第4話 おかしいのはあいつだよ
登場人物
浅間天音:合法的、非合法的な手段でクズの人生を終わらせる女探偵。
影山:名字しかわからない大男。暴力が得意。
水谷真帆:デザイナー。暴行被害→集団ストーカー被害。
柊一真:全国各地に拠点を持つ大手法律事務所『リーガルス』の創設者――柊誠也の御曹司。加害者。
「あんた、おかしいよ」
この一言の話をしたい。
殴る蹴るは最悪だ。
でも、もっとタチが悪い暴力がある。
「お前の頭がおかしい」って繰り返すこと。
殴られたら痛い。蹴られたら痣ができる。
自分が被害者だって自覚できる。
でも「おかしいのはお前のほうだ」って言われ続けたらどうなる?
自分の目が信じられなくなる。
そのうち「被害なんてなかった、おかしいのは自分だ」って思い込まされる。
ガスライティング。
被害者から「被害者でいる権利」を奪う行為。
個人的に、全暴力の中で最低だと思ってる。
五月下旬。
梅雨が近い。空気がじっとりしてきて、薄着だと中途半端に汗をかく季節。
ロースンの新商品『とろろ杏仁マンゴー』。
あたし——浅間天音は事務所の椅子でこいつと格闘中だ。
最初、あたしはこれを『とろとろ杏仁マンゴー』って名前だと思ってた。
とろとろの杏仁豆腐にマンゴーソースを掛けた定番のスイーツ。
そんなイメージだった。
事務所について、開封して――気付いた。
これ、とろろが入ってる。
杏仁豆腐にマンゴーソースをかけて、さらに、長芋のすりおろしを載せたシロモノ。
とろとろではある。
ふわふわでもある。
けど、長芋の味があまりにミスマッチ。
本当にあたしはスイーツを食べてるのか、って気持ちにさせられる。
定期的にリリースされる『ロースンの狂気』シリーズ(非公式名称)だ、これ。
せめて長芋がサツマイモだったらマシだったかもしれないね。
マイナス800点。
そんなふうに採点していると、突然、ドアが開いた。
ノックなし。
でも入り方はおずおず。長いこと迷った末に勢い余って開けちゃったパターンだ。
女性。
20代後半。
頬がこけてる。
鎖骨が浮いてる。
急に痩せた体型だ。
たぶん精神的に追い詰められてる。
でも目はまだ死んでなかった。
ぎりぎりのところで何かを手放していない目。
「あの……大ノ手探偵事務所さん、ですか」
「そうだよ。入って」
彼女は椅子に浅く座って、膝の上でバッグを抱えた。
「ご依頼かな?」
「……はい。ただ、普通の依頼とは違うかもしれなくて」
少し間が空く。
「わたしが頭おかしいだけなのかもしれないんですけど……。
集団ストーカーが妄想じゃないって、確かめてほしいんです」
へえ。
なかなか面白い依頼だね。
こんなのは初めてだよ。
◇◇◇
登場人物の紹介だ。
被害者——水谷真帆、28歳。
広告代理店のデザイナー。休職中。
1年前に暴行被害。
被害届を出して、証拠も揃えて、正しい手順を全部踏んだ。
結果は不起訴。
以来、「誰かに見られている」感覚が消えない。体重は10キロ落ちた。
あの手首の細さ。
ペンタブを握る力も残ってなさそうだ。
プラス300億点。
この状態でここまで来た。それだけで300億の価値がある。
最終的な加害者も明かしておこう。
柊一真、30歳。
全国各地に拠点を持つ大手法律事務所『リーガルス』の創設者――柊誠也の御曹司。
パパの看板で守られてきた七光り坊ちゃん。
大学時代から暴力沙汰を繰り返してきたらしい。
全部パパのコネで処理してきた。
詳しくは後で話す。先にマイナス点だけつけとく。
マイナス1兆点。桁が足りないね。
◇◇◇
真帆ちゃんの話を聞いた。
曰く――
1年前。
会社の飲み会の帰り、柊一真に暴行された。
