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 ──うっわ、ホントに男ばっか。

 哲平はひとりごちた。

 右を向いても左を向いても目に入るのは同年代の男ばかり、しかもみんな着ているのは学校指定の黒の詰襟だから、むさ苦しいことこのうえない。人口密度はさほどでもないのに、ほとんど息苦しくさえ感じられる。

 せめて入学式らしく桜でも咲いていれば少しは華やかになるだろうに、今年は暖かくなるのが早かったせいで、もうとっくに散ってしまっていた。

 質実剛健な校風を反映してか、校門脇に立てられていた看板にも、墨痕淋漓と“私立武成高等学校入学式”と大書されているだけで、装飾の類は一切なかった。

 どうやら色気に欠ける三年間になりそうである。

 哲平とて健全な十代男子だ。

 可愛い女の子とキャッキャウフフしたい、という気持ちは当然ある。

 だけどいいんだ。俺はこの道を行く。

 哲平は強く自分に言い聞かせた。自分で選んだことだ。後悔はしない。そして何より──。

 決意を新たにするように、力強く足を前に出す。

 中学の頃みたいな轍は踏まない。

 女に振り回されるのは、もう真っ平だ。

「あ、哲、おはよう」

「よお、おはよう直巳……って、えええっ!?」

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