続・守の短編 魔法少女マジカル・リタ 誕生の秘密!
この作品は、
守の短編 社会人魔法少女の休日
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の続編に当たります。
単体でも読める様に書いたつもりですが、余裕が有るならば前作も見てもらえると幸いです。
また内容には、エグめの闇を匂わせる部分が存在します。
閲覧にはご留意ください。
──私、はっ…! 絶対に、悪い奴…なん、かに、負けないっ…!!
「──ん…。」
朝。微睡みの中で目を開ける。
ひどく懐かしい夢を見た。
魔法少女の始まり、その記憶。
「スクル──?」
傍らに居るであろう夢魔野郎の名を呼ぶ。
私のストーカーにして相棒、そして熱烈なファンと言う頭のおかしい存在が、寝ている時に干渉してきたに違いない。
そう思って声を掛けたのだが。
「にゃあ~…。」
掛け布団の中、小さな温もりからの返答が有った。
「そう、あなたなの。」
「にゃあ…。」ごめんなさい…
「別に怒ってないわ。」うりうり…
「にゃあ~…♪」ごろごろごろ…
ベッドに潜り込んでいた「青い毛並みの子猫」の額を指の背で優しく撫でてやると、気持ち良さそうな鳴き声を出した。
どうやらこの子が私の夢に干渉してきたらしい。
ああ、そうか。この子がここに居ると言うことは…。
うん。今日は日曜日。そして、素芦子さんの修羅場だ。
昨日の悪魔戦の疲れが多少残っているが、精神的な疲労は夢のおかげかほとんど抜けている。ここは応援に行くしかないな。
体をゆっくり起こし、魔法を使ってパジャマから部屋着に変身しながら子猫に声を掛ける。
「今から料理をするわ。悪いけれどテレビでも見て大人しくしていてくれる?」
「にゃあー。」『マジカルリタ』見たいー…!
「やっぱりそれなのね。」はあ…
良い作品なのかもしれないけど、アレのどこがそんなに気に入ったんだか…。
まあ、いいや…。
──────────
愛用のママチャリに乗って、某所の一軒家にたどり着く。
ここはとある漫画家の製作スタジオ兼自宅である。
インターホンは鳴らさずに門を潜り、自転車を中へ。周りから見られていないことを確認して魔法で亜空間内に収納、代わりに作ってきた5人分のお弁当を取り出す。
きっと私が来たことは奴が感知しているだろう。そう考えているうちに、家の扉がガチャッと開いて中から痩身の男性が顔を出す。
「ありがてぇありがてぇ…。」手を合わせ…
「こんにちは、拝田さん。」
「もうマジ尊い…。」合掌すりすり…
私の顔を見るなり泣き出さんばかりに拝むこの人は、漫画アシスタントの1人だ。会話が成立しないのはいつものことなのでスルーである。
彼に半分持ってもらい、家の中へと入っていく。
「──いやいや、そこはもっと精神的に追い詰めてですね、クラスの男子を人質にとって脅すとか──!」ペンタブ、タンタンタンッ…
「いーや! 電撃と触手! これしか認めん!!」Gペン、カリカリカリッ!!
「──今度のライバル少女ちゃんの魅力は──!」
「──魔法少女ピンチこそ至高の展開っ──!!」
作業部屋へと入ると頭の悪い会話が聞こえてきた。
邪悪なことを宣っているのは銀髪紫眼で童顔悪魔のスクル。と、もう1人のアシスタントの過激波さん。
なんで魔界出身の悪魔が漫画製作をしてんだとか、その悪魔よりも悪魔的な発言してるあなたは本当に人間かとか、色々と思うことは有るがスルーである。(2回目)
「うんうん。良いわね~。なら両方とも採用して一気に追い詰めちゃいましょうか~。」
「こんにちは。」
「ああ…! 理多ちゃん、いらっしゃいっ…!!」
「相変わらずヤバそうですね、素芦子さん。」
この人は、漫画家ノンビリガメ先生こと、臼田素芦子さん。「魔法少女マジカルリタ」を長年、何故か少年誌で連載し続けている変人さんだ。
私が小さい頃に近所に住んでいて、大変にお世話になった人である。
そして、私が魔法少女なんてものになったある意味での元凶であり、その私をモデルにした漫画を描くと言う悪鬼の所業を続ける剛の者。もう色んな意味で無我の境地である。
「おはよー、リタちゃん。」手をひらひら~…
もう昼前よ。朗らかな笑顔で魔法少女を苦しめる計画を吐くな。
「それはそれとしてウスダ会長! 両方採用するとこの少女が完全に壊れると思うんですが!」看過できない…!
