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「ご、ごめんなさい、私……」

 直巳は力なく腕を下ろした。重力の導く必然に従い、哲平は後頭部から地面に落下する。

「っ痛ぇ……」

 頭をさするとこぶになっていたが大したことはなさそうだ。というかそう思いたい。

 しかし上体を起こした哲平は早速己の正気を疑った。

 直巳がしょんぼりとうなだれている。

 象がバク宙を決めるぐらいあり得ない光景だ。

 なのにミサトはいささかの動じた様子もなく。

「分ってるよ、直巳」

 直巳を真っ直ぐに見つめ、優しく笑いかけた。

「ぼくのために怒ってくれたんだよね?ありがとう」

「ミサト……」

 顔を上げた直巳はほとんど泣き出しそうだ。

 ──被害者は俺だぞ。

 かなり釈然としないが、しかしこのまま二人が仲良く立ち去ってくれるなら少なくとももうこれ以上ひどい目には合わずに済む。

 そう考えた矢先。

 ミサトが哲平の前に屈み込み、右手を差し伸べた。

 哲平は一瞬びくりとする。また何か妙な「挨拶」をかまされるのではと警戒したのだ。

 しかしミサトはその体勢で辛抱強く待っている。

 助け起こそうと、してくれている?

 理性では未だ半信半疑のはずの哲平は、だがまるで誘蛾灯に吸い寄せられるようにその手を取ろうと腕を伸ばし──。

 思いっ切り引っ込められた。

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