お姉様の代わりにピンクブロンドの男爵令嬢を噴水に落とそうと奮闘する妹の話
「リディア様!私はボラック伯爵家のサラです!お姉様フランの仇を討ちますわ。尋常に勝負をお願いします」
にっくきあのピンクブロンドの女は噴水の近くにいた。
「ヒャーハハハハ、無駄じゃーない?せいぜい頑張るじゃーない!」
リディア様はヒラヒラ回りながら挑発するわ。
周りには大勢の学園生が集まる。
その中にお姉様の学友、侯爵令嬢メドゥサ様と学友達が集まっていたわ。
「サラ、頑張りなさい。姉の仇を討って忠心を示しなさい。そしたらフラン様、またサロンに来てもいいわ」
「はい、メドゥサ様」
「いざ、参る!」
ここ数ヶ月、カゲのように走ったが、簡単にかわされた。
「ダメじゃーない?」
なら、
「諸手押し!」
「技名を言ったらダメじゃーない?」
クルリとターンをしてかわされた。
しかし、甘い。二の矢がある。
「からの~、体当たり!」
背中を思いっきりぶつけようとした。
これは足をかけられて躱されたわ。私はバランスを崩し膝が地面についてしまった。
体当たりは不発に終わった。
「ダメじゃーない?噴水落としはターゲットだけを落とすじゃーない?自爆覚悟の体当たりは邪道じゃーない?」
読まれていた。自爆覚悟の体当たり。私もリディア様と噴水に落ちるつもりだったが、足をかけられて不発に終わったせいで噴水に落ちなくて済んだ。
挑戦者を慮る余裕・・・許せない。私を対等の敵とみていないわ。
「ア~ハハハハハハ、ちょろいじゃーない?」
それでも邪知暴虐のピンク頭を噴水に落とさなければならない。
お姉様はメドゥサ様の派閥だった。
☆☆☆回想
「フラン様、最近、あのピンクの男爵令嬢は趣深いですわね・・・」
「メドゥサ様」
趣深い。令嬢言葉では良い意味では使われない。普通と違う。リディア様は普通の男爵令嬢よりはスペックが上だった。
異例の事だ。成績が良く・・・メドゥサ様よりも良い。
王子殿下の婚約者は決まっていない。最近、男爵令嬢が書記になった。
財力が成績の良さに反映される。高位貴族は優秀な家庭教師を雇えるからだ。
だから男爵令嬢が成績三位は異例中の異例だ。
「フラン様、リディア様、運動神経が良いと評判ですわ。噴水に落ちたら楽しく泳ぐかしら。クス」
「・・・はい、メドゥサ様」
令嬢の派閥社会は過酷だ。同調圧力を使い自分からやるように仕向ける。
これは命令だわ。
お姉様はリディア様を噴水に落とせと命が下った。
リディア様はいつも噴水の近くでスキップなんかをしている。
お姉様は・・・リディア様を押そうとした。
しかし、かわされた。リディア様は脳天気にスキップをしていたが、いきなりジャンプをしたのだ。
「ルン♩ルン♩スキップ♩スキップランランラン♩・・・そこからジャンプじゃない」
「キャア!」
お姉様が・・・
バチャン!
噴水に落ちてしまった。
「あら、ガザク侯爵家のメドゥサ様のご学友ボラック伯爵令嬢サラ様じゃない?大丈夫じゃない?」
「ヒィ、違いますわ。いえ、違くないけど・・」
これにはメドゥサ様は大激怒、大勢の学生の前で侯爵の家名がバレた。失態を宣伝されたにも等しいと大激怒だ。
「フラン様!サロンは狭くなりますから来なくていいですわ」
「そ、そんな」
お姉様は学園で独り、ぼっち飯・・・・
私が何とかする。
あのにっくきピンク女を噴水に落とすと決めた。
私は14歳、まだ学園に入学前だが、メドゥサ様に面会した。
「そう・・・もし、妹様がリディア様を泳がしたら、サロンに戻って来てもいいわ」
「有難うございます」
あの女を観察した。恐ろしい事が分かった。あれは武術の達人だ。
「ルン♩ルン♩」
と無邪気に歩いているが、人混みの中をかき分けるように歩く。
そしてリディア様は・・・
「大変だ!暴れ馬だ!」
「逃げろ!」
「キャアー!」
暴れ馬にも飛び乗る。
「ダメじゃなーい。立場悪くするじゃなーい。ドウドウじゃなーい!」
「ヒヒヒー—―ン!」
「蹄鉄が悪かったじゃない?これは馬の気性に関係ないじゃなーい」
とかやっている。
生徒会長の成績学年一番の王子殿下とも親しい。
「・・・リディアよ。無理はするな」
「パンツ見てたじゃーない?」
「違うぞ!」
そして、王子の従姉妹、学年二番にして副生徒会長のエリザベート様とも仲が良い。
「リディア様、令嬢が言うことではありませんわ」
「だって、馬可愛いじゃない?助けたくなるじゃーない」
「パンツのことですわ!」
噴水に落とせる気がしない。
あら、リディア様、路地に入ったわ。
追いかけなきゃと思ったら。
尾行は気づかれていた。
路地に入ったら、正面を向いていた。
「何、つけているじゃーない?学園の子じゃないじゃーない?」
「はあ、はあ、ポリック伯爵家のサラ、姉の仇を討ちますわ!」
飛びかかったが・・・
「三角飛びじゃーない?」
リディア様は飛び上がり。側面の壁を蹴り反対側の壁も蹴り。私の頭上を抜けたわ。
「ダメダメじゃーない?いつでもかかってくるじゃーない?」
それから私は走り込み。レスリングなどを習ったわ。
冒険者ギルドに依頼し、武術家のジョブを持つ冒険者に教師を依頼した。
そして、挑戦をした。
「キャハハハハハ~、正面から来て、ダメダメじゃーない?噴水落としは奇襲じゃーない?」
かわされ、かわされ続けて何百回、触ることすら出来ないわ。
そんなとき、公爵令嬢のエリザベート様が励ましてくれた。
何故、リディア様とは仲が良いと思ったのに。
「サラ様、リディア様を見なさい。薄らと汗をかいていますわ」
「ほ、本当ですわ」
「キャハハハハハ~、余裕じゃーないですか?余裕の良い子ちゃんじゃーないですか?水が欲しーじゃないですか?」
本当だわ。少し上達したようだ。
「サラ様、リディア様の弱点は、舐めプですわ。勝利の舐めプの時が弱点ですわ。
彼女、上を向いて笑いますわ」
「はい・・有難うございます」
エリザベート様も、メドゥサ様のように本当は腹黒いのかしら。
本当はリディア様と仲が悪くて足の引っ張り合いをしているのかしら・・・
・・・・・・・・・・・・・
大技を繰り出した。前転してからの諸手押し。
しかし、これもかわされたわ。
「余裕じゃーない?余裕の良い子ちゃんじゃーない?よっと」
リディア様は噴水の縁に飛び乗った。
そして、つま先で立ち。ヒラヒラと回った。
これは何回も見た。ここで押してもかわされるわ。
刻を待つ。
「リディア余裕じゃーないですか?噴水に落ちない男爵令嬢じゃーないですか?」
来るか?舐めプ。
【ア~ハハハハハハ~、リディアこそ天上天下唯我独尊じゃーないですかぁ?】
来た!上を向いて高笑いを始めたわ。
私は、押した。体にほんの少し触れたわ。
「エイ!リディア様お覚悟!」
すると。
「キャアアア—――――」
と叫びながら10秒くらいクルクル回って。
「おっと、おっとっと~落ちるじゃーないですか?」
と言いながら、
バシャン!
と噴水に落ちた。
「キャア、キャア、ヒドいじゃーないですか?ボラック伯爵令嬢フラン様の妹サラ様に噴水落とされたじゃーないですか?グスン、グスン」
噴水の中で尻餅をつき泣き出したわ。
やった。これで面目が立つわ。
パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!
えっ、気がついたら大勢の学園生が集まっていた。
「いいぞ。さすが不屈のポラック伯爵家」
「まあ、良くも運動お化けのリディア様に触れたわね」
「うむ。学んだ。不屈の精神があれば何でも出来ると・・」
「さあ、勝ち名乗りをあげなさい」
エリザベート様が私の手を取ったわ。
その時、メドゥサ様が間に入ったわ。
「待ちなさい。リディア様を噴水に落とすように命じたのは私よ。この歓声は本来、ガザク侯爵令嬢このメドゥサが受けるべきですわ」
「メドゥサ様・・それは」
「うん。ダメだ。うん。ダメだ」
「アルバルト殿下・・これは」
「だから、普通に噴水落としは落とす方が悪いに決まっているだろう!女騎士たちよ。連行せよ」
「「はい」」
王子殿下が仲裁してくれたわ。
私は道具に過ぎないと注意程度になった。
学園長から。
「噴水落としはダメだぞ?絶対やるな。分かったか?」
「はい・・分かりました」
「ならよし」
この程度で済み。
リディア様のドレス代などはメドゥサ様が払ったようだ。
メドゥサ様の派閥は勢いが消えたわ。
これはエリザベート様の策略なのかしら。
それは分からないが、エリザベート様とリディア様は相変わらずに仲が良い。
「フフフフ、リディア様、見事な負けっぷり泣きっぷりだったわ」
「フン!あのとき、家名を言ったのはやり過ぎだったじゃーないですか?」
「さあ、フラン様、このサロンは誰でも入っても良いのよ」
「はい、エリザベート様・・・」
「少しずつ慣れればいいわ」
お姉様は派閥を変えた。
これで良かったのかもしれない。
あの勝負リディア様はわざと負けてくれたかは分からない。
学園に入学したら自分で聞いて見ようと思う。
最後までお読み頂き有難うございました。




