投降
エルリンを中心に、皆が集結していた。
「敵はこの先の、森の入り口付近に集結中、恐らく数にものを言わせた正面突破を仕掛けてくる」
エルリンが皆に状況を説明する。
「キャハハ!全員返り討ちだよ!」
アストリッドがメイスを振り回して叫ぶ。
「むしろ、わかりやすくて助かりますわ」
レミーが不敵な笑みを浮かべながら、腕組みをしている。
「わ、わたし、レミー様、に、引っ付いて、るだけですが・・・」
コペルニアが震えながら言う。
「こちらアンス、白旗を持って投降してくる一団有り、シュトラーダ軍兵士だ、どうする?」
アンスから通信が入る。
「わかった、すぐ行くわ」
「ファフ、付いてきて」
「了解!モートンとヤネットも付いてきて」
ファフナロッタがダガーをチェックする。
「はい!」
モートンとヤネットが大きく返事をする。
しばらくして、エルリン達がアンスと合流する。
「リン、かなりの数がこっちに投降しようとしている、ざっと見積もっても500人を超えている」
アンスがエルリンに状況を説明する。
「一人を除いて全員武装解除をしている・・・本気みたいね」
エルリンは顎に手を当てて、少し考えながら纏めた。
「行きましょう」
エルリン達は投降する一団の前に、姿を見せると、一団は動きを止めた。
先頭で白旗を持った、唯一武装をしている男が一歩前に出て話を始める。
「私は!シュトラーダ軍、ヨルガン傭兵団、2番隊中隊長、ピーハイン・テンパードと言う者だ!話がしたい!」
ピーハインが、白旗を大きく掲げる。
それに対して、エルリンが一歩前に出る。
「私は、この部隊の隊長、ラファエラだ!話を聞こう!」
「感謝する!」
ピーハインが頭を下げて、エルリンの方に歩み寄る。
「手短に話す、ここにいる私を除く614名を捕虜として受け入れてもらいたい、貴国には人間の集落があると聞く、図々しい願いと承知でお願いしたい、この者達に人間らしい生活を補償してもらいたい」
さらにピーハインが深々と頭を下げる。
「なるほど・・・特別扱いは出来ないが、集落のルールを破らない限り、衣食住は補償する」
「ただ、それだけの人数を一度に受け入れるには、しばらく野宿してもらう事になる、我が集落は、自給自足なのでな」
エルリンは仮面の裏でほくそ笑んでいた。
ーーー人間牧場を拡張できる。しかし、この人数・・・篩いにかけて半数以下に減らせば、労働力としては使える。管理がしばらく大変になりそうね。
ピーハインは兵士達を見て言った。
「皆、今ラファエラが言った通りだ、投降する以上、相手のルールに従わなければならない、それでもいいと思うなら前に出ろ!」
結果的に、ほぼ全員が捕虜の道を選んだ。
ピーハインとラファエラが向き合っている。
「あなたはただの付き添い?」
エルリンがピーハインに訊ねる。
「私は本隊に戻る、最後まで悪あがきさせてもらうよ」
ピーハインが微笑みながら言う。
「そう、手ごわそうね」
「・・・部下を頼むぜ」
ピーハインは頭を下げる。
「シュトラーダに帰っても、すぐに戦争に狩り出される、疲弊した兵士達ね」
「俺はアンタが気に入ったよ、戦場では、是非手合わせをお願いしたいね」
「わかったわ」
「捕虜の受け入れ、感謝する」
ピーハインはそう言うと、背中を向けて去っていった。
ファフナロッタがエルリンの横に来て、小声で話す。
「これだけの人数、どうするつもりですか?」
「引き取ってしまえば、どうにでも出来るわ」
仮面の裏でエルリンがどんな顔をしているのか、ファフナロッタは気になっていた。
「ファフ、ちょっと大変なお願いがあるのだけれど、モートンとヤネットを連れて、この捕虜達を、第2集落まで連れて行ってくれる?」
「え!?大丈夫なのですか?」
「ええ、あと、2時間もしない内に日が落ちる、大丈夫よ」
「わかりました、リン、気をつけて下さい」
そう言うと、捕虜達を誘導を始める。