「魔法少女は壊れてなんぼ!」過激派発言!
「ふっ…、それならそこまでのキャラだったと言うことよ…!」
「見える…。死の淵、覚醒、瞳に正義の炎…。」尊い…
あなた達は悪魔王か何かか?
「試練を乗り越えてこその、愛と勇気の魔法少女よ…!」さあ、原作者の想像を超えなさい…!!
「会長、魔王よりも魔王してますね…。」『母上』に少しだけ似てる…
パンパンッ!
「皆さん。まずはちゃんとご飯食べてください。」だいぶキテる…
「そうね…、
皆~、本物の魔法少女からの差し入れよー!!」
「「「うおおおおお!!」」」
はあ、面倒臭い人達…。これが漫画文化の最前線の担い手とか大丈夫なの…。
「リタちゃん、この出汁巻き玉子、美味しーね。」僕への愛が詰まってるよ…
詰まってるのは市販の旨味調味料と卵だけど?
「手間暇を掛けてくれた時間が最高のスパイスなんだよ…。」塩っ気が染みる~…!
魔法で時短した適当料理だって知ってるでしょ。鶏モモ肉の塩焼き、良い感じだと確かに思うけど。
「僕らの為に魔力を込めてくれたことが嬉しいんだよ。」もぐもぐもぐ…
まあ、昨日の虫悪魔との戦闘ではスクルに助けてもらったしね。別にいいけど。
「あれは流石にヤバかったからね…、って思念読み取りじゃなくて直接喋ろうよ…。あと食事時にゴ◯ブリ悪魔のこと思い出させないで…。」
到着早々、あの戦闘よりも疲れる会話をしてくれた罰よ。
「えー、それはウスダ会長達が…、まあ、いいや。」
「うふふ、相変わらず仲良いわね~。」
「そうですか~?」にへ~…
「目、腐ってますよ素芦子さん。」
「救留君と理多くん、ベストコンビ…。」
「乳繰りバカップルはラ◯ホ行け!」
「ほら~2人もこう言ってるわよ? あと今悪魔君が抜けると困るからホテルは夜にしてね~。」
「はいっ!!」今夜は寝かさないっ…!
「行かないけど。」明日仕事…
「さ、って! 午後もお仕事頑張りましょうか~。
その前に理多ちゃん、いつものお願いね~♪」
「分かりました…。」
「ひゅーひゅー!!」良いよリタちゃんー!
お弁当を食べ終わったところで素芦子さんから声が掛かった。
これも私の為ではあるのだけど…。毎度毎度釈然としないな…。
考えるのも面倒だからとっとと終わらせるだけだが。
「──おいで、『ヒカリちゃん』。」
「にゃあー♪」バシャッ…
私の呼び掛けに合わせて、私の影が水面の様に波打ち、潜んでいた青色子猫姿のヒカリさんが颯爽と飛び出してくる。その見た目だけは完全にマスコットキャラ。
ヒカリさんが肩に乗ったところでゆっくりとその場で回転。魔法の呪文を唱える。
「──変身…。」
黄色布に紫紋様の入ったいつもの魔法少女服を展開する。男どもの視線が気になるので相当短めの変わり身。
しかし素芦子さん含めて皆ガン見。
「にゃあー!」マジカルリタの御成り~!
「最高…。」さめざめ…
「魔法少女しか勝たん…!」拳を突き上げ…
「きゃあー!可愛いー!!」いいわぁ!
「今日は0.5秒も…!」ゴチです…!
はあ…、もう会社員なのになんでこんなことしてるんだろ…。
「説明しよう! 魔法少女リタちゃんは『怠惰の魔王』の力をその身に宿し、あらゆる物体を操作して戦う正義の女の子ッ!!
悪魔に特効威力の太陽光を収束強化しての熱線攻撃や、空間操作でアイテム展開、細胞内の生理反応を支配しての肉体再生を得意とする万能魔法少女!!
その力の源は他者からの思念力! 『マジカルリタ』への信仰にも似た少年少女と大きなお友達からの魔法少女愛を集積して魔力変換しているのだ! 他力本願! つまりは『元◯玉』理論っ!」
「にゃ!」リタお姉ちゃんすごーい…!
