消えた女 〜行方不明編〜
登場人物 横島一樹:探偵、香川紀子:秘書、依頼する男、何も喋らない男
俺は、横島一樹。
探偵に憧れてただけで、探偵になったものの、散々な目に遭ってしまい、香川という女が無理矢理秘書をやると言い出した。
まあ頼りになるけど、面倒なことにならなきゃいいが。
香川
「横島さん、そこの手帳取ってください。」
横島
「はいはい。」
その手帳は、かなり使い込んだようである。
香川
「何をジロジロ見てるんですか!」
横島
「ひゃい!」
しまった!あまりにも恐かったので、変な声を出してしまった。
香川
「情けない。これじゃあ、探偵として失格ですよ。」
返す言葉がなかった。
ピンポ〜ン
横島
「はい。」
難を逃れた。
ドアを開けると、恐い感じの男がいた。
男
「こいつを探して欲しいんだが。」
写真を突き出された。
30後半の女。
男
「昨日の夕方に待ち合わせしたのに、来ないんだ。」
香川
「それで。」
男
「8時ごろ電話したが、繋がらなくて。」
香川
「それで。」
男
「メールを送ったが、帰って来なかったから仕方なく帰った。」
香川
「女の人に何か変わったことはありませんでしたか?」
男
「いや、何も無かった。」
香川
「分かりました。お任せください。」
香川
「ありがとうございました。」
横島
「ちょいちょい、勝手にやっちゃダメでしょう。」
殺気を感じた。
香川
「調査行ってきま〜す。」
横島
「あ、ちょっと。」
睨まれると、言い返せない。情けないなあ俺は。
どうしようもない俺は、行動に移すことにした。
が、鍵が無い。
結局待つことにした。
外が暗くなってきた。
ピンポ〜ン
横島
「は〜い。」
男
「終わったか?」
こんな時間に来て来るなんて。そういえば、香川さん
「明日、来て下さい。」って言わないと。
横島
「すいません。まだ、調査は、終わっていないんですが。」
男
「そうか、ここに電話してくれ。」
男はそう言うと、手の平サイズのメモをドアのポストに入れた。
男
「じゃあな。成功を祈る。」
紙には、連絡先が書いてあり、なぜか文面がワープロで打ってあった。
それにしても遅い。香川さんは、何をしているんだ。
彼女の携帯に掛けたが、通じない。何か悪いことにでも遭わなければいいが。
とうとう夜が明けてしまった。携帯に何回掛けただろうか?
ピンポ〜ン
もしかして、帰って来たのか?
彼女かと思いドアを開けた。
そこに居たのは、見知らぬ男が立っていた。
男
「…。」
横島
「すいません。急に開けたりして。」
男
「…。」
何か言ってくれよ。
横島
「何か用件でもあるんですかね?」
男
「…。」
お願いだから喋ってくれよ。
男
「…。」
そんな見つめなくても、早く用件を言ってくださいよ。
男
「…。」
何故?喋らない?
横島
「あのー。」
俺が喋りかける前に、男は去っていった。
横島
「なんなんだ、一体?」
んっ!?
下に何か落ちてるぞ。
何々、この場所に来い。
地図にマークしてある所と
「取引をしよう」
と書いてあった。
香川さんに何かあったのか!?危険を承知で、マークしてある場所に行ってみる事にした。
つづく