最終話【闇の魔人】
しかし、黒い巨体の魔王には、シールドがあり、闇の力は通用しなかった。
魔人ムシンは必死に日本刀を振るうが、
シールドを破る事すらかなわない、
次第に押され始め…、
バキィイン!!
魔王の放った威圧感だけで吹っ飛び、海に落ちた。気絶、死それが人々の脳裏をよぎった。
「魔人ムシンさんのエネルギー、海中に消えました、生命反応有りません!!」
暗い暗い海の底へ沈んでゆく、
しかし気絶した魔人ムシンは夢を見た。
何もない森の中に、妙に緑が鮮やかな、人がいた。
「誰?」
「誰でもないよ、夢のエネルギーが人間の体を成しているだけ…、でもその意味では、僕はかつての君さ…」
「皆を守りたいんだ」
金髪の魔人ムシンは言った。
彼は言う。
「出来るさ、君は【魔人ムシン】なんだから」
そこで夢は終わった。
海底に闇が収縮し、凝固した。
長い黒髪に、黒い瞳、日本人の十八歳程の青年が日本刀を構えていた。
黒い巨体の魔王は本気の斬撃を剣で放った。
ズガッ!!ドス!
その一撃を右腕と日本刀だけで受け止めた。
魔人ムシンが立っていた。
魔王は動物だ、だが魔王の脳裏には奇妙な光景が見える、「お前、お前は誰だ」
魔王が言った気がした。
ズバッ!!ガン!!
雷鳴が轟き稲妻が光る、魔王は海から飛び出し、魔人ムシンすら海から上がってきた。
ガキイン!!
激しい攻防の最中誰かが言った。
「駄目だ、力不足だ、力そのもので魔人ムシンは魔王より劣っている」
(勝てるさ、俺は魔人ムシンなんだから)
一太刀一太刀が魔王を凌いでゆく、筋力が勝っている、魔王を凌駕してゆく、
ズバッ!
一瞬の閃きが魔王を両断した。
【闇の魔人】は力尽き、海に落ちた。
暗い海に沈む、しかし、誰かがその腕を掴んだ。
その時、闇の魔人は金髪の少年に戻っていた。
【おしまい】