翌日に被害届。
診断書あり。
物的証拠あり。
まっとうな手順を踏んで、勇気を振り絞って声を上げた結果。
不起訴。
柊誠也。
法律の世界で権力を握る男が、息子の盾になった。
正しいことをした人間が潰された。
ここまでで十分最悪だけど、地獄の本番はここからだ。
不起訴処分のあと。
真帆ちゃんの日常が壊れ始めた。
通勤路で同じ顔を何度も見かける。
マンションの前に見知らぬ車が停まる。
深夜の無言電話。
誰もいないのに鳴るインターホン。
職場への匿名通報——「水谷真帆は虚言癖がある」。
ひとつひとつは些細に見える。
でも毎日、毎日続く。
じわじわ、確実に。
周囲に訴えても受け流されるだけ。
ひどいときは「頭おかしいんじゃない?」とまで言われた。
学生時代からの親友に相談すると――
「真帆、いろいろあったもんね……。
カウンセリング、受けてみたら?」
きっと真帆ちゃんを気遣っての言葉だったのだろう。
けど、それは孤独を加速させるだけだった。
真帆ちゃんはここで折れなかった。
体重は10キロ落ちたけど、心はまだ生きてた。
強い子だ。
探偵事務所に調査を依頼する。
3件。
すべて、翌日に「調査不可」という返答。
最後に行ったところで「大ノ手さんなら……」と言われたらしい。
オーケー、なるほどね。
このあたりの探偵事務所じゃ「調査不可」は一種の暗号だ。
――ヤバいヤツが関わってるから大ノ手に任せろ。
そういう符丁になってる。
3件目でウチを紹介するのも定番のコース。
そうやって敵の眼をくらますってわけ。
「依頼、引き受けていただけますか……?」
そう尋ねる真帆ちゃんの声は震えてた。
バッグを握る指先が白い。
あたしは真帆ちゃんの目を見た。まっすぐ。
「任せといて。最後まできっちり調べてあげる」
「ほんとう、ですか」
「もちろん。あんたの頭はおかしくない。あたしが証明してあげる」
真帆ちゃんの目から涙がこぼれた。
堪えようとして、駄目で、両手で顔を覆う。
そりゃ泣くよ。
「お前がおかしい」と言われ続けた1年間。
「おかしくない」って、たった一言を言ってもらえるまでの距離。
どれだけ長かったか。
事務所の奥で、権田の赤ペンが一度回った。
受託のサイン。
普通じゃない依頼は、うちの得意分野だ。
◇◇◇
真帆ちゃんには「依頼したけど断られた」って顔で帰ってもらう。
監視してる連中に悟らせちゃいけない。
作戦はカウンターサーベイランス。
逆監視。
真帆ちゃんに普通の生活を送ってもらう。餌だ。
あたしは距離を置いて「真帆ちゃんを見張ってるやつ」を見張る。
ただ、あたし一人じゃ網が足りない。
だからあいつを呼んだ。
前回『名簿屋』の連中を撃退するのを手伝ってくれた黒い影――
影山。
名字しかわからない男。
年齢不明。
本名不明。
経歴なし。
公的記録がこの世のどこにも存在しない。
身長190近い。
肩幅が広くて、分厚い体格。
物静かで、顔はピシッと整ってる。
日本人離れした彫りの深さ。
もしかしたらハーフかも。
ギリシャの彫刻みたい。
得意分野は暴力。
生きるか死ぬかの鉄火場ならこの男。
無人島に一人だけ連れていくなら、迷わず影山だ。
48時間。
真帆ちゃんの周囲を張った。
結果。
集団ストーカーは実在した。
いや。
ストーカーなんてチャチなもんじゃない。
3チーム。
計7名。
ローテーション監視体制。
朝の組が2名。
昼が3名。
夜間が2名。
シフトが組まれてる。
影山がそのうち1名を尾行して、待機用の車両と中継拠点のワンルームまで突き止めてくれた。
あの体格で気配を消せるのがそもそも意味わかんないけど、できるものはできる。
