1-14 昌虎
俺は必死で逃げている。いや、立ち向かっているのだろうか。
体中のあらゆる部位の震えが止まない。
どうすれば、この状況から抜け出せるのだろうか?
頭の中はもう完全に真っ黒だ。考えようにも何も考えきれない。次から次へと考えるように脳が指令を出すが、それを上回る恐怖で何も出来ない。
黒が俺の頭の中を埋めていく。おかしくなりそうな恐怖と戦いながら、俺はある人の下へ駆けている。
早く、早くこの状況を知らせなければ、唯一思考できるのはこの事だけ……。
「糞っ……! 畜生っ!」
危ない橋だと分かっていた。
でも、俺はこの糞みたいな人生に、光を、灯火をくれたあの人に報いる為、危険だと分かっていて踏み出したんだ! おそらく皆も一緒の気持ちだったんだろう?
例えこの身朽ちようとも、これだけは絶対に裏切れない。
主君と呼べる人ではない。
それでも俺達を生かしてくれた。
何の意味の無い人生を送ってきた俺を、きっとあの人は意味のあるものに変えてくれようとしたんだと思う。
だから、俺達の人生を、意味のあるモノに変える為に、俺は死んでもあの人の下へ帰るんだっ………!
どうも結倉です。
本当に短い更新ですみません……
しかし、どうしてもこのシーンだけで区切りとしたくて。
短文ですがお付き合いいただけると幸いです。
次回は週末更新となりますのでご了承を。
ではでは。