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 声を掛けられ振り向いた先にいたのは、背が高く髪の長い美少女だった。

 白瀬直巳。哲平の古くからの馴染みである。

 色白で日本人形のように整った顔立ちと、すっきりと伸びた手足とが、古風なデザインのセーラー服に実に良く似合っている。黒に近い濃紺の地の中で、胸元に結ばれたスカーフがまるで一輪の白百合のようだ。

 直巳は小首を傾げた。哲平が何をそんなに驚いているのか分らない、という風情である。

 哲平は深刻な疑念にとらわれた。

 哲平の知る限り(そして実際に嫌というほど知っているのだが)、直巳は見た目とは裏腹の天然ボケキャラ、などではまったくない。見た目通りの、いや見た目以上に怜悧で犀利な頭脳の持ち主だ。

 つまり、ついうっかりと来る学校を間違えた、などという可能性は皆無。

 ひょっとして、俺の方が何かとんでもない勘違いをしているのか?

 右を見る。

 哲平と同じく新入生らしい、学ランを来た三人組がこちらに不思議そうな視線を投げながら通り過ぎる。

 左を見る。

 在校生らしい学ラン姿の大男が、こちらを険しい顔で睨みながら通り過ぎる。

 前を見る。

 セーラー服姿の美少女が見つめ返す。

 うん、俺は間違ってない。おかしいのはこいつの方だ。

 などと納得している場合ではない。

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