◇◇◇
並行してハッカーの氷室にも連絡。
「食べられる鍵。これはなに?」
「クッキー。……まあまあかな、57点」
「天音、辛口採点」
「もっと精進しな。仕事いい?」
「うん」
「柊一真、30歳。父親は柊誠也法律事務所のリーガルス。
一年前の暴行事件のカルテと警察記録、全部洗って。改ざんの痕跡があるはず」
こいつが不起訴になってから、真帆ちゃんの集団ストーカーは始まった。
たぶん関与しているはずだ。
「面白い。やる」
翌日。
「天音。掘れた」
「もう?」
「ほめて」
「ありがとね。あんたは最高のハッカーだよ」
「えへ」
今の反応は可愛らしいね。
98点。
氷室が掘り出した情報は予想を超えていた。
ひとつ。
真帆ちゃんが受診した病院のカルテデータが書き換えられてた。
傷の程度が実際より軽く改ざんされてる。上書き前のログが残ってたらしい。
消したつもりだったんだろうけど、氷室の前じゃ甘いよ。
ふたつ。
監視チームの一部が、柊誠也の法律事務所と顧問契約を結んでる調査会社の人間だった。
パパの事務所と直通パイプ。
みっつ。
柊一真についての事件記録が、警察のデータベースから消失していた。
手際が「異常にきれい」と氷室は言う。
かなり腕利きのハッカーが関わっているかも、とのこと。
まあ、見事に復元できたんだけどね。
さらに分かったことがあった。
柊一真の暴行被害者は真帆ちゃんだけじゃなかった。
過去に2名。
どちらも不起訴。
その後の流れも同じだ。
そして集団ストーカーを周囲に訴え、白い眼を向けられる。
頭がおかしいんじゃないかと言われ――心を病み、外を出歩けなくなった。
常習犯だ。
暴行して、パパに揉み消させて、集団ストーカーでトドメ。
それをパッケージにして繰り返してきた。
許せないね。
ただ、これはあくまで推理だ。
裏付けが欲しい。
だから七瀬遊真にも声をかけた。
歌舞伎町のナンバーワンホスト。顔面偏差値は暴力。
変装と話術の天才。
園田彩花ちゃんの事件でカスハラおばさんから情報を引き出す時にもお世話になった。
「七瀬、ちょっといい?」
「今度メシ奢ってくれるなら」
「吉野家でいい? それか松屋」
「つれないなあ。ま、いいけど」
最終的になか卯になった。
飲むスイーツシリーズの新作、タピオカ宇治抹茶ラテが気になったからだ。
それはさておき――
七瀬には変装して柊の行きつけのバーに潜入してもらった。
仲間と飲んでる柊の席の近くに陣取って、会話を拾う。
録れた音声がこれ。
「遊びだったんだよ。あの子がそう受け取らなかっただけ。不起訴は不起訴だ。もう終わった話だろ? ――それよりこれ、見てくれよ。めっちゃビビってんの。笑えね?」
柊は仲間たちにスマートフォンを見せる。
そこに映っていたのは、集団ストーカーに怯える真帆ちゃんの姿だった。
最悪。
発言が秒で矛盾してる。
終わった話とか言いながら、真帆ちゃんを追い詰めて遊んでる。
完全に逆恨み。
根に持ちまくってるじゃん。
被害者が壊れていくのを見て笑ってるクズ。
採点不可。
時代が時代なら、銃を持って乗り込んでたところだよ。
◇◇◇
手札がかなり集まって来た。
48時間分の監視記録。3チーム7名の実態。
カルテ改ざんのログ。
警察記録の不審な消失。
監視チームと柊の法律事務所を結ぶ線。
過去の被害者2名の存在。
柊一真本人の音声。
でも、もうひと押し欲しい。
柊本人が集団ストーカーを指示していると示せる、決定的な物証。
マトモにやってても手に入らないだろうね。
だからあたしは仕掛けた。
昼間の駅前。
人通りの多い場所で、真帆ちゃんと堂々と接触した。