あなたを木っ端微塵にしてあげましょうか? 有名作品の必殺技を最低な引用に使うな。
「その為にこちらにおわす、マジカルリタファンクラブ・ナンバー1の名誉会長にして、漫画『魔法少女マジカルリタ』原作者のウスダ先生は! 日夜布教活動に勤しんでいるのであるっ!! まさに創造神ッ!!」
「もう、私はただの一創作家よ~。」
「今やアニメ化されニホン全国に名を轟かせてるじゃないですか!」日曜朝に燦然と輝く金字塔…!
ウザい説明台詞をどうも。よくそんなペラペラ喋れるよね。日本人どころか地球人でもないくせに。
「お褒めに与り恐悦至極っ!!」
「褒めてない。」思わずツッコミ…
あー、スクルがいつもの数倍ウザい。
漫画原稿の締め切り間近でのハイテンション、昨日の戦闘の疲れ、今朝のアニメの興奮辺りが原因なのだろうけど。
「いやでも今日のアニメ『リタ』も最高だったんだよ? ライバルちゃんとの確執と和解がね…。」しみじみ…
「スタッフさん達も頑張ってくれてるわよね~。」作者冥利…
「あれに負けてられない…。」原作に携わる者として…
「声と動きが付いたやつに勝つには、過激展開するしかねぇ!」少年どもの性癖を歪ませたる!
ああ、それで皆変態になってたんだ。
「そうだ、理多ちゃん? 何かアイデアのヒントをくれないかしら。次の展開に繋げる部分がどうしても弱くてぇ~…。お願い。」
「勘弁してくださいよ…。」
「一生のお願い。」
「何回使う気ですかそれ。」もう10回は聞いた…
「何度でも!」不死鳥の如く人生をやり直す…!
悪魔か?
「にゃーにゃー!」魔法少女はねー!『しょしかんてつ』が重要なんだよー!
「あら、どうしたのヒカリちゃん?」
「ふむふむ。先生、ヒカリはこう言ってます。魔法少女の始まり、その誕生秘話にこそ未来への鍵が有ると!」
「なるほど! 温故知新ね!」
「ここにはリタと先生が居ますし、2人の記憶を夢として抽出、僕の『VR機器』(と言う体の催眠魔法)で皆さんの脳内にお届けしましょう!」現実には数十秒の奇跡体験っ…!
「お願いするわ!」
「嫌だけど?」
「では、ヒカリ。2人の夢を引き出して~。」
「にゃーっ!♪」りょーかいご主人様~!
「ねぇ、一般人には害悪な情報侵食──?」
「それでは、魔法少女の素晴ら英雄譚! はじまりはじまり~!」問答無用の指パッチン☆
──────────
私の名前は相田理多。9歳、小学4年生。
父は居ない。母は仕事で忙しい。いつも家で1人ぼっち。良い子の私はきちんとお留守番。でも、やっぱりモヤモヤと暗く気持ちが沈むことが有る。
そんな時は、同じマンションに住む漫画家見習い、すろ子お姉さんの所へ行く。
私を時々はぁはぁしながらヤバい目で見つめてくる変な人だけど、面白いことをいっぱい知ってる大人の人。おかげで学校の教科書を読むのが楽しくなった。
今日はこの前読んだ「りょーし論」の続きが見たい。そしたら私の肩を殴ってきた男子の顔を、頭の中から追い出せる。
ピン… ポォ~~ン…
「あれ…?」
何か、チャイムの音が気持ち悪い。いつもみたいに家から持ってきた傘の柄で押したけど、力加減を間違えたかな…?
それにこの時間は部屋に居るはずのお姉さんがいつまで経っても出てこない。
部屋を間違てもない。2回、確認した。でも何かおかしい。
ドアの取っ手に手を掛ける。
ガ、チャ…
女の一人暮らしだから施錠はしてるはずの扉は簡単に開いた。その向こうには先の見えない闇。
母が見てた刑事ドラマのシーンが頭を過る。
「お姉さんっ!」ダッ…!
玄関に入る。
「うっ…あ…、」
その途端に頭がボーッとしてふわふわになる。後ろで扉がバタンと閉まり、暗くなる室内。
ボトリと傘をその場に落とし、靴のまま私は廊下を奥へと進む。
「………ぁ~~~………。」
すろ子お姉さんは、居た。リビングのテーブルに突っ伏して呻いている。その目の前には太く長いロープと包丁が置いてあった。
「お、ね…、さ…、」
「ぁ~~~………。」
ピクリとも動かなかったお姉さんが、目だけを動かし私を見た。
その目は、昏かった。父と離婚した時の母よりもなお濃く、ドロドロとした黒色を湛えていた。
その黒色が私の中にグチャグチャと入って来て、頭の中を占領する。『この存在を死なせてあげるべき』だと。『それができるのは今ここに居る私だけ』なのだと。
「あ、ぐ、…あ…、」
包丁を、手に取る。ゆっくりと振り上げる。お姉さんは微動だにしない。
手首じゃなくていい、首か目。傷害罪。そこを狙えば子どもでもこの。暴力。生命体を終わら。非道。せること。苦痛。ができ。嫌悪。る。
「い、や…、だ…っ…!」
私は必死に体の中の黒色に抵抗した。
人を殺しちゃいけない、とかそんなのは理解できない。
でも、暴力なんか大っ嫌い。それは父が母にやっていたこと。あんな父親と同じになるのは死んでも生まれ変わっても御免だ…!
ダンッと包丁を天板に打ち下ろす。しかし私の手は包丁から離れようとしない。ならこのままテーブルに押さえ続けてやる…!
『なに、あなたぁ~…、なんで操作、弾くのぉ…。』
お姉さんの体から黒い影が立ち昇る。真っ黒い海坊主みたいな奴だった。
小さな2つの金の月みたいな丸が、私を「視る」。
『キレイな生命力ぃ…。欲望まみれの元気ぃ…。この娘よりも棲み心地、良さそうぉ…。』ズズズ…!
「うっあ──」
ウミボウズが私に覆い被さってきた。
そのまま、眼に、耳に、鼻に、口に、皮膚に。塗りたくる様に身体の中に侵入してくる。
「──………~~っ…──、──………──! っ~~!」
がくがくと身体が凍って粉砕。
熱いマグマが融け出してコポリと破裂。
サボテンの針が宇宙まで伸びてネジ曲がる。
落ちてきた雷が心臓を貫いて渦を巻く。
流星はふわふわと紫色に揺蕩って、ミトコンドリアがうねうねと全身を突き破る。
喉が裂けるほど絶叫して、力無く横たわって、そのどれでもなくて、現実にはただ暗い部屋で黒く座っているだけで。私はただただ化け物に変貌していって。
宇宙が私で悪魔に食べられて天使に昇華して気持ち良くて車酔いしてぐるグルがじガジきらキラふわフワぎぼギボ──
「ふぐ…、ふげっ…、ぐひっ…、はぁっ──、あ──! ひぃ…、」
『すごぉいぃ………。まだ人格を保ってるぅ………、昔の「聖人」みたいぃ………。』
「う、うる、さっ…! ひゃ、ぐ…っ ~~~!っ!! お?ごっ?」
段々と、慣れてっきた。こ、私は、ただ、ただだだだ卑怯者だだだ。は、働たららかずにお酒飲んで、でで、寝るか怒るかしてるるけけけけ。自分はもっと気楽して生きて死んで楽しいことゆるしたたたいだけなのにににに。めめめ面倒臭いいいいいいい。
ああああウザああったあい──!!
「──わ、わた、私はっ…! 絶対に、悪い奴…なん、かに、負けないっ…!!」
『…、あ~、良いわぁ~…。これなら私の「終の棲み家」になるぅ…。「魔王」の称号を捨てられるぅ~…。』グチュヌッチュ…
な、なな、何なににに言いってててて──?
『私の「力」を全て譲るわぁ~、その代わり貴女の存在に同化するわねぇ~。これは、対等な契約ぅ~……。
んじゃ、永劫睡眠~……。』
「ぁ──────」
『────ありがとう。』
そこで私の意識は真っ黒に途絶えた。
その後のことは色々と曖昧だ。
私達はお姉さんの仕事仲間さんに発見され病院へ。意識不明の重体だったが、当然病気でもなく、クスリやガスの類い等の原因は判明せず。
自覚のないままそれらの情報を取得した「私」は、関係者達の意識を適度に操作し、事件自体を穏便に済ませゆっくりと心身を再構築していった。
魔界の悪魔どもの力に抗い、その力を自身のものとした守護者。それが思春期前の女の子だったら「魔法少女」と呼ばれる。
目を覚ました後、私は、「怠惰の魔力」を自らの意思の下で行使し、悪魔達と戦い続ける人類の守り手として非日常に身を置くことにした──
──────────
──パッチン☆
「いやぁ…。改めて、観ても。凄いなぁ…。」
スクルが感嘆の声を漏らす。
怠惰の元魔王が既に入っている私の魂に、色欲の邪悪魔力をぶち込みやがった悪魔が何を言っているんだか。
「本当に、あの時はありがとうね。理多ちゃん…。あなたが居なければ私は今ここには居なかった…。」
「素芦子さんも充分凄かったですよ。あんな悪魔に取り憑かれてそれでも存在否定を踏み留まってたんですから。」
「ええ、そうですよ。きっともう少し若く希望に溢れていたら魔法少女になってたでしょうね。」うんうん…
「やだ、こんなおばさん掴まえて魔法少女だなんて。」
私、今25歳なんだけど?
同級生には既に子持ちも居るんですけど?
「いやいや会長、お美しいですからまだまだいけますって。」
「えぇー、じゃ悪魔君、貰ってくれる?」
「全力でお断りします。」
「ひどーい。」それでこそ悪魔~…
「バカなこと言ってないで、そろそろ仕事してください。まずは惚けてる過激波さんと拝田さんを──」
「──にゃにゃにゃー!!♪」すごいすごいすごいー!!
青子猫のヒカリさんが突然、興奮した様子できゃっきゃっきゃっきゃっと騒ぎ出した。
今朝も夢で覗いただろうに、この子は。
「にゃあー!」ペカー…!
「ヒカリ…!?」なんで!?
その勢いのままヒカリさんが青黒く光る霧に包まれる。
「にゃ!」シュタッと変身!
人サイズの青黒霧が晴れて、青い髪の「女の子」が姿を現す。謎のポーズをビシッ!と決めている。
露出の多い青地のアイドルじみた衣装、肌を無数に走る稲妻型の紫色紋様、本人の意思で動く血の通った猫耳と尻尾、ぷにぷに肉球の付いた指、そして怪しい光を宿した魔の瞳。
どこからどう見ても、人外の存在である。
「──悪堕ち猫耳魔法少女だと…!?!?」これもVRか!?
「──マスコットキャラの擬人化、参戦…、先生、キてます…!」尊素晴ら…!
アシスタントの2人が気持ち悪く再起動した。
なんで???
「ふむ。構わん。続けたまえ。」ゲ◯ドウポーズでガン見…!
「にゃ!」ラジャー!
人型猫娘さんがスクルに全力抱き着きを敢行した。
「待って!!? ヒカリ!? ストォップッ!!」ガシッ!
「にゃー!」私もご主人様と悪魔合体してパワーあっぷするー!
「今ダメだから! ご禁制だから! リタちゃん見てるからぁ!!」
何を今さら焦っているのか。
その姫華莉さんもスクルの毒牙に掛かった元魔法少女。猫の半悪魔と化した犠牲者の1人だろうに。このロリコン野郎が。
まあ、他の悪魔に敗北して尊厳破壊されたところを助けた、って前提は評価するけど。ね。
「夜! 夜にちゃんと相手するからぁっ!」優しく押さえ込み…!
「にゃにゃん!」みんなぁに『見せ』つけるのー!
「救留てめぇこの野郎!」悪魔だなおい!
「マスコット・魔法少女・想い人…、三角関係…、殺伐…。見える、読者アンケートうなぎ登り…!」これもまた良いぃ…
「ふむ、男女のドロドロ縺れを匂わすのも…、アリッ!!」となると次の展開は、こうっ…!!
もう私、帰っていい?
一般人なアシ2人には、「この場所限定で魔法少女と悪魔を認識できる」洗脳がスクルの手で掛けられてます。外に出れば、専属コスプレイヤーとオタクファンアシスタント程度にすり代わります。性格は本人由来100%です。
臼田素芦子さん(→スロウス・ダコ)さんは、魔法少女に成り得た美人さんです。
悪魔の恐ろしさと闇に潜む狡猾さを知り、魔法少女の過酷さを感じた一般人である彼女は、全身全霊で理多を支える為に魔力供給の手段として漫画作品を作っています。
それはそれとして、可愛い女の子が大好きです。マジヤベーぜ。
そして、青色猫耳少女、泡野姫華莉さんはスクルの下僕の1人(1体?)です。他に同類が2人居ます。
…ハーレム(?)クソ野郎が。




