希望の限界
シュトラーダ王国、冒険者ギルド。
「ぐぁぁぁ!ゔぁぁぁぁ!」
シャロンが右足から大量の血を流しながら運ばれてくる。
「誰か!プリーストを!」
シャロンの肩を担いでいる男が、ギルド内に聞こえるような大声で言った。
「とにかく、出血がひどい!止血するぞ!」
テーブルの上に、数人がかりで寝かせられ、シャロンの左足を布で縛る。
「う、うあ・・・て、撤退・・・撤退・・逃げ・・・」
シャロンがうわ言を呟く。
「いいかお前ら、ランドールの希望を死なせるな!」
白髪で最年長の男が数人の男に命令する。
シャロンを囲む男たちが治療を始める。
「プリーストがいないなら仕方ない!辛抱しろよ、ランドールの希望!」
一人の男がシャロンに猿ぐつわをすると、傷口にアルコールをかける。
「むぐぅ!!うぅ!」
シャロンが涙を浮かべて暴れる。
「針と糸を!」
白髪の男が大声を出す。
そうしているうちに、2階から軍服を来た士官が降りてくる。
「何があった?」
「これはどういうことだ?」
士官が淡々と訊ねる。
シャロンを担いできた男が、士官に敬礼をしてから説明する。
「シャロンの部隊が、ディッザール軍の急襲を受け、シャロンと自分を残して全滅しました!」
「・・・馬鹿者が!ランドールの希望を危険に晒すとは、斥候隊は何をしていた!役立たずが!」
士官はシャロンが生死を彷徨っていることすら、理解していなかった。
しばらくして、治療は終わり、シャロンは気を失っていた。
先程の士官の姿もない。
「後は俺が看るよ、代わろう」
付き添っていた男に、ケンウッドが声をかける。
数時間後、シャロンが目を覚ます。
「よぉ、えらい目にあったな」
ケンウッドが優しく声をかける。
「・・・あ、たし、助かっ、た・・・」
シャロンが声を絞り出す。
ケンウッドは黙って首を縦に振る。
「シャロンよぉ、もういいんじゃねぇか?」
ケンウッドは布を水で濡らして、シャロンの額に拭った。
「なにも、こんな国の犠牲になるこたぁねぇ、俺があんたを自由にしてやる」
ケンウッドが微笑みかけると、優しく言った。
「今はゆっくり休みな」
シャロンはゆっくり目を瞑ると、眠りに落ちていった。
ーーーあの時のエルリンも、こんな感じだったのかな?




