてないよ』
夜しかやってない酒場のようだ
「で、どうする?」
ミリアが急に訪ねてくる
「正直私のこと怪しんでるでしょ?」
確かに怪しんでいる。これで怪しまないほうが不自然だ
「なら別にこのまま立ち去ってもいいのよ。私は止めない」
ならさようならと立ち去りたいところだがここまで来たら気になるし、しかし本当に信用してもいいのか
「で、どうするの?」
選択肢はこれしかないか…
「君について行くよ。ここがどこだか、どうして僕は死んでいないのかが気になるしね」
ミリアはにやりと笑い店のドアノブを回した
「ならようこそ、歓迎するわ、圭」