監視チームに見せつけるように。
――そのあとの展開は狙い通りだった。
翌日の夜。
真帆ちゃんの仮住まいの周辺に、監視チームとは別の人間が集まり始めた。
10名。
威嚇と排除が目的の実行部隊。
暗い路地裏。
あたしと影山。
2人だけ。
最強のコンビ。
先に動いたのは影山だった。
先頭の男に向かって低く踏み込む。
あの大きな体が嘘みたいに沈んで、相手の懐に潜り込んだ。
顎への一撃。
男が後ろに吹っ飛んで、後ろの2人を巻き込んで倒れた。
3秒で3人。
残り7人が囲もうとする。
あたしは右から来たやつの膝にヒールを叩き込んだ。
体勢が崩れたところにバッグを振り上げてこめかみへ。
もちろんバッグは鉄板入りだよ。
強烈な一撃。
脳震盪の手応え。
相手は横に崩れ落ちた。
あたしが1人片付ける間に、影山はもう3人沈めてた。
音がしないんだよ、この男。
振り向くたびに地面に転がってる人間が増えてる。
残り3人。
逃げようとしたけど遅い。
影山が1人の襟を掴んで壁に叩きつける。
2人目は走りかけたところを追いつかれて、両肩を外された。
絶叫が響く。
最後の1人はあたしが処理。
振り向きざまにヒールの踵を鳩尾にめり込ませて終了。
10対2。所要時間、1分かかってない。
片付いた。
と、思った瞬間。
背後の物陰から気配。
もう1人。
あたしの背中めがけて飛び出してくる。
反応が遅れた。
でも、影山のほうが速かった。
あたしの横をすり抜けて、飛び出した男の腕を掴む。
そのまま地面に叩きつけた。
重い音。
男は動かなくなった。
「さんきゅ」
「無事ならいい」
おっ、今日最初の発言いただきました。
相変わらず渋い声だ。
さて。
倒れた連中のポケットを探る。
スマートフォンにはロックが掛かっていた。
あたしはポケットからボールペン型の装置を取り出す。
これは何かって?
企業秘密。
簡単に説明すると、電子ロックの解除装置だね。
……ビンゴ。
連中のスマートフォンには柊一真とのやりとりが残っていた。
集団ストーカーの指示、報告。
今回の襲撃についても文字で残ってる。
甘いねえ。
こういうのは声か、紙でやりとりするもんだよ。
ほどなくして真帆ちゃんがやって来た。
戦いが終わってすぐにLINEで呼んでおいた。
ここまでに得た情報を手短に伝える。
「真帆ちゃん。あんたの依頼は『妄想じゃないことの確認』だったね」
「……はい」
「確認できたよ。集団ストーカーは確かに存在した。
これにて依頼完了ってことにしてもいいけど、今なら追加サービスもあるよ」
あたしは右手の人差し指を立てる。
「1番。
転がってる連中と、集めた証拠。
こいつを使って柊と取引する。あんたへの集団ストーカーを辞めろ、ってね」
「……2番はなんですか」
「やるなら徹底的に、だね。
柊の人生を終わらせる。
二度と表に出てこれないところまで追い込む。
どっちがいい?」
真帆ちゃんは一瞬も迷わなかった。
「2番でお願いします。
あの男に死んだ方がマシだって思わせてください。
――わたしは、わたしの仇を取りたいんです」
声は静かだった。
でも、あの細い体の奥でとんでもない熱量の怒りが燃えてるのが見えた。
1年間。
否定されて、疑われて、「おかしいのはお前だ」と言われ続けて。
それでも折れなかった人の怒り。
「了解。全力で潰す」
◇◇◇
まずは110番通報。
パトカーから出てきたのはおなじみのイケメン。
轟慎吾だった。
「浅間さん! 今回もすごい——」
「今忙しい」
「はい……」
しょげる大型犬にかまってる暇はない。
排除要員11名は暴行未遂の現行犯逮捕。
こっちは正当防衛ってことで。
さあ、ここから忙しくなるよ。
手札を片っ端から切っていく。
警察、知り合いの大河原弁護士、あとは表に出せない色々なコネ――。
思いつく限りすべてのルートで柊一真の悪行をぶちまける。
ああ、そうそう。
過去の被害者2人ともコンタクトを取って、新たな告訴状を出してもらった。
かくして――
柊一真。
脅迫罪、ストーカー規制法違反などなどで逮捕。
余罪もたっぷり。
警察が来た時に「親父を呼べ!」と叫んだらしいけど、呼ばれて出てきたパパもそのまま逮捕された。
なにせ息子と一緒になって違法行為をしてたからね。
当然だ。
過去の暴行についても再捜査のメスが入るらしい。
さらに――
登録者数180万人、日本だけでなく海外でも人気のニュース解説系心理学者Vtuberの『Ren』がたまたまこの件を取り上げた。
『集団ストーカーって、だいだいは妄想なんです。
心療内科で診てもらったほうがいい。
……って昨日までは言えました。
けーれーど、名門法律事務所の御曹司くんがやらかしちゃったんですよ。
おかげで事情が変わっちゃったんですよねー』
柊一真の所業は日本中が知るところになった。
彼はもちろん父親の柊誠也、そして弁護士事務所『リーガルス』にも批判が殺到した。
話はさらに広がる。
今回の事件はインターネットを通じて世界中に広がり、海外の弁護士団体や人権団体が声明を発表。
ここまで来ると日本の弁護士業界も動かざるをえない。
柊誠也に懲戒請求が入った。
法律事務所ごと終わりだね。
Xじゃ『イリーガルスw』なんて揶揄られてる。
「遊びだったんだよ。もう終わった話だろ?」
柊一真はそう言った。
不起訴も遊び。
集団ストーカーも遊び。
人をぶっ壊すのも全部遊び。
じゃあ教えてあげるよ。
遊びにはルールがある。
負けたら退場。
あんたの番だ。
さよなら。
本当に終わるのはあんたの方だったね。
ただ――
柊一真がこれまでに起こした暴力事件。
警察のデータベースから記録が消失していたこと、覚えてる?
天才ハッカーの氷室が「異常に綺麗」なんて珍しい褒め言葉を使ってたやつ。
あれをやったのは誰なんだろうね?
ちょっと調べたけど、今回、逮捕された連中にそれっぽいヤツはいなかった。
もしかしたら背後にはまだまだ闇があるのかもしれないね。
◇◇◇
事件解決から少し経ったある日のこと。
あたしがロースンのスイーツコーナーを眺めていると、声を掛けられた。
「浅間さん!」
真帆ちゃんだった。
こけていた頬が元通りになっていた
目にも光が戻ってる。
隣には同年代の女性がひとり。
「真帆がお世話になりました。本当にありがとうございます」
聞けばこの人、真帆ちゃんから集団ストーカーの相談を受けて「カウンセリングに行きなよ」と言った本人らしい。
今は何度も謝って仲直りしたとのこと。
いい友達じゃん。
間違えたけど、ちゃんと謝れる人だ。
プラス500点。
「浅間さん、それ買うんですか?」
あたしの手にはロースンの『超・強火焼きプリン』。
パッケージには「徹底的に焼きました!」の文字が踊ってる。
「それ、焼きすぎて炭の味しますよ」
「そうなんです、苦いだけで」
2人揃って止めてくる。
「買う。自分の舌で確かめないと気が済まないんでね」
「えー」
「じゃあ感想教えてくださいね!」
LINE交換。
真帆ちゃんと友達が、笑いながら去っていく。
仲良さそうだ。
あたしは店を出て、さっそく『超・強火焼きプリン』を開封した。
ひとくち。
…………。
炭じゃん。
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