悪魔の契約
掲載日:2026/04/21
貧しい身なりの少年が悪魔に契約を願った。
「僕の家は両親もおらずとても貧しくて、その日食べるものにも困る始末です。僕の魂を差し上げますから、どうかたった一人の大切な妹だけは、健康に幸せに暮らせるように守ってもらえませんか」
「妹思いのその心根に免じて、おまえの願いを聞き入れてやろう」
「では、妹に最後の挨拶をしたいので、七日後に家まで来ていただけますか」
「よかろう」
七日後、約束どおり少年の家に向かった悪魔は、そこで別の悪魔と鉢合わせした。
「なんだ、貴様は。この家に何か用か」
「この家に住む少年の願いを叶えた見返りに、その魂を貰い受けにきた。貴様こそなんの用だ」
「我はこの家に住む少女の願いをその魂と引き換えに叶えたのだ。その契約がある限り、その兄である少年を害することは我が許さん!」
「なんだと、それは我の言葉だ! 我の名にかけて、一度成った契約を違えることは出来ん! 少女を傷つけさせはせんぞ!」
悪魔たちは互いに一歩も引かず、いつまでも堂々巡りを続けていた。
そして、屋根の上で延々と言い争う悪魔たちをしりめに、彼らの力で守護された兄妹は末永く幸せに暮らしたそうな